296話目 榛名、比叡、霧島(照和1925)
前話の金剛だが、やはり舷側装甲の薄さに我慢ができず、全部を扶桑鋼の装甲に変えてしまった。
駆逐艦の12.7cm砲クラスの砲の攻撃に
負ける装甲は許せなかったのだ。
最低でも100mmの扶桑鋼で舷側をぐるっと覆う事にした。
分厚い部分は300mmの扶桑鋼で。
海軍上層部は洗脳済みであるにせよ、
金剛の変わり様に驚いて声も出ない様子だった。
なにせ1日も立っていないのにこの変化だ。
外見からしても煙突は斜めになって形が大幅に変化しているし、高角砲も増強されている。
更に、両側全速で航行すると27.5ノットだった最高速度が余裕をもって30ノットに到達してしまっている。
取り替えたばかりなので、テストはここまでにしたが、もしかしたら楽々31ノットに届くかもしれないと思わせるほどだ。
機関は交換するとは聞いてはいたが海軍の高官達は驚きで声も出ない。
すぐに残りの『榛名、比叡、霧島』の改装も決定した。
戦艦4隻の高速化が駆逐艦数隻の予算でできれば安いものだ。
そして榛名、比叡、霧島の改装も数日であっさりと終わり、金剛級の4隻は30ノットの高速戦艦に生まれ変わった。
帝国海軍上層部は狂喜乱舞するのだが、違う大ニュースが飛び込んできて日本国民を狂喜乱舞させる事になる。
それは油田が日本で見つかった事だ。
しかも、宇垣石油が試掘していた新潟、北海道、福島で油田が見つかり、
千葉では大規模な天然ガス田と油田が見つかったという。
新潟と北海道と福島では早速石油精製施設の建設が始まった。
関東大震災の大きな被害と死傷者の多さに日本は沈んでいたが、その陰鬱な気分を変える大ニュースに日本中が喜んだ。
大正天皇陛下の御快癒の素晴らしいニュースから素晴らしいニュースが立て続けに続いている。
東京の郊外には大きな高層ビル型マンションが次々と建設されて格安な家賃で被災者家族に貸し出されているし、
東京を環状に走行する広い物流道路も建設されている。
『新東京都市計画』と言われる大規模な公共事業が始まろうとしていた。
宇垣マーク1と呼ばれる素晴らしい高級車が日本で生産され始めた事も
日本人にしてみれば、まるで日本の未来は明るいと言っているかのようだと思われた。
宇垣自動車は年間生産台数1万台の工場を建設し大量生産を開始するという
発表だ。
ミゼットという三輪の車と、トラックも宇垣自動車からは発売され、ボンネットバスのボンバ、ボンネットトラックのボントラも発売されはじめて、
急速に普及し始めた。
関東大震災の復興にはお金が必要だから、また増税かと思っていた日本人は
多かったのだが、電気料金は安くなるし、ガス料金も上がらないし、増税が
それほどじゃない事に日本人は安堵した。
日露戦争の戦費総額は18億2,629万円
ですが、借り換えにより低い利息になっていました。
その日露戦争の外国債権を宇垣グループは全部買い取り、金利1%の債権にして日本政府は宇垣グループの納める多額の税金を活かして借金を急速に返済して行きました。
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