146話目ルドルフ・ディーゼル&イーゴリ・シコールスキイ

ルドルフ・ディーゼルさんといえば

ディーゼル機関の発明者で世界的に有名な人物です。


そのディーゼルさんがふらっとダイムラー社にやってきて、『飛行船に乗せてほしい』と言ってきたのには宇垣自動車の社員達も驚きました。


ダイムラー社で働いていた前野長康

はディーゼルエンジンを宇垣財閥が重視している事を知っていましたし、

ディーゼルさんに便宜を測っていいと

聞いていたので次の便に載せれますよ。と快諾しました。


快諾された事には逆にディーゼルさんの方が驚いていました。

なんせ費用は豪華客船以上でしょうからね。

軍事機密かもしれませんし。


その3日後にディーゼルさんは『天の鳥船』3号機に乗って日本に来訪しました。


もちろん費用とかは取りません。

宇垣財閥の招待です。

国賓として招待するつもりです。


宇垣昌弘はこの頃にディーゼルさんが自殺をすると思い出していました。

彼には思い直してもらって、なんなら新天地の日本でディーゼルエンジンの開発を行ってもらおうと思っていました。


日本では観光を楽しんでもらいつつ、

日本の最新型の船舶用ディーゼルエンジンや車両用のディーゼルエンジンを見てもらって、彼を刺激しようと思っていました。


特に船舶用の8000馬力のディーゼルエンジンには驚くと思います。

現時点では世界の最先端でしょうから。

馬力も中々ですが信頼性が高く、他国のものに比べて軽量です。


スーパーチャージャーとターボを組み合わせる予定です。


最初は元気が無い感じだったルドルフさんも日本で温泉を楽しみながら

美食を味わうと徐々に元気を取り戻していきました。

エンジン開発の仕事で充実して生き生きと働いています。

美人のメイドさんにお世話をされて、

生きがいを取り戻した様子でした。

彼は燃焼室形状の改良に積極的に取り組むようになっていきました。


彼は日本で長生きしていくつもの特許も国際的に取るくらいになるのでした。


そして同時期にある人物がユダヤ人難民に混ざって日本を訪れます。

彼の名前はイーゴリ・シコールスキイ。航空機先進国のフランスで航空機の設計を学んでいた彼ですが、日本の巨大な飛行船に度肝を抜かれてしまいました。

そして間近で日本の新型戦艦や飛行船や飛行機を見てみたいと思うようになったのです。

彼はルノーで宇垣自動車の社員に話しかけ、『日本の飛行船が見たいのだが、どこに行けば見れるだろうか?』

と尋ねました。


ここで彼の特徴的な名前が役に立ちました。ロシア人でイーゴリ・シコールスキイ?、、、まさか彼は!と鍋島直茂は気がつきました。

飛行船なら定期的にドイツにやってきてマーク1を運んでくると伝え、

ダイムラー自動車の宇垣自動車の社員に会いに出張する用事があるから、

マーク1で一緒にドイツまで行かないか?とシコールスキイさんを誘いました。

『帰りの便ならデトロイト経由か直帰ルートで日本に行けるよ。』

と彼を誘います。


超高級車のマーク1で長距離ドライブ

旅行できて、飛行船に乗れるかもしれないと思ったシコールスキイは舞い上がって喜びました。

イーゴリ・シコールスキイさんのフランスの友人達は羨ましがりました。

超高級車でのドライブに話題の超大型飛行船を間近で見れるのですから。


ドイツまでの旅は快適そのものでした。彼はマーク1が操縦できてご機嫌でした。

ドイツで超巨大飛行船を見て、あまりの巨大さに絶句しました。


全長500mの巨大な飛行船が優雅に空に浮かんでいます。

そして着陸し、後部のハッチが開いて

スロープが降りるとマーク1が次々と飛行場に降りて行きます。

10数台のマーク1が横に並んでいます。

50台ものマーク1がハッチから次々と出て行きます。

シコールスキイさんは絶句して、その光景を見つめるのでした。


150トン以上もの輸送力を持っているの

だから無理もありません。

この天の鳥船が日本に帰国して、1週間後にまた50台のマーク1を運んでくるのです。


イーゴリ・シコールスキイさんは向こうから来てくれました。


ディーゼルさんは特許に関して手に入れる時に話していたくらいです。

どうやら、ディーゼルさんは妻との家族関係やビジネスに悩みを抱えていた

ようですね。

ほぼすべての財産を妻に残して離婚し

日本で新しい生活を楽しんでいます。


宇垣造船のエンジン部門のディーゼルエンジンの開発を楽しんでいます。


彼がやりたかったのは技術開発の現場仕事だったようですね。


日本人でいうなら本田宗一郎タイプ。

現場でエンジンを弄っていたいタイプですね。


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