153話目 1914〜李書文の義勇軍が大暴れ
ロシア相手に負け続けて滅亡寸前と
国際的に思われている清帝国。
すでに死に体と思われています。
その清国国内において、ある人物の武名が鳴り響いています。
『李書文』
『神槍 李書文』とも言われる八極拳の達人の李書文が私的な義勇軍を率いて河北を中心とする幅広い地方でロシア兵士を襲い、全滅させ、民に食料を配り、大暴れしているのです。
ロシア軍から奪った重機関銃(錬金工場で整備済み)も駆使して大暴れしています。
『李氏義勇軍は100名のロシア兵を討ち取ったり!』『尽忠報国』と大きな町に張り紙を貼って、竹槍にロシア兵の首を刺して証拠にするので、大勢の民衆が『李書文』の事を中国南宋の岳飛将軍の再来だと噂するようになっています。
岳飛将軍は関羽将軍と並んで祀られている、もっとも民衆の人気が高い武将です。神格化もされ、明代には靖魔大帝に封ぜられました。
「尽忠報国」とは主君に忠義を尽くし
国を守るという意味で、岳飛将軍の言い続けた言葉です。
すなわち、岳飛将軍のようにロシアから祖国を守ると宣言しています。
ロシア軍も李氏義勇軍を必死になって
探すのですが、李氏義勇軍はロシアを嘲笑うかのようにあちこちでロシア軍を蹴散らして、ついには1000人のロシア兵を討ち取ったり!と宣言するのでした。
(首以外のロシア兵の遺体はそこに残し、具体的にどこで何人のロシア兵を倒したと李氏義勇軍は張り紙に書きしるしています。)
『天下に「尽忠報国」の志がある者は
李書文だけか!』
『岳飛将軍の志を受け継ぐ者は李書文だけか!』
『この天下に武術家や軍人は数多くいれども、ロシアの顔色を窺う臆病者ばかり。李書文と弟子達のみが勇気ある
漢に候。』と書いて宣言したりもしています。
李書文老師も服部半蔵もノリノリです。
遂には、サンプトペテルブルグのロシア皇帝の宮殿に遠距離から小銃が撃たれて、犯行現場に『李氏義勇軍、参上』『尽忠報国』と張り紙が書かれ、ロシア兵の塩漬けの首が竹槍に突かれて晒されていました。
この李書文の義勇軍の話は欧州やアメリカの新聞も書き立てて、李書文の義勇軍は世界的に有名な存在になるのでした。
ロシア皇帝は激怒し1万人のコサック騎兵を派兵し李氏義勇軍を殲滅しようとするのですが、李書文側は、
『ロシア皇帝からの馬肉の差し入れはありがたし。毎日、馬肉が食べられて嬉しく候。』
と張り紙し馬の頭を竹槍に突き刺すのでした。
そして、李氏義勇軍がロシアのコサック騎兵を倒して馬を奪い、数百名の兵士が『李』『尽忠報国』と書かれた旗を持ち、数百の軍馬に跨った写真が世界中の新聞に掲載されるのでした。
ロシアのコサック騎兵の馬を使い魔にして更に神出鬼没になった李氏義勇軍。
ロシア兵から奪った大量の武器弾薬によって更に強くなるのでした。
勇猛果敢ではありますが、略奪、殺人、強姦を当たり前のように行う
コサック騎兵を大勢派遣したのはロシア皇帝の大失策でした。
コサック騎兵達は簡単に蹴散らしてやるとばかりに、100名ほどの集団でバラバラに動いたのですが、李氏義勇軍からすると倒し易い手頃な相手です。
かなり大勢のコサックを狩る事ができました。
そして、李書文の義勇軍の活躍に勇気づけられた各地の武術家が義勇軍を結成し始めます。
こうして李書文の活躍によって、清国各地では更なる戦乱が巻き起こるのでした。
日本にある関帝廟(神格化された関羽将軍が祀られている。)では、関羽将軍の隣に岳飛将軍と李書文将軍が早々と祀られるようになるのでした。
ロシア国内でも李氏義勇軍によるゲリラ戦が行われるようになり、
宇垣新聞には声明が出るようになります。
1914年に李氏義勇軍が行った戦果は
ロシア兵2000名を討ち取っています。
更にロシア国内で兵士や警察官ら数百名を討ち取っています。
李書文の武名は更に高くなるのでした。
李書文老師と服部半蔵と伊賀衆、甲賀衆ら数百名で、この大戦果、、、
良い実戦訓練ができました。
1915年の正月の北京郊外に李氏義勇軍
500名が騎乗して現れて、北京の民に100匹のコサック騎兵の馬を殺して肉をを振る舞い、去って行きました。
北京や天津では李書文の武名は益々高くなるのでした。
ですが、河北省の李書文の出身地の民はロシア軍の襲撃を恐れて天津から船に乗り、台湾の宇垣財閥が用意した開拓地に移住する事になってしまいました。
巨大なダムによって開拓された開拓村も八極拳の里になるのでした。
河北の寒村より倍の田んぼと家を用意したんですけどね。
李老師の親戚や同門派の人達には恨まれました。
(李老師が英雄になると態度は逆になり、威張るようになるんですけどね。)
済州島にも避難した武術家達が住むようになり、済州島も武術の里と後に言われるようになって行きます。
もちろん、ロシアに隠れての極秘の移住です。
これらがオープンになるのは戦争終結後のずっと先の事です。
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