191話目、大英帝国の底力(1924)
さすがは大英帝国というべきか、、、
1年後、イギリスは5ヶ所の大規模な港を占領して1カ所に8万人、総数で40万人の兵士を送り込んできた。
インドごときの反乱など、すぐに鎮圧して、国民会議の政治家達を絞首刑にしてやるとイギリス兵の士気は高かったのだが、待ち構えていたインド系ゴーレム達も士気が高まっていた。
インド全土でイギリス人を殺し、
カナダ兵、南アフリカ兵、オーストラリア兵、ニュージーランド兵、グルカ兵を撃退してきたのだが、ようやく本国のイギリス兵がやってきたのだ。
この本国兵達をどれほど殺せるかで
インドの運命が決まる。
運命の戦いが始まるのだった。
『ここがムンバイなのか、、、』
インドの玄関口と言われた繁栄した
ムンバイの面影が無い。
ほとんどが瓦礫の山になっていて見る影もない。
しかも、ここは港から数百メートルしか離れていないのに安全が確保されていない、、、
数分に1発は銃声が鳴り響き、数十分に1発は迫撃砲弾の爆発音が聞こえてくる。
ムンバイは戦場になっていた。
第1陣と第2陣の部隊が先に進撃しているというのに後方のムンバイの安全が
確保されていない、、、
瓦礫の影には狙撃兵が潜み、ビルの屋上からはインド兵が手榴弾を投げ落として攻撃してくる。
しかも手榴弾と一緒に病人の糞尿を詰めた容器を爆発させ飛散させる為、
イギリス兵の間でコレラ、マラリア、チフスなどの病気を発病して倒れる兵士が続出しているのだ。
病気が蔓延しないように充分に注意を払っているというのに、イギリス本国でも病人が何故か増えている。
イギリス本国での病気での死亡者は
20万人。
普段よりずっと多い人数だ。
ロンドンにパニックが広がりつつあった。
もちろん細菌戦をしているのはイギリスに潜入した白人系ゴーレム達である。
ロンドンから郊外に向かう列車内の手の触れそうな場所に病人の排泄物を噴霧したのだが効果は抜群だ。
スラムを中心に大勢の死者が出ている。
インドでは、イギリスが占領した港から隣接した都市に向かう線路のレールは枕木ごと消えており、イギリス軍は線路を敷設しながら進まなければいけなかった。
が、遠距離からの狙撃や迫撃砲弾が降り注いで死傷者が続出している。
港湾内もくまなく捜索して機雷を掃海して安全を確保しているはずなのだが海中で何らかの爆発物が爆発して兵員輸送船や弾薬運搬船が港湾内で沈没する事件が頻繁に起きている。
今までのインドだと反乱が起きたとしてもイギリス側の支払う金を目当てにいくらでも労働者は集まって来たし、
人海戦術でレールや枕木の再敷設も素早くできたのだが、インド人労働者が
全然集まって来ない、、、
イギリス兵がインド人を見つけると憎しみがこもった目で睨みつけながら『イギリス人はインドから出て行け』と言ってくる、、、
子どもすら憎む目でイギリス兵を見てくるのだ。
イギリス人達は困惑を隠せなかった。
以前のインドとは全然違う国になっている、、、
以前ならイギリス軍を相手に商売をしようと、すぐに商人が集まって来ただろうし、売春宿や酒場もすぐにできただろうに、、、
憎しみの目で見られる事にショックを受けるイギリス兵士も出始めるのだった。
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