156話目加藤段蔵はホッとする。

サラエボで爆弾を投げつけられそうに

なったものの、フェルディナンド大公夫妻を無事に護衛する事に成功し、勲章を授与され、栄誉年金も貰える事になった加藤段蔵ですが、ホッと安心していました。


オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世からお褒めの言葉も受けたのですが、加藤は、

『大公様の侍従のルメルスキルヒ男爵の「兵士らが市内に到着して警備の体制を整えるまで、大公夫妻は市庁舎を離れるべきではない」との提案は素晴らしい提案でしたし、当地の軍司令官のミハエル・フォン・アペル司令官の「軍の兵士を一行の予定ルートに沿って配置する」提案は素晴らしいですし、総督の反対を押し切って独断で兵士の護衛を出したのは素晴らしかったと思います。

是非、お二人にも格段のご配慮をお願い致します。

と皇帝陛下に言いました。


加藤はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世を立派なお方だと思っていましたが、オーストリア・ハンガリー帝国は人種の坩堝であり、統治をするのが極めて困難な国でした。

ほぼほぼ単一民族な日本とは真逆で、

オーストリア人が過半数を取れない

多民族国家なのですからねえ。


護衛は大変だぞ。と内心では思うのでした。


皇帝陛下はもうすぐ85歳になるご高齢ですしね。


皇帝陛下も大公夫妻も日本からもたらされた美味なミネラルウォーターを飲むようになられてから、体調は極めて良好で健康面での不安は何もないの

ですが。



やがて、大公殿下を襲った暗殺グループの連中の情報が入ってき始めました。

主犯の名前はガヴリロ・プリンツィプ。


ボスニア出身のボスニア系セルビア人の民族主義者で、「青年ボスニア、(ムラダ・ボスナ)」の活動家だと判明してきました。


暗殺グループの仲間は6名であり、

2名は実行を躊躇い、あの爆弾を投げつけようとした男が3人目のようだ。

と報告が上がってくると大公殿下は

加藤がそう言っていた事を思い出して

驚きました。


大公殿下の加藤達に対する信頼が益々高くなるのでした。


後に暗殺グループは全員が逮捕され、

4人が死刑になり、未成年の2人は最高刑の懲役20年になります。


セルビア国王は親オーストリア派の国王でしたし、戦争にはならずに済みそうです、、、



フランツ・ヨーゼフ1世は、君主は神によって国家の統治権を委ねられたとする王権神授説を固く信じて疑わない人物です。

自由主義、国民主義の動きを抑圧し、「新絶対主義」(ネオアプゾルティスムス)と称する絶対主義的統治の維持を行いました。


イタリア統一戦争に敗北し、北イタリアの帝国領ロンバルディアを1859年に、ヴェネトを1866年に相次いで失います。

さらに、ドイツ統一に燃えるプロイセン王国首相のビスマルクの罠にかかり、1866年の普墺戦争では、消極的な自軍指揮官に決戦を命じた結果、ケーニヒグレーツの戦いで大敗を喫し、プロイセン軍に首都ウィーンに迫られて不利な講和を結ぶことになりました。

このような対外的な動きに押される形で、国内では1861年、二月勅許(憲法)で自由主義的改革を一部導入することを認めざるを得なくなります。


1867年、ハンガリー人とのアウスグライヒ(妥協)を実現させ、オーストリア=ハンガリー二重君主国が成立しました。

これにより、ハプスブルク帝国をオーストリア帝国領とハンガリー王国領に分割し、二重帝国の中央官庁としては共同外務省と共同財務省を設置する一方、外交・軍事・財政以外の内政権をハンガリーに対して大幅に認めました。

しかし、この後も民族問題は先鋭化の一途をたどります。

(史実では1908年にボスニアとヘルツェゴヴィナを併合していますが、現時点では、まだ併合はしていません。

セルビア王国との関係が良好なので。)


普墺戦争後は、普仏戦争で中立を守り、ビスマルクおよびドイツ帝国と接近・協調していった(パン=ゲルマン主義)。1873年にはドイツ、ロシアと三帝同盟を、1882年にはドイツ、イタリアと三国同盟を結ぶ。


帝国内の民族問題や汎スラブ主義の展開への対応に苦慮しているのが、オーストリア・ハンガリー帝国なのです。


上皇陛下が欧州列強国を訪問しつつ、

オーストリア・ハンガリー帝国の訪問を次回にしたのも民族問題が大変な国だからですね。


貧しいユダヤ人が欧州から逃げたくなる気持ちがよく理解できますよ。

まわり全部がキリスト教徒ばかりで、

敵対されているのでは、ユダヤ人で

ユダヤ教徒は住み難いでしょう。


史実と同じくボスニア・ヘルツェゴビナは治める事が困難な土地に思えました。

史実でもセルビア、クロアチア、ムスリムで殺し合ってますからねえ。


オーストリア・ハンガリー帝国は前途多難に思えてしまいます。

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