155話目加藤段蔵の大手柄。
加藤段蔵と加藤衆はオーストリア・ハンガリー帝国で密かに大公夫妻の護衛任務についていました。皇帝の側近や
大公夫妻の側近や護衛についていました。
ここで欧州のオーストリア・ハンガリー帝国や周辺の史実との違いをおさらいしておきましょう。
実は宇垣昌弘は欧州の歴史(特に明治時代)に詳しくありませんでした。
なので1903年6月11日のその日、
セルビア国王の宮殿の近くに加藤衆の
分隊5名がいたのは偶然でした。
セルビア国王の護衛をしている仲間の所に会いに来たのです。
陸軍士官らがクーデターを起こし、
セルビア国王のアレクサンダル1世と
王妃のドラガ・マシンが暗殺されそうになったのです。史実では5月クーデターと呼ばれる大事件なのですが、護衛をしていた加藤衆が守りを堅める中、
クーデター軍を他の加藤衆が挟撃し殲滅に成功したのです。
護衛として雇われていたのは5名だったので、守りきれなかったかもしれません。守る事ができて本当に良かったです。
オブレノヴィッチ家はオーストリアを重視する政策をしている王家なだけに、これは大手柄でした。
そして大勢の陸軍将校が攻撃してくる中、最後まで国王夫妻を守ろうとし、
守ってみせた加藤の仲間の護衛達への評価も暴上がりしました。グルカ兵やスイス傭兵と並ぶ評価を得たのも大手柄です。
そして、宇垣昌弘は国王夫妻が襲われるような大事件を知らなかった事を反省し、欧州に増員をする事にします。
ついでに各国で情報を収集し、インサイド取引もガンガン始めます。
そして史実でセルビア王国の起こした
いくつかの戦争が起きずに済んだりしているのですが、加藤たちも宇垣昌弘も知りません。
そして、その日、加藤達はサラエボ事件が起きるのでは?と警戒していました。
オーストリア・ハンガリー帝国は併合宣言していないので史実よりは反感は少ないはずです。
ですが、加藤の気配察知スキルに敵意が感じられてきます。
大公夫妻の為に用意された宇垣マーク1に一行と秘書や護衛は乗り込むと
サラエボの街を進み始めます。
加藤は大公夫妻に『警戒なさってください。』と促すのでした。
護衛は防弾衣装、防弾スーツケース、
拳銃と投げナイフや仕込み杖で武装しています。
マーク1の運転手も護衛ですし、
他に2人の護衛が乗っています。
これが冬なら大公夫妻は厚着なので防弾衣装の防弾能力は更に高くなるのですが6月なのは残念です。
敵意は感じるし怪しい人間は見かけたのですが、襲いかかって来ないのは残念です。
その男が何かを投げようとしたので
護衛は咄嗟に腕をモーゼル拳銃で撃ちました。
その物体は投げられずに落ちると犯人の足元で爆発します。
死角が無いように加藤達はあたりを見渡します。
続けての攻撃は無く、大公夫妻は目的地のサラエボ市庁舎に到着できました。
加藤は『犯人達は5名ほどは居ると思います。攻撃する覚悟を持てなかった人間を2人ほど見ました。
あの爆弾男は怪しいと思った人間の3人目です。』と大公に助言しました。
『民衆が爆発物に巻き込まれないように、民衆の見物を禁止しましょう。』
と進言しました。
1914年までの5年間、ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチアにおいて、単独犯の暗殺者(主にセルビア人)がオーストリア=ハンガリー帝国官吏の暗殺を試み、失敗するという事件が多数発生していました。
フランツ・フェルディナント大公は連邦化構想の支持者であり、オーストリア=ハンガリー二重帝国内のスラブ人地域から第三の王国を形成し、二重帝国を三重帝国へと改編することに賛成していました。
スラブ系民族による第三の王国は、
セルビア民族統一主義に対する防波堤となる可能性があり、そのためにセルビア民族統一主義者らは大公を脅威として認識していました。
当地の軍司令官のミハエル・フォン・アペルは、軍の兵士を一行の予定ルートに沿って配置することを提案していました。
それは総督に却下され警備は警察に任されてしまったのですが、集められる警察官は60名ほどしかいません。
加藤は軍司令官の提案は素晴らしい。
と言い、軍司令官を援護したのですが
、、、
市庁舎内で休息しつつ加藤は考えます。
軍司令官に聞くと物資を輸送する為の
トレーラーやリヤカーがあるとの事。
警察署長や同行している総督は他の車両に乗ってもらい、大公夫妻のマーク1にはトレーラーを連結し、そこにも
護衛が6人乗って、加藤衆10人が大公夫妻のマーク1に乗る事にして車両6台で
博物館を出発し、行きと同じルートで
時速10kmほどの速度でゆっくりと走行して駅に向かう事になりました。
大公夫妻を歓迎するスピーチを脳天気にしている市長には呆れてしまいます。
爆弾が使用された暗殺未遂事件が起きたというのに。
大公殿下はあっさりとスピーチを終えて市庁舎を出発します。
車6台に乗り込むのは警護の人間、警察官や指揮する為の警察署長、という厳戒態勢でした。
帰りのルートの道には軍人達が武装して警戒体制をとっています。
軍司令官のファインプレイです。
総督に却下されたのに、独断で警備を
命令するとは素晴らしいです。
大公殿下は安心した様子になり、
軍人達を頼もしそうに見つめます。
厳重な警戒のおかげで車は駅に到着しました。
サラエボ事件は回避できたようです。
軍司令官へは大公殿下夫妻からだけでなく、皇帝陛下からも感謝が贈られるのでした。
その後、オーストリア・ハンガリー帝国では1914年の間、皇族からの犠牲者が出るような事は起きませんでした。
第1次世界大戦を防いだとなると加藤段蔵は大手柄を立てた事になりますね。
(暗殺犯達ですが、大公夫妻が川沿いの道を通った事、見学が禁止になり、
軍人達がその事を言いまわった事で
近くに行けなくなり攻撃を諦めました。
史実では爆弾が投げつけられて後方の車両の下で爆発し、16〜20名の負傷者が出ています。)
(大公の侍従であるルメルスキルヒ男爵は、兵士らが市内に到着して警備の体制を整えるまで、大公夫妻は市庁舎を離れるべきではないと提案しています。
オスカル・ポティオレク総督は、演習から直接やって来る兵士はそのような任務にふさわしい礼装を着ていないとして、この提案を拒絶しています。
ポティオレクは、「サラエボは暗殺者だらけとでもお思いですか?」と言って議論を終わらせています。
警察官の人数は60名であり、沿道警備にはとても足りません。
男爵の提案が受け入れられなくて残念ですよ。)
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