124話目金子直吉さん。

鈴木商店の金子直吉さんから面会を申し込まれて驚いた。

しかも、鈴木商店が車を製造したいのだと言う。

鈴木商店は小林製鋼所を持っている為

わからなくはないが、さすがというか

なんというか、、、

感心せざるを得ない。

小林製鋼所といえば後に神戸製鋼になる大企業の母体になった企業である。

戦前から技術には定評があり、技術が必要な特殊な製品の世界シェアが高く

世界の神戸製鋼と言われた企業だ。

理想的な製鋼企業である。


帝人もそうだが鈴木商店の育てた企業は後に大企業に育つ優良企業が多い。


この金子直吉さんを陰から助けて、

鈴木商店を倒産させないようにするのも日本にとって大切な事だと思っているので、この面会は望むところである。

それにしても世界のモータリゼーション元年の翌年に畑違いの自動車産業に

参入しようとするとはさすがである。

動きが早い。


なんせ今の鈴木商店は樟脳、はっか、麦粉、外米、砂糖などを扱っている小さな貿易商に過ぎない。


鈴木商店が成長するのは史実だと第1次世界大戦においての買い付けによって

であり、大戦は無いけど鈴木商店は成長するのか?と思っていたのである。


しかも、うちの工場で金子さんの部下に仕事を覚えて貰っていずれは自動車工場を設立したいのだという。


『つまり、自動車工場を本業にしたいと?』

『世界中でマーク1やミゼットが走ってますが、こんなに便利なもんが売れんわけないと、思うとります。

今の10倍の規模の工場がすぐにでも

必要になると確信しとります。

是非、私等を使ってやってもらえまへんやろか。』


つまり、今の鈴木商店のやっている事業はもう1人の大番頭さん達に任せて、

金子さん達は鈴木自動車という子会社を設立して育てて鈴木商店を支える柱にしようというらしい。


この人、小林製鋼所を買ってすぐにうちに鋼鉄を売りに来てたらしいし、

技術力を高めようと奮闘していたらしい。

金子さん達に対しては、うちのゴーレムは実際に鋼鉄を作ってる溶鉱炉を見せて、うちが使ってる不純物を取り除いた鉄鉱石を融通して良質な鋼鉄を生産できるように応援してきた。

具体的に改善点を指摘するとすぐに対応してきて品質の良い鋼鉄を売りにやってくるのだから日本の製鉄メーカーの中でも1番気にかけていたメーカーが

小林製鋼所である。


この人も直感スキルの能力者だからね。さすがと言える。


それからの金子さん達の動きは早かった。

若者達を引き連れて引っ越してきて

小一郎の下でフル回転して金子さん自身が懸命に働き始めた。

昼は工場で働き、夜は技術の勉強をする。1ヶ月もしないうちにバイクの125のメンテナンスやフルオーバーホールができるようになり、ミゼットの機能を勉強し始めた。

鈴木商店に入社したばかりの高畑誠一

さんなんかは特に優秀なようでゴーレム達が感心していた。

さすがは総合商社の会長になるような

歴史に名前を残す有名人は違うと思ってしまう。

この人が史実の4年後には大活躍をし始めるんだが、まだ20代だもんなぁ。


ついでに鈴木商店のメインバンクの1つに宇垣銀行も加わった。

まぁ、台湾銀行もうちの銀行の傘下みたいなもんだからな。

台湾総督はずっとうちのゴーレムだし。


その後、金子さん達は自動車の製造工場を立ち上げ、宇垣自動車の子会社として、オリジナルの自動車を試作するまでになって行く。

高畑さんはデザインの才能もあり、

設計もできる経営者として有名になって行くのだった。


金子さんのビジネスセンスは本当に凄い。マーク1やミゼットの各パーツを

製造する高品質な部品メーカーも立ち上げようなんて考えているらしい。

神戸から大阪にかけては金子さん達に

任せる事になりそうだ。

未来の話だが。


ふむ。

電化製品か、、、


マーク1やミゼットが大人気なのは

ライトなどが長持ちするのも人気の理由らしい。


確かに、簡単に修復できるくらいの

故障はするのが普通なのが、他社の車だもんな。

電球の類いは振動などで切れやすいし。

保存魔法と錬金工場でのランクアップのせいか、うちの車とバイクは全然故障しないよな。


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