305話目ミュンヘン一揆(1923照和日本)のドイツ

話は少し戻って1923年1月。


フランス・ベルギー両軍が賠償金支払いの遅滞を理由に、ドイツの重要な工業地帯であるルール地方を占領した。(ルール占領)


ドイツ国民はこれに激怒した。


ドイツ政府はルール地方の炭鉱や工場の労働者に対してストライキを呼びかけ、賃金を保証するために紙幣を増刷した。

これにより通貨の価値が、戦争開始時の1914年と比較し、1月末の1万分の1から、8月に入ると100万分の1になった。


さらに10月に入ると1億分の1と急激に低下し、ハイパーインフレーションが進行していった。


100倍になった物価が更に100倍になったのだから、その苦しみは想像もできないほどだ。

(戦争の時、大規模な都市が敵に包囲されて食料不足になった時は食料が値上がりする事はあるが、ここまでというのはさすがに少ない。

まるで戦争中のよう。いや、それ以上だと言えるだろう。)


バイエルン州で党員3万名を擁し、勢いを増していた国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)は政府の抵抗が弱腰だと批判していた。



ミュンヘン一揆は起きたが警察に鎮圧されて指導者は逮捕された。


有罪になりたくないと逃げようとする指導者もいる中、ヒトラーさんは雄弁に裁判で争い人気が急上昇していく。


収監されたヒトラーさんだが大幅に減刑され、すぐに出所する。


武力による政権奪取路線を変更して

選挙による政権掌握路線へ方針を変更するのだった。


ここら辺はソ連とも中国共産党とも違う。


だが、ここで選挙による政権掌握路線に方針を変更したナチスが欧州に世界大戦を起こすのだから歴史は何が起きるのかわからない。


まぁ、ソ連が国力を浪費するのは良いが。


人型ゴーレムの『自来也』は「信じられない。 これが本当にドイツなのか?」と言葉が漏れそうになってしまった。


忍びたる者、常に冷静沈着でいなければならないが、実際にドイツにやって来て体験しなければ、この時のドイツ国民の苦しみは理解できないだろうと

絶句するほどだった。


この時、ハイパーインフレだったドイツやオーストリア・ハンガリー帝国近辺の地域に対して、日本の大使館や公使館が日本企業の宇垣商事の協力にて周辺の人々に缶詰めや保存できる運送し易い食料を配布した。


そして、日本政府はハイパーインフレになっているドイツを助けてほしいと

諸外国に声明を発表する。


そしてそれをドイツの新聞に大々的に報道させた。


人気取り政策ではあるが、酷い状況を見るに見かねての事だ。


ドイツでの日本の人気は急激に上昇した。

ハイパーインフレで苦しんでいるドイツを積極的に助けようと食料を配布したのだから当然だろう。

そしてドイツの皇帝が言っていた『黄禍論』は間違いなのでは?と思うドイツ人が増えていった。


日本大使館や公使館がトラックにして数台分の缶詰などの食料を配布した事で極地的にしろ、助かった人は大勢いた。

食料不足で困っていたのは都市部だし。

都市部で配布したのだから、かなりの効き目があった。


もちろん、こういう時に特に大変な事になってしまうユダヤ人のゲットーにも食料を配布した。

この食料配布によって、更に日本はユダヤ人達からの信頼を得る事に成功する。ユダヤ人科学者達の日本への引っ越し計画に更に追い風が吹かせる事ができた。



もちろん向こう側とこちら側の日本で大量に缶詰を買い入れてアイテムボックスに入れて転移して輸送できるからこそできた事だ。


やりたいと思ってもチートがなければ

難しいだろう。


日本の自動車運搬船もマーク1を運びつつ食料輸送に頑張ったが、なんといっても頑張ったのは、巨大飛行船の『天の鳥船』だろう。

全長700mの『天の鳥船2』のお披露目は人道支援の食料輸送での大々的なお披露目になり、飛行船の本場のドイツ人記者を驚かせた。


『天の鳥船2』はこれから親善訪問などに使用される事になり、東洋にある知らない国だった日本のイメージを大きく塗り替えた。


大日本帝国なんて、新聞にも全然出て来なかったし、遠く離れているし、欧州での知名度は低かった。


もちろん、ロシアと戦争して負けなかった事で(日露戦争 1904年)一時的には有名にはなっているのだが。


日本大使も欧州での自国の存在感の少なさに苦しんでいた。

欧州の小国よりも上の扱いを得るのは大変だったからだ。

(欧州での晩餐会などで欧州の序列に割って入るのは本当に大変だからだ。)

だが、超巨大な飛行船の天の鳥船のインパクトは絶大だった。

今まで、欧州で日本が外交を行うのはものすごく大変だったが、戦艦の『金剛』を日本が持った事や超高級車のマーク1を日本が販売仕出した事。

そして『天の鳥船2』が欧州各国を歴訪して多くの欧州人が見て驚いた事で、

大日本帝国の欧州での扱いは一気に変化する。


国力や海軍力に見合った扱いをされて、欧州の序列の中できちんと評価される事になるのだった。


そして41cm砲を8門搭載した『長門と陸奥』の存在が、存在通りの価値を持っていそうだと再評価されて、その点でも外交はやり易くなる。


戦後の未来の日本も欧州の外交では苦しんだが、アメリカに首輪をはめられず、核武装し潜水艦発射型弾道ミサイルを持っていたら、これほど欧州でやられ放題にされる事は無かっただろう。


ある意味、欧州の国は正直だ。

スポーツなどで日本の選手が活躍したからって、日本の選手に不利なルールの変更ができるのは日本が恫喝しないからだろう。

日本の大使はそこら辺の恫喝の匙加減が下手な事は有名だ。

日本政府も下手だ。

だが、恫喝し過ぎの中華人民共和国や

韓国や北朝鮮のようにするのはやり過ぎで国際的に孤立しかねないが。


この3国は逆に、もう少し外交を理解した方がいい。

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