226話目 冒険者李書文
『李、李書文老師?』
前は甲賀衆や伊賀衆など大勢が熱心に八極拳を学んでいた。
つい、最近通りかかった時には套路(空手などで言えば型のような物、
大八極、小八極などがある。)
や槍を皆が学んでいた様子だったのだが、今、目の前に居るのは、いかにも冒険者らしい服装をした戦士達が色々な武器を振るっている。
おかしい。
目の錯覚?かと思ったのだが、
李書文老師本人も左手の小手に盾を取り付け、腰には剣を下げ、胸当てと額当てを身につけていた。
足には頑丈そうなブーツを履いていて、冒険者にしか見えない格好をしている。
隣にいる服部半蔵も冒険者のようにしか見えない。
いや、忍者の格好をするのが好きだったよね?
まぁ、クナイや刀は持っているようだが。
李老師達がこのような冒険者の姿をしているのにはわけがあった。
レベル上げの為に挑んでいたダンジョンだが、30階層後半の砂漠地帯のサンドリザードマンとの戦争の為にはダンジョンの宝箱から出た魔法武器を身につける必要に迫られたらしい。
『半蔵っ』
『はい、マスター。なんでしょうか?』
『30階まで行くとは凄いじゃないか。
忘れているかもしれんが、うちのダンジョンは軍隊の数でのゴリ押しに対応しているから、大勢で行くと難易度が上がるぞ。
最大で倍の人数が押し寄せてくるから、100人で行くと200体出てくるぞ。』
『えっ?』
『ソロで行っても10体は出てくるが。』
まぁ、砂漠でサンドリザードマンと戦いつつ関東平野くらいはある砂漠を横断し向こう側に行くのは大変だろう。
横須賀あたりから歩き続けて群馬まで
歩くようなもんだからなぁ。
これが32階ともなると横須賀から新潟の先の日本海を目指すくらいの距離を歩く事になるからなぁ。
李老師のような達人が5人くらい居てほしいくらいだよなぁ。
李老師と一緒に冒険しているドラゴニュートや李老師ならもっと先に進めるけど、半蔵や甲賀衆や伊賀衆でも、ここら辺くらいからは厳しくなるだろうなぁ。
才能の壁を乗り越えて先に進めるゴーレムが出てくるのか見ものだな。
服部半蔵や甲賀衆&伊賀衆は戦闘型の
人間型ゴーレムであり、かなり強いのですがねえ。
(李老師は六合大槍を主に使われていましたが、今は片手剣を使われています。
何かしらの心境の変化が?
李老師が居合のような剣の振るい方を
していたのも気になるな。
どうやら李書文老師は半蔵達にもう一段階強くなってほしくて戦わせていた
ようです。
俺は1人で研究室にいる。
目の前にはハイヒューマンに進化してから作った蜘蛛の魔物型ゴーレムの
試作品第1号『蜘蛛子1号』がいた。
『蜘蛛ですが何か?』のアニメに出てくる、あの『蜘蛛子』である。
歌って、踊れて、戦闘もできる。
あのオープニング曲も歌えるのである。
実に有能で可愛い。
糸で作った椅子があるのは俺が蜘蛛子の上に乗って移動する移動型座椅子にも使用しているからだ。
さて、この蜘蛛子の出番はやって来るかな?
現時点での体長は2.5mほどあるから、
ジャングルで出会ったら敵の兵士は怖いだろうな。
『蜘蛛子』は試作品なので実戦での登場は未定です。
タチコマのようにウェポンキャリアーにするべく開発しました。
蜘蛛子の糸は頑丈なので10人くらいの人型ゴーレムの負傷者を糸でくるんで
退却する事もできます。
ベルト給弾の重機関銃を装備する歩兵殺しですね。
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