159話目アメリカに行けば1日で何十倍も稼げる。

羽柴小一郎秀長が報告に来てくれました。宇垣マーク1、ミゼット、125の

売り上げは順調のようです。

日本国内の我が社の工場だけで年間の生産台数の10万台突破が見えてきたとか。


日本国内の宇垣本社の場合、別に、

『特別限定生産バージョン・マーク1』も生産していますからねえ。

国内の円バージョンだと1000円プラス。

アメリカのドルバージョンだと1000ドルプラスなのですが、値段設定間違ったかなぁ。

妙に人気なんですよねぇ。

まぁ、大金持ちにとっては1000ドルなんてポケットマネーだもんなぁ。


1000ドルプラスでも4500ドルで、

お金持ち用の注文生産モデルの超高級自動車と同額ぐらいだもんな。


そりゃあ、お得に感じるか。

宇垣自動車が責任を持って、エンジンを慣らした上、チューンナップした

エンジンだもんな。

ノーマルのマーク1よりもトルクとかもアップしているし。


ほぼほぼ王侯貴族向けの物と同じだもんな。


で、小一郎の報告が終わると石田三成が報告してきた。



『マスターは「アメリカに行けば1日で

1月の月収が稼げる。」という言葉を知っておられますか?』


たしか、史実の戦前の日本移民も、「アメリカに行けば1日で月収が稼げる」「アメリカにはアメリカン・ドリームがある。」と言って移民してたはず。

フォード自動車のフォードさんは、まだ自動車製造工員の日給を上げておらず、日本の宇垣自動車は製造工の日給を一般製造工員の倍額にしてますから、

日本の宇垣系列の企業の方も高給取りがかなり多いですけどね。


『確か戦前の日本で言われていたな。

欧州の貧しい民の間でも言われているんだろ?

特に貧農とか。

貧しい農民は現金収入が少ないからな。


『すこし、お耳に入れようと思ったのですが、欧州からのアメリカへの移民が減少しています。

グレート・ホワイト・フリートが日本で全滅し、グアムとフィリピンを失い、油田が枯渇して、マイナスなニュースが続いていましたから、、、

英語が話せないと、ろくな職業に付けないとか、失業者が多くて銀行の倒産も酷いとか、そういう噂が噂を呼んで

いるようです。』


ええっ! これは驚きです。

アメリカへの移民の入国の入り口といえばニューヨーク。

大きなビルが立ち並ぶ世界一の大都会です。

日本も充分に地震対策がされたドーム型の建物が建設され始めていますが、

アメリカのニューヨークの方が遥かに

大都会に見えるでしょう。

なんせビルの高さが違う。


貧しい農村から、移民の窓口のニューヨークに行くだけでも、得られる収入は遥かに多くなるでしょう。

靴磨きとかでもそれなりの収入になるはずです。今だと1セントから10セントの間くらいかな?

貧農より現金収入が得られる靴磨きの

少年の方が収入は上でしょう。


(作者注、「新年あけましておめでとうございます」の近況ノートに、1928〜32年頃のニューヨークのマンハッタン上空を飛ぶ飛行船ロサンゼルス号(グラーフ・ツェッペリン2番艦)

の写真が投稿されています。

見てください。

1930年代でも、あのビル群ですよ。

ほんと史実のアメリカは凄い。)



『そうか、、、アメリカにとっては

悪いニュースが続いたからな。

史実のアメリカなら、ゴールドラッシュにテキサスのオイルラッシュに、第1次世界大戦の欧州からの注文の数々の

好景気が始まるのだが、、、

テキサスのオイルラッシュが無くなったし、石油が枯渇して燃料不足で困ってるってニュースは欧州のマスコミが

面白がって報道してたもんな。』


『そこへメキシコ系アメリカ人やアメリカ在住メキシコ人の虐殺が始まったのです。

欧州のマスコミではアメリカとメキシコの第二次米墨戦争が始まるのでは?と書き立てられています。

水兵が足りない時のイギリスが強制的に水兵を徴用した事がありますし、

移民したら、すぐに軍隊に入れさせられてメキシコとの戦争に行かされると思われているようで、、、』


『それに、欧州の貧しいユダヤ人がアメリカを目指さずに東洋のエルサレム半島を目指しているので、「あのユダヤ人がアメリカではなくエルサレムに行くくらいアメリカは悪いのか?」などと欧州で噂されているそうで。』


ユダヤ人は強欲だとか悪賢いなどと

欧州では思われています。

そのユダヤ人がアメリカを目指さないで東洋の半島を目指すのはアメリカに

見切りをつけたと欧州では思われているわけか。


『そんなにアメリカは悪いの?』


『ロックフェラー、モルガン、メロンなどの各財閥が総力を使って、なんとか銀行の倒産の連鎖が止まりました。失業者は多いままです。

連鎖的な銀行の倒産は収まりましたが、連鎖しない銀行の倒産は起きています。

ニューヨーク州の財政破綻は回避されたものの、他の州の財政破綻がいくつも起きています。

ギリギリで政府に助けられて回避できているそうで、、、』


『投資されたけど、完成の見込みが

つかないパナマ運河とかもマイナス要因だしなぁ。

欧州資本がアメリカから逃げ出したし、今のアメリカはヤバいな。

自動車関連業界が牽引していなかったら、まさかアメリカ恐慌が発生していた危険性もあるのか?』

と思うと寒気がしてきます。

予知能力者のランサー達がいるから、

宇垣ファンドの株投資は大丈夫だと思いたいですが、投資額が巨額になり過ぎていて、予知できても売り抜けできるかどうか、、、

下手すると、宇垣ファンドの売り浴びせで大恐慌が起きたなどと言われかねません。


まさか、お金があり過ぎて困る事になろうとは、、、


考えてみれば、自由に使える国家予算の金額の多さは税収が順調に増えて自由度の高い、日本政府の予算の方が上です。

日本陸軍、日本海軍も宇垣ファンドで

儲けているので隠し予算は潤沢です。

宇垣関連以外の鋼鉄の製鉄量は史実の2.5倍になっているでしょう。

いや、比べる事自体難しくなってきていますね。

史実と違い過ぎています。

自動車運搬船も3万2000トンの船が12隻に増えて、欧州各国にマーク1を届けに動きまわっているし、、、


今の日本の国家予算は史実の4〜5倍ですもんねえ。

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