283話目 眩く輝く奇跡の光

大正天皇陛下の身体の輝きが収まっていく。

病状は誰の目から見ても悪化しており、心配していた家族の心の負担は大きかった。

まだ46歳なのだ。

家族としては到底納得なんかできない。


輝きが無くなると顔色は一変して

健康そうな顔色に変わっていた。


まるで別人かのようだ。


『息が楽になった。

皆とも別れかと思っていたが、、、』


『『『『奇跡だ、奇跡としか思えない』』』』


今、陛下が居られるのは陛下の居室だが、いつ、容体が急変してもいいように酸素タンクや酸素吸入機も備え付けてあった。


周りの人々は末期のガン患者を見るような目で陛下を見ており、心を痛めていた。


陛下は自分の力で身を起こすと『神の雫』を飲み干した。


昌弘はダンジョン湧き水のミネラルウォーターを出しコップに注いだ。


美味しそうに陛下がミネラルウォーターを飲み干されていく。


健康体になった玉体が必要な物を求めているのだ。


駆けつけた侍医達は絶句して言葉もなく立ち尽くしたほどだった。


もう手の施しようが無いと思っていたのだ。


皇后陛下や宮様達も涙が溢れて言葉が出ないほど、感極まる御様子だった。


その後、陛下は御夕食をお召し上がりになり、摂政をなされている裕仁殿下も奇跡の回復を事の他喜ばれていた。


陛下の奇跡的な御快癒は3日後に発表され、日本中が祝賀ムードになるのだが、陛下の病状の悪化は関東大震災の

被災に苦しむ臣民の事を悼まれての事だとの報道がされるようになる。


この年、日本に宇垣グループという企業グループが誕生した。

宇垣建設はドーム型マンションを建設し震災からの復興は急ピッチで進む事になる。

夏は涼しく、冬は暖かく、地下は駐車場があり、ひと部屋あたりの面積は200平米もある豪華なマンションだ。


東京郊外には宇垣自動車や宇垣モーターサイクルが大規模な工場を建設し始めた。

年間生産台数5000台規模という、

日本一の規模の自動車工場と

年間生産台数1万台規模のバイク製造工場だ。

東京だけではない。

名古屋、大阪にも大規模な工場が建設され始める。


そしてロールスロイスのシルヴァーゴーストに乗られていた陛下が工場で生産された宇垣マーク1の1号機を御料車にすると発表されるのだった。


陛下や殿下の御料車はすべてが宇垣マーク1になるのだが、宇垣マーク1は

定価3500円の高級車であり、こんなに高い物が売れるのか?という目で見る連中もいた。

前の御料車に選ばれたロールスロイスのシルヴァーゴーストと同じくらいの値段だからだ。


だが、宇垣マーク1は動く芸術品と

呼ばれるほど外見が美しい。

車のフレームの内部すら錆を防止するメッキが施され、すべての場所に目配りがされていて、海の近くに置いていても全然錆びて腐食しない。


宇垣自動車はアフターケアも万全であり、そのサービス体制は驚かれるのだった。


イギリスなどの最高級散弾銃の輸入価格が1丁500円なので、超高級自動車の

マーク1の値段は妥当だと言えます。


ですが、大量に生産され始めて15年になり、T型フォードの値段はかなり安くなりつつあります。


さて、どうなるのでしょうか?

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