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364話 イギリスに舷側装甲厚を出し抜かれた日本（1926照和日本）

『富士型戦艦は12533トン。

なんと、舷側装甲は舷側水線457mmですよ！

確かに、後に作られた敷島級戦艦は同じハーベイ鋼を使い、充分な防御を待たせつつ範囲を広げましたが、457mmなら絶対に防御できる装甲ですが、

敷島級戦艦は舷側の水線部の最厚部でも229mmの厚さであり、敵の戦艦の30.5cm砲を絶対に防御できるとは言えません。

4番艦の三笠は当時最新鋭のクルップ鋼（クルップ・セメント・クロム・ニッケル鋼）が使われていて防御力が上がっていますが229mmでは40口径やのちに出てくる45口径の30.5cm砲に対して防御力が充分とは言えません。』

『範囲を広げるにしても350mmは欲しかったと宇垣では思っています。

それなら、命中したとしてもかなり耐える事ができたでしょう。

なぜ、ここまで薄くしたのか疑問に感じます。耐える事ができたとしても浸水被害が始まりそうだと宇垣の技術者は

言っています。』

『アメリカは重量増加砲弾を使用しているとの情報もあります。

25%から30％ほど砲弾の重量を増加させた砲弾で35.6cm砲ながら、1インチ上の15インチ38.1cm砲以上の威力を持たせています。』

『イギリスのR級戦艦の舷側の最厚部の装甲の厚さは330mmだという情報もあります。

日本も装甲の厚さを再計算するべきだと思っています。』

「なるほどな。宇垣さんの設計は主砲は8門にして可能な限り装甲を分厚くする設計を薦めてくると聞いているが、

そういう考えだとわかると納得だな。」と海軍幹部の方から声もしてくる。

『富士型の基準排水量は12500トンなのです。

なら、可能な限り重装甲な小型戦艦を設計して見ようと思いまして。』

「ふむ。面白いな。20cm砲が通用しないのならば、確かに面白い戦い方ができる。」

ちなみに金剛型は舷側203〜76.2mm。

扶桑&伊勢型は舷側304.8〜101.6mm。

長門型は舷側305mm〜101.6mmなど、やや装甲が強化されているが、ほぼ、扶桑や伊勢と同クラスの防御である。

天城型巡洋戦艦の舷側装甲はヴィッカース式浸炭装甲とはいえ、254mm（傾斜12度）〜229mm。薄い部分は他の戦艦達と同じくらい。

加賀と同等の防御力を持ち更に進化させつつ高速を出す為に船体を大きくしたのが天城級と言われていたが、実際は加賀に劣っている。

加賀型の舷側装甲は279mm〜254mm（薄い部分は他の日本戦艦と同じ。）であり、世界水準以上と思っていた日本海軍にとってライバルと思っていた、イギリスが量産したR級戦艦達の舷側装甲の最厚部が330mmと聞いたのは造船技師たちにとってはショックなはずである。

軍機、軍機と言って海軍の軍人にすら舷側装甲厚を伝えていないのが、これで判明した。

詳しい情報を知らず、近距離から命中弾を食らった場合の運動エネルギーも計算した事がなさそうである。

ここにいるのは造船関係者ではなく海軍の軍人ばかりなのでショックを受けていないのが憎たらしい。

艦船オタクなら日本側の戦艦達の舷側装甲の薄さを知っただけで顔面が蒼白になっているだろう。

下手したら1発で大浸水してしまうと

オタクならすぐに理解できるというのに。

舷側装甲厚を見事に隠されて、出し抜かれている。

イギリスなどのライバル達もこれくらいの装甲だろうと海軍の人間や造船官は思っていたのだ、、、

（煙突の煙路防御の蜂の巣装甲などは日本が出し抜いているのだが。）

天城級や加賀級は改良し、装甲を傾斜させ、水平装甲を強化し、舷側装甲の厚い部分の範囲も広げている。

それでいながら最大装甲厚は長門以上にしていれば良かったのだが、、、

いや、それでは27ノットの高速は発揮できなかったかもしれない。

少し残念である。

せめて、最大装甲厚は長門と同じままにしてほしかったのだが。

というわけで、舷側装甲の最厚部分の

厚さはR級戦艦に負けている。

R級戦艦の舷側装甲の1番分厚い装甲に35.6cm砲が通用するかどうか疑問である。

（作者はホッとしています。この舷側装甲の事こそ、言いたい言いたいと思いつつ隠し続けて黙って濁していた事だからです。

日本は舷側装甲の厚みで劣っているため、かなり不利です。

アメリカの戦艦の薄めの上面装甲を貫通する事を考えるしかありません。）