281話目 宇垣昌弘時空転移。照和日本(1925)元旦。

神様が送ってきた時空転移ゲートだが、神社の鳥居の小さい物だった。

180cmの身長の俺だと大丈夫だが、

20cmくらいしか上に余裕がない。


鳥居の人が通る場所が向こう側が見えない真っ黒になっており、そこに入ると一瞬で照和日本に出ていた。

まだ、時代は大正時代だが。


皇居の中にはあまり人が入らない森もあるが、その森の中に鳥居がある。


『照和日本〜照和日本〜到着致しました〜』と車掌さんのようなイントネーションで天使ちゃんが言ってくる。


人型ゴーレム達は錬金工場内に入れるが、天使の彼女は錬金工場内には入れない。


俺は天使ちゃんと手を繋いでゲートを通ったのだが、あっさりと平行世界の日本に来れた。

異世界に召喚された時は元の世界に戻りたいと悩み苦しみ続けた別世界への移動がこんなにあっさりとは、、、


早速、時空転移ゲートを天使ちゃんに操作してもらって閉じてもらう。


蜘蛛子1号が覗いていたので慌てて

命令して顔を引っ込めさせる。

閉じた時に顔がこっちにあったら大変だ。

天使ちゃんが言うには切断されたりせずに、向こう側に弾き返されるだけらしいが。


しかし、皇居の中なのに何処となく空気が違って感じる。


それもそうか。


向こう側の昭和日本は日本全体が精霊の居心地の良い精霊空間に包まれている。

更に皇居は二重に精霊空間に包まれている為、一層神聖な空気に包まれている。


こっちは普通だもんな。


ゲートの閉じた鳥居を錬金工場にしまって、俺達は歩き始めた。


天使ちゃんが言うには、すでにこちらの皇族の方々には『神様が使徒を遣わす。』事が伝わっているそうだが。


今日は1月1日だ。


1925年、大正14年の1月というと、

1月3日にイタリアのベニート・ムッソリーニが独裁宣言するかもしれないし、

1月20日に日ソ基本条約締結(日本がソ連を承認)するかもしれない。


ソ連ではレフ・トロツキー失脚なんて

事件も起きるかもしれない。


1925年といえば、ヒトラーさんがナチス党の勢力を拡大し始める頃だ。

あっ、我が闘争(マインカンプ)の書物の発売もこの頃だっけ。


精力的に飛行船の絵を描いている向こうのヒトラーさんとは別人だろうな。

向こうのヒトラーさんは戦争の経験は

していないし、、、


第一次世界大戦のせいで欧州は荒れたからなぁ。

イギリス、フランス、ドイツは大勢が死んだからな。


あっ! まずは超巨大ゴーレムを配置しなきゃだ。


向こう側で宇垣家があったあたりの場所にやって来た俺は土精霊に命じて

穴を掘り進めて行った。


『穴掘り』魔法と精霊魔法をダブルで使用すると地下500mまであっという間に掘る事ができた。


俺は地下室を作り、超巨大ゴーレム

『アースⅡ』のゴーレムコアを配置した。

日本全体の地下500mに身体を伸ばせと命令した。

このゴーレムコアは向こうのアースのコピーなので経験豊富だから、あとは

任せる事ができる。

今回はなるべく早く地球全体を被わせる為に魔力増幅炉2つをフル回転させて『アースⅡ』に魔力を注ぎ込み、

拡大速度を倍に増やすつもりだ。


なるべく早く油田も確保したい。


『マスター、お任せください。』

とアースⅡが請け負ってくれたから

まずは日本全体に広がり、北東アジア全体に広がったら、テキサスを目指せと命令した。


こちらの世界は大恐慌後に荒れてブロック経済化する。

だが、この日本で売れる商品を安く作れば向こうの日本を通じて全世界に売れる。

宇垣を接着剤にして2つの日本がくっつくのだ。


転移魔法とアイテムボックスの力があるからこちらの日本とあちらの日本が

力を合わせれば大きな力になる事だろう。輸出に必要な経費が少ないし。


火と火も2つ合わされば炎になる。

炎になった大日本帝国は無敵だ。


そして最強な4カ国同盟のおかげで

向こうは安泰だしな!!

国王陛下や皇帝陛下を洗脳してリードできるのだから実質的に日本がリーダーシップを取っている軍事同盟だしな。

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