340話 広軌と狭軌(1925照和)
狭軌派と広軌派に別れて議論していた
日本の鉄道派だが、そこに大型地震なみの大ショックが起きた。
5フィート6インチ軌間1676 mm(5フィート6インチ)の鉄道軌条を新型高速鉄道(東京から大阪)の軌間にしようとする宇垣昌弘の存在である。
まず、この新型高速鉄道だが、内部には
『世界に誇れる高速鉄道を建設する』とぶち上げた。
続いて、『軌道は5フィート6インチ軌間1676 mmの鉄道軌条にする。』
と発表したのだから鉄道マン達は絶句した。
さらに、日本の鉄道発足時に1,067 mmの狭軌を採用した日本国有鉄道(国鉄)の鉄道を1,435 mmの標準軌に変更する計画も言い出したのだから驚きである。
これにより、地方の簡易鉄道(1067mmよりも幅の狭い鉄道。)
以外の鉄道の多くは1,067 mmの狭軌から1,435 mm標準軌に変更され、
大都市を結ぶ新型高速鉄道は5フィート6インチの軌間1676 mmになる。
(乗客が増えそうと見込めない僻地の路線は1,067 mmの狭軌のまま。)
普通なら新聞も使って一大キャンペーンをしてもいいのだが、宇垣昌弘は全然1,067 mmの狭軌派を責めようとはしなかった。
日本国有鉄道発足時は1,067 mmの狭軌の鉄道を建設する方がイギリスなどでも優勢な意見だったからだ。
これから電化をしていくにあたって1,435 mmの標準軌に変える方が良いということはわかっている為、先んじて軌道を広げる計画を進めようと思っているに過ぎない。
それに、宇垣建設が色々やっちゃって日本のインフラ関連の建設予算は余っているくらいなのだ。
(関東大震災の復興予算だが、宇垣がガンガン進めたおかげで予算が少なく収まっていた。)
ここで余った予算を投入して、この大計画を推進すると日本中に好影響が出るという試算もある。
(あの東北の大開拓も地元にかなりの経済的な好影響をもたらしている。
細かな水路の工事や街のインフラ開発やなにかで特需が周辺地域や街を潤している。)
揉めている用地の取得に関して宇垣は手を貸すつもりだが、それ以外の事に関しては日本の他の建設会社にすべてを任せるつもりだ。
日本のGNP国民総生産をさらに増やす一大プロジェクトが始まろうとしていた。
なお、宇垣昌弘は今の列車は重心が高過ぎ、横風に弱いのは問題だと言い、
鉄道マン達を集めて強い横風を吹かせて列車を横転させる実験を行い、レールの幅は5フィート6インチ軌間、1676 mm(5フィート6インチ)の鉄道軌条でも狭いかもしれないと言ってのけた。
実際に1,067 mmの狭軌の列車だと大勢の人が力を合わせれば傾かせてホームと列車の間の隙間に落ちた人を助ける事もできるほどだ。
まぁ、宇垣昌弘は説得力を持たせる為に洗脳魔法を使いつつ説明したのだが。
これによって1,067 mmの狭軌派の人数は激減する事になる。
なお、宇垣建設は世界最長の海底トンネルを建設し、千葉の木更津の先の富津と横須賀を繋げる大工事を建設中だ。
こちらの世界ではイマイチ観光資源に欠けるが、横浜中華街もあるし休日になれば帝国海軍の軍艦も見れる。
千葉から遠かった横浜まで安い運賃で海底トンネルを通って行ける観光は大人気になり、富津周辺の不動産価格が急上昇した。更に鴨川や木更津から横須賀の間も初乗り運賃で結ばれる事になり、今までの半額以下で横浜に行けるようになり大きな反響を与える事になる。
この東京湾海底鉄道は大人気路線になるのだが、宇垣は小田急沿線、京王線沿線の都市開発も大々的に手掛けるようになる。
この東京湾海底鉄道の開通が照和の即位に合わせての開通になる。
大正天皇陛下の上皇への御即位と御譲位、摂政の宮をされていた皇太子殿下の御即位が始まろうとしていた。
なお、年末の即位になる為照和初年度はすぐに終わり、照和2年になってしまうのだが、大正天皇陛下のお身体には休息が必要だ、それに照和と西暦を整合させる為にもと、押し切って始める事になる。
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