161話目1916年アメリカ大統領選挙
『アメリカ大統領なのに、こんなにままならない事が多いとは、、、』
ブライアン大統領はため息をついていました。
ブライアン大統領の任期の前半は前のアメリカ大統領のセオドア・ルーズベルトの尻拭いとルーズベルトの負の遺産のアメリカ海軍の艦艇の建造費の資金繰りに苦労する事になりました。
完成したらしたで、乗組員を集め、戦力化しなければいけません。
1万6000トンのサウスカロライナ級戦艦14隻の資金繰りと戦力化は困難でした。
同時に建造された装甲巡洋艦10隻は各地の港に配置され、ほぼ訓練用として
使用されています。
戦艦の兵員の充足率も80%。
ギリギリの兵員で動かしている事が
わかります。
一応は美濃級と同級の主砲を8門を搭載した新型戦艦が揃っていますが、日本の戦艦は2万トンに近いと囁かれていますし、イギリスのドレッドノートやインヴィンシヴルは18500〜19000トンクラス。
大丈夫なのか?と囁かれています。
あのグレートホワイトフリートの勝手な戦闘と敗北について、査問委員会を設置したのですが、わからず仕舞いでした。
至近距離からの奇襲砲撃なら倒せると
思っての、大西洋艦隊の司令長官の独断というのが結論ですがわからなくもありません。
戦艦の数は倍近いですし、勝てる可能性はありましたから。
高速戦艦の薩摩と美濃級3番艦の越後は完成したばかり。
改装されて主砲を6門搭載しているとはいえ富士級なら互角に近いだろうから
奇襲なら戦艦が19隻もあるアメリカが有利だと思っても不思議はありません。
それに、あの時の日本の戦艦に乗っていた乗組員は半数だったらしいですし。
ブライアン大統領としては、『勝てよ!』と言いたくもなります。
日本に勝って属国にできれば石油だって手に入れられたのにと思ってしまいます、、、
今は1916年。
アメリカ大統領選挙の年です。
今まで共和党に負け続けだった民主党ですが、
現職のブライアン大統領の推薦する
ウッドロウ・ウィルソン候補が優勢に選挙を進めています。
博士号を持つ政治の専門家の大統領候補なだけに人気も上々です。
このままバトンタッチしたい。
メキシコとの戦争はなんとしても避けたいとブライアン大統領は思うのでした。
トーマス・ウッドロウ・ウィルソン(Thomas Woodrow Wilson、1856年12月28日 - 1924年2月3日)は、アメリカ合衆国の政治家、政治学者。「行政学の父」とも呼ばれています。
進歩主義運動の指導者として1902年から1910年までプリンストン大学の総長を務め、1911年から1916年までニュージャージー州知事を務めました。
進歩主義とは、現在の不合理を次第に改善し、新しく、より優れたものを追求する思想です。
社会改革を支持する政治思想であり、科学技術の進歩や経済発展が人間の条件の改善につながるという進歩思想にもとづいています。
大統領選挙に力を貸せばそれなりのポストが貰えるという現在の猟官制度を変えようとしています。
大金持ちであるにせよ、マフィアとの
親密な交際が囁かれている人間を
政府の中に入れるのは恥だとブライアン大統領は思っていますし、
ウィルソン候補も思っています。
ブライアン大統領はマッキンリー大統領の前任者のスティーブン・グロバー・クリーブランド(Stephen Grover Cleveland [ˈstiːvn ˈgrouvər ˈkliːvlənd], 1837年3月18日 - 1908年6月24日)アメリカ合衆国の政治家、第22代及び第24代大統領(任期:1885年 - 1889年、1893年 - 1897年)。歴代アメリカ大統領で唯一、「連続ではない2期」を務めた大統領を思い出してしまいました。
マッキンリーとルーズベルトが始めた
大規模な海軍戦力の拡大と喪失をクリーブランド大統領はどんな思いで見ていたのか、、、と思ってしまうのです。
大金が費やされて大規模な大西洋艦隊を持つのが『普通』だと言えるのでしょうか。
前任者の負の遺産に苦しんだブライアン大統領だからこそ、ウィルソン候補に期待してしまうのです。
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