329話天皇陛下のお買い物と御視察(1925照和)
宇垣百貨店にも休日はあるのだが、だからこそできる事もある。
買い物客は全員がVIPの御家族とゴーレム達なら天皇陛下もお気軽にお買い物が楽しめるというものだ。
宇垣百貨店は大人気で、特にデパ地下は混むので、普通の日では陛下の御視察なんて不可能である。
食欲をそそる香りと音がしてくるのは
焼き餃子の販売店だ。
普段の餃子もダンジョン食材が隠し味になっており、陛下に出してもおかしくないほどの美味しさだが、今日の餃子はダンジョン食材比率を高めていて、機械ではなく料理人スキル持ちの料理人の手作りで、調理しているのも調理スキル持ちのベテランゴーレムである。
なお、お肉はダンジョン牛と豚だ。
そして、その脂を焼く時に使用しており、試食の時に俺も驚いたほど美味しくなっている。
ちなみに鉄板もダンジョン鋼鉄である。
味噌ダレ、酢醤油ダレ、塩ダレが付いてきたのだが、陛下も思わずにっこりされてお土産も買われていた。
お付きの高松宮殿下も美味しそうだ。
はっきり言って、どこの餃子にも負けない自信がある。
その後も色々と御試食されながらデパ地下巡りをされた陛下達は百貨店を一階から御見学され、最新のデートスポットになっている百貨店巡りを楽しまれた。
最後に食べられたのは飲食店街のラーメン専門店で醤油ラーメンを締めに食べられていた。
陛下には悪いのだが、この醤油ラーメンも特別製だ。
いや、聡明な陛下の事だから、わかってしまわれるだろうが。
なんせ、普段に宇垣邸で出るのと同レベルのクオリティだし。
一緒に居た俺もガツガツ食べそうになるほど半炒飯が美味しいし。
これ、全部がダンジョン食材だろ!
美食に慣れた清国の皇帝陛下でも絶句するかもしれんぞ!
海原雄山でも驚くだろ!
と、いうわけで陛下の御視察は滞りなく終わった。
普通のお客さん役の護衛任務を終えた杉下班のゴーレム達や他のゴーレム達もホッとしている。
お帰りになる陛下の護衛は予知能力持ちの他の護衛のゴーレムの役目だからだ。
車なら皇居まですぐ近くの距離なだけに、警備も楽である。
普通らしさを出す為に招待されたうちの会社の社員の親御さん達は驚いた様子だったが。
大正天皇陛下って精力的に日本各地を御訪問され、御視察され、御真影も配られていて親しみを持つ人を増やされていたんだよな。
最近の新聞の印刷技術は上がっているし、陛下の顔を知っていたか、政府の偉い人だとなんとなくわかったのかもな。
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