375話 30代アメリカ大統領カルヴァン・クーリッジ
ジョン・カルヴァン・クーリッジ・ジュニア、1872年7月4日 - 1933年1月5日)は、第46代マサチューセッツ州副知事、第48代マサチューセッツ州知事をへて、ウォレン・ハーディング政権にて第29代アメリカ合衆国副大統領になり、ハーディング大統領が急死した後に第30代アメリカ合衆国大統領に就任、歴任した。
大統領は1923年8月2日から1929年3月4日まで在任した。無口で「寡黙なカル」と呼ばれた。なお日本語では「カルビン」と表記されることが多いが、英語の発音は「カルヴァン」に近いものである(カルバン・クラインを「カルヴァンクライン」とするのと同様である)。
彼は1872年7月4日にバーモント州ウィンザー郡プリマスで、ジョン・カルビン・クーリッジ・シニアとビクトリア・ムーア夫妻の間に誕生した。
大統領に就任した時、実家には電気も電話も通じていない。
生まれた時に銀のスプーンをたくさん貰える家柄ではない。
努力で大統領になった人である。
1924年アメリカ合衆国大統領選挙に現職の大統領として出馬・当選した。
クーリッジはその任期中に新媒体のラジオを利用し、1924年2月12日、ラジオ演説を行った初の大統領になった。また2月22日にはホワイトハウスからラジオ演説を行った初の大統領になった。
クーリッジは景気循環に自然の経過をたどらせて自由市場に干渉することを試みなかった最後の大統領だった。
彼の大統領職中にアメリカ合衆国は著しい経済成長を遂げ、その期間は「狂騒の20年代」と呼ばれた。クーリッジは税を低減させるだけでなく国の債務の縮小にも有能だった。
彼は「必要以上の税を集めるのは合法的強盗である」との名言を残している。後の共和党政権のレーガン大統領はクーリッジを敬愛し、大統領執務室に肖像画を掲げていた。
そして今は1925年の年末なのだが、
ジョン・ロックフェラーの使いからの報告を受け取っていた。
それはアメリカの油田の産油量が減少しているという恐ろしい知らせだった。
アメリカ中部のテキサスやオクラホマにて30〜40%も減少。
カリフォルニア周辺でも30%ほど減少、
オハイオなどの落ち込みはそれほどでもないが、この落ち込みが続くと危険だという報告だった。
そして、使者は口を噤んだのだが、
今年になってから有望そうな油田の発見が少ないという事実だった。
ここで言う有望な油田というのは、原油が吹き出して来て、汲み上げなくても大量に湧いて出てくる油田の事である。
ポンプで汲み上げるような油田では
それほど量は取れないというのが現場の人間に取っては常識だ。
『それほど原油不足は深刻な事態なのかね?』と大統領は訪ねる。
「我々は、そう考えています。
カナダやアラスカにも油田の探査チームを派遣しました。が、今のところは良い知らせは何もありません。」
「最近、炭鉱でのストライキも頻発していますが、理由の1つが石炭の採掘量が減って炭鉱夫達への支払う金額が
少なくなったのが原因の1つですし。」
『アメリカに富をもたらしてくれている原油の減少は重大な問題だな。』
「私としてはカナダやアラスカに期待しています。奥地では輸送が大変ですが。」
(現在のアメリカの原油採掘能力はそれほど高くない。
深く掘るには莫大な金額が必要になってくる。
テキサスにて井戸を掘る程度の気軽さで原油を掘り当てて莫大な富を手に入れた石油成金達は次々に原油を掘るリグを建設していったが、
当たる事が多かったテキサスで全然石油が当たらなくなり破産して姿を消して行った。)
との話しあいがあったのが1925年の事。
1926年の年末ともなると、原油の産出量は更に減っていた。
カリフォルニアもテキサスやオクラホマも採掘量が減っている。
オハイオもやや減少している。
実は原油というのは産出量が減ったりする事はよくあるのだ。
テキサスはちょっと掘っただけで原油が出たので3万を超えるリグが乱立したが、短期間に採掘し過ぎたのが枯渇の原因では?とロックフェラー家は思っている。
オハイオでも原油は取れているが、
乱汲しないようにリグを増やさないように温存していたのだ。
石油が多く産出している時では石油関連の製品の値段は安くなるし。
「それで、例の満州なのですが、」
『満州?』
「大規模な炭鉱があるという事は石油が出る可能性があります。」
『油田の可能性があるのかね?』
「有望な場所があるとの報告がありました。試掘開始に合わせて護衛をお願いしたいのです。」
使者は満州の地図を出して、ある場所を指差した。
「この場所ならパイプラインを引いて原油を運び出してアメリカへの輸送も可能でしょう。」
クーリッジ大統領の元には多くの資源の【発見】と試掘の許可が舞い込んでくる事になる。
彼は満州への進出は賛成ではないのに、外堀がどんどん埋められて、
大統領府や上下両院は満州進出賛成派が多数派になるのだった。
『上海や南京や北京ではイギリス&アメリカや他国の租界が中国人達に攻撃されて、多くの死傷者が出て混乱しているというのに、気にしている人間は私だけなのか?』とクーリッジ大統領は苦悩する。
2期勤めたといっても、彼はハーディング大統領の急死によって繰り上がったに過ぎず、もう1期くらいやると言っても反対は出なかっただろう。
だが、ジョージ・ワシントンすら望まれたのに2期で辞任したというのに、
自分がそれ以上やるわけにはいかないと思い、彼は辞任した。
どこかの誰かとは大違いな公正な人格者である。
宇垣系のマスコミは、『望まれているのに2期より多くなってしまうからと
辞任するとは、クーリッジ大統領も
ジョージ・ワシントンに並ぶ立派な大統領だ。』と褒め讃えるのだった。
もちろん非常事態だからと言って、
3選を狙おうとする強欲な人間への牽制である。
そういえば、セオドア・ルーズベルト大統領もマッキンリー大統領が暗殺された後に第26代大統領に1901年から1909年まで在任したというのに、タフト大統領の後任になろうと画策、断られると進歩党を作って大統領になって3選しようとしましたっけ。
どっちのルーズベルトも権力欲が旺盛だ。
そういえば、どちらも大学卒業後に、すぐに政界に出て最短で上に上がろうとしているな。
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