217話目1925年。魔法文明の更なる進化。

宇垣昌弘は戦艦大和(仮)の第1艦橋の

艦長席に座っていた。

座席は宇宙戦艦大和の艦長席と同じ場所にあり、高さはあれほど高くはない。


艦長の隣には副長の席が2つある。

艦隊司令官が艦長席に座る場合は副長

席が艦長席になる。


それにしても艦橋のレイアウトはまるで宇宙戦艦ヤマトだ。

艦長席の前には3人の席があり、

レーダー管制官の席や技術士官の席、

機関長の席がある。

その前には砲術長席、操舵長席、副砲術長席や通信士席など、7つほどの席が

ある。


今は部外者はいないので、技術を隠す必要は無い。


各員はステータスオープンして大和のネットワークにログインしている。


そしてヤマトからレーダーなどの情報を得てステータスプレートの第2画面で情報を見ている。


昌弘はステータス画面を新聞の見開き一面の大きさに拡大して戦艦の各情報をチェックしていた。


見ている索敵情報はレーダーの情報ではない。

この戦艦大和がいるのは昌弘がダンジョンマスターをしているダンジョンだから、この階層内の情報は全部を見る事ができる。


各ゴーレム戦艦は超巨大ゴーレムの情報ネットワークへのアクセス権限がある為、ダンジョン外の地球の海では、

超巨大ゴーレムの情報を得て行動できる。


大きなタブレットでマップアプリを見るように地図を拡大縮小できるし、

超巨大ゴーレムは敵と味方の潜水艦にも目を光らせて監視しているため、

マップを広げて潜水艦がマップ内に入ると、敵味方の識別もして教えてくれる。

まるで戦略ゲームソフトの戦術画面の

ようである。


超巨大ゴーレムの索敵ネットワーク網のおかげもあって、一部の技術力は宇宙戦艦ヤマトの技術力を超えているようにすら思えてしまう。

(ニューヨーク港沖にいる米軍の潜水艦を捕捉可能だし。)


このダンジョン海は円形で400km先まで海があるから悠々と速度試験ができる。

ここでなら、空母打撃群の艦隊演習も

できるだろう。


『これより大和の速度試験を行う。

微速前進よーそろー』

『微速前進よーそろー』


大和の舵の配置は史実の大和と同じだが、ゴーレムヒレのおかげもあり、

大和の旋回性能は良好だ。

とても戦艦とは思えない。

輪形陣を組んでいる場合は気をつけないと味方との事故が心配だ。


史実の帝国海軍は回避を優先していたが、我々は回避を優先する行動はしない。


『第二艦速へ』

『第二艦速に上げます。』


現在の速度はおおよそ16ノット。

時速にして30km/hだ。


『第一戦速に上げろ』

『第一戦速に上げます。速度30ノット。(56km/h)』


巨大戦艦で30ノットならば、かなり揺れてもおかしくないのですが、水精霊の加護のおかげか揺れが少ないです。


『艦首のヒレを水中翼へ、第一戦速』

『水中翼出します。第一戦速』


やはりゴーレム戦艦だからでしょうね。

ゆっくりと、しかも滑らかに艦首が上がって行きます。

35ノット、40ノット、45ノット、、、

魔法によるバブル噴射は全然していないのに45ノット(83km/h)とは。


『最高速モード、魔法陣展開、バブル噴射』


水中翼効果により艦首は海から出ています。


海水に触れている部分に魔法陣が展開され、濃密なバブルジェットを噴射し

始めました。

速力はグングン上昇します。


速度は60ノットになりました。

ゴーレムヒレによって細かく制御されているせいか船体は安定しています。


スクリューは高速になると推進効率が低下してしまう為、最高速モードでのバブルジェット噴射でも60ノット(112km/h)くらいに抑えておいた方が良さそうです。


『第1戦速に下げろ、26ノットへ。

旋回するぞ。』


ゆっくりと大和は減速して26ノットほどになりました。

旋回して出発地点に進みます。


さすがは最初に戦艦のゴーレムコアに

なった高尾のゴーレムコアです。

上手く揺れを抑えて、全然船体を揺らしません。



(時速30kmで走る乗用車が、危険を回避するため、急ブレーキをかけて止まる距離は約11mですが、16ノット(時速約30km)で航行中のVLCCタンカーの場合だと、急ブレーキをかけて停止するまでの距離(フルスピードから全速後進をかけて船が停止するまでの距離)は水の上を滑っているため、なんと約4,100mとなり、約15分もかかるそうです。(西暦2000年代の未来の日本のタンカーの場合。)

従って、船が前方の危険を回避する時は、急ブレーキをかけるよりも、舵を切って危険を避ける方法が有効といえます。

ただし、舵を一杯に切っても、すぐには船は動かず、また旋回圏(横方向に移動する最大距離)は約1000mもあります。巨大な船の操縦は、車の運転のようにはいきません。操船する船長、航海士は船の操縦性能を常に頭に入れ、機敏な行動をとる必要があります。)



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