仙北平野東部の開拓か、、、

玉川温泉から流れ出る毎分9000Ｌもの

強酸性の熱湯には絶句したのを思い出してしまった。

しかし、奇跡の温泉とも言われる玉川温泉のお湯をどうするのか。

10億円を超えると言われる膨大な開拓費用に史実なら26年もかかる開拓期間なだけに『無理無理。止めた方がいい。他を開拓しろよ！』とも言いたくなってしまう。

開拓に成功すれば広大な田畑になるであろうが仙北平野東部の奥羽山脈西麓地域における未墾地開拓はまさに人力だけでは不可能な開拓と言えよう。

豪雪をともなう山塊から無数の沢水を集めて流れる玉川は、水量がきわめて豊富な川であるが、田沢村の上流奥深くにある玉川温泉から噴出する大量の強酸性水（毒水）のため大規模な除毒工事を必要とする川でもある。

玉川温泉はpH1.03〜1.25で国内の温泉では最低のph値を示し、「大噴（おおぶけ）」と呼ばれる湧出口は単一の湧出口からの湧出量としては日本最多の毎分9,000リットルを湧出する。

温度は98度。

湯治効果はきわめて大きいものの、下流域の農業にあたえる被害もまた甚大であった。

また、その被害は、飲料水、水産業、土木工作物の酸化など多方面におよんでいた。

被害の酷さを改めて思い出した。

側近だけを連れて転移を繰り返したが、前の時と地形は同じなので不安なく短距離転移ができる。

明治から大正にかけては、除毒に関してはほとんど放置の状態だったのも当然である。

なんせ、すぐに元の木阿弥になるからだ。玉川温泉の毒水だけではない。

水害も現地の農民を悩ませ続けてきた。

今までの開拓の成果も洪水に流されて

何も残っていない。

強い酸性の玉川温泉の温泉水を中和するには、強いアルカリ性を持つ石灰岩が1日あたり10トン以上も必要、（一説には30トン）は必要だとも

言われている。

しかも史実では愚かな開拓の為に美しく漁獲資源が豊富な田沢湖が毒水で殺されてしまって被害を広げている。

田沢湖は日本で1番深いカルデラ湖で透明度は高く、ヒメマスやクニマスといった漁獲資源も豊富な美しい湖なだけに毒水を放水したのが絶対に許せない。

俺は田沢湖の湖畔に転移した。

向こうの世界の田沢湖も美しいが、こちらの世界の田沢湖も美しい。

この美しい田沢湖を守れた満足感は非常に大きな達成感だった。

まぁ、今回の視察はこちらの田沢湖を

見たかった為と言っていい。

その後、俺は『ジャングルの原始林』と言われた森林も見ていった。

こちら側の森林も原生林なだけあって、『人力で開拓なんて無理だろ！』と言いたくなるような森林だ。

史実の開拓の場合、玉川温泉だって道路の無い山奥に湯治場があるだけの状態だ。

昭和30年代にやっと道路ができる。

昭和12年とかから工事してるくせに、玉川温泉からの毒水対策は手付かずだ。

到底、愚かな連中に開拓は任せられない。

だが、この温泉水が玉川に流れ込む事で『北投石』が生まれるのも事実。

お風呂に入れればラジウム温泉になる

メリットがある。

『北投石』をごっそり採取して、開拓計画をねる事にした。

（史実の玉川河川統制計画は、具体的には玉川温泉の強酸性水（玉川毒水）を田沢湖に流し込んで、その毒性を中和し、生保内発電所・夏瀬発電所・神代発電所で発電用水として利用し、その下流の神代調整池（神代ダム）に2つの取水口を設け、北側の「神代取水口」から取水して右岸用水路を、南側は神代ダムから放流された抱返り渓谷付近に流された水を「抱返頭首工」で取水して左岸用水路をそれぞれ建設し、右岸に471.8町歩、左岸に2028.2町歩を新たに開墾するほか、既存の水田にも利用しようというものでした。

未墾地を強制買収して水利をともなう、秋田県内では前例のない約3,000町歩（およそ3,000ha）の開拓事業です。

当初計画では、2,500町歩を開田して、そのうち1,700町歩は地元の小作農の増反用地にあてて経済更生をはかり、のこりの800町歩には約400戸の移住家屋を建設して優良な移住者を招致し、新農村を建設するつもりでした。

　この事業では地域の既存農家の経営規模拡大をはかるために、事業主体（国）が、農地に必要な水源施設、水路、農道などの基幹工事はもとより末端の開墾作業とその換地までを一貫しておこなうことでした。）