121話目エルモア、アウディ、フィアット傘下に。〜1911

(1910〜)

今や20社を超えようとしているミゼットシスターズ。

ですが、史実のT型フォード旋風とは大きく違っているところがあります。


T型フォードは量産して値段が下げられるようになったら値段を下げて

薄利多売していましたが、ミゼットは

強気の商売で一切の値下げをせずに、

定価掛け値なしの商売を貫きました。

その分、後ろに取り付けて荷物を搭載するトレーラーの大型トレーラーを普通のトレーラーと同額の50ドルで販売したり、ブレーキやサスペンションを強化したり、改善を進めました。

なんせ注文が多過ぎて困っているくらいだったのです。


もちろん量産効率化のおかげで利益率が上がってる各メーカーは大儲けしており、宇垣自動車の手にも膨大な利益が舞い込んでいます。

そうですパテント料金です。

マーク1もミゼットも宇垣の車ですから。


傘下のメーカーは生産規模を倍々に拡大しても注文が増えるばかり。

一体、何が起きているのかと困惑して

います。

年間の生産台数が数百台でも

喜んでいたくらいだったのに、今や年間生産台数5000台規模の工場を稼働させ、更に5000台規模の工場を建設して

います。

部品の品質を下げないように内製して

いますから工員の人数も莫大に増加しています。

『あんなに売っているのに注文が減らないのか?何がどうなっているのか、、、』と経営陣は思っています。

ドイツ国内ではダイムラー社、ベンツ社、BMW社、クルップ自動車が大量に生産しているのに全然足りません。


でしょうね。

隣国のオーストリアハンガリー帝国、イタリア、フランスに流れたり、ポーランド地方経由でロシアに大量に輸出されていますから。

イギリスのローバー社やロールスロイス社、フランスのルノー社が悲鳴をあげています。


多くの商社が輸出していて、今や世界に拡散していますからね。


あのT型フォードが1500万台も売れた事を知っている宇垣昌弘やゴーレム達ですら売れ行きに驚いているのですから、当事者のメーカーの経営陣が困惑するのも当然でしょう。


その一方で、アメリカのエルモア社のように、650ドルというミゼットより300ドルも安い自動車を販売しているのに売れずに宇垣自動車の傘下に入る事を考え始める企業も増えています。


この事を知ったらフォードさんも驚いたでしょう。

エルモア社の車はデザインなども悪くはないからです。

でもマーク1とミゼットが出たせいで

自動車のデザインのハードルが上がったというか、

ミゼットやマーク1が時代の最先端を行ってるので、どうせならミゼットが欲しいと大勢の人が思ってしまったのです。

まぁ、わかるような気がします。

T型フォードも安いというだけでは

売れなくなりA型フォードにモデルチェンジせざるを得なくなりましたしね。

その宇垣財閥の当主の昌弘の側近の

ゴーレムがエルモアの車に乗ってると知ったらどう思うのでしょうねえ。


エルモアの車の耐久性を調べようと

ダンジョンの中で乗っています。

T型フォードや他の乗用車も乗って操縦性や耐久性をテストして確かめていますよ。


それで思ったのはミゼットの性能を高くしといて良かったって事ですね。


元々、宇垣自動車は大衆向け自動車を

売り出すつもりは無かったですから。

ミゼットは小型トラックのつもりでしたから。

ところが大ヒット。

4シーターモデルや6シーターモデルを

売る事に、、、

T型フォードが売れるんじゃないの?と思ってたくらいですからねえ。


初期型T型フォードが売れないのはわかりますが、デザインをマイナーチェンジしたモデルは売れると思っていたらまさかの売れ行き不振。

エルモア社のもっと安い車も販売不振になってます。


史実の1945年以前に大ヒットした車でもデザインがあれ?ってデザインな車は多いんですよね。

いや、売れてはいるんですから、どの車とは言いませんが、あのデザインの

車がヒットしたって嘘だろと言いたい

車が、、、


未来人的感覚の宇垣昌弘やゴーレム達が知ってる車の中でデザインが良い物を更にリファインして、車内のデザインとかも考えに考えて工夫して出したんだから、マーク1やミゼットが大ヒットするのは当然か。


次にはフォルクスワーゲンビートルを

更にリファインした自動車を出そうとか思ってるくらいだし。

もしくは、モーリスのミニクーパーね。



その宇垣自動車傘下のメーカーに更なる難問が、、、ボンネットトラックの『ボントラ』とボンネットバスの『ボンバ』を欲しいとのお客様からの注文が各メーカーに届き始めました。


アメリカではエルモア社、

ドイツではアウディ社とホルヒ自動車が、

イタリアではフィアット社が

株式の49%と引き換えに宇垣自動車の傘下に入る事になりました。

それぞれが5000台規模の自動車工場の建設を開始します。

エルモアは小規模メーカーですし、

アウディはホルヒさんがホルヒ自動車から追い出されて1からやり直しをし始めたところです。

追い出したホルヒ自動車も傘下に入るのは皮肉です。

フィアット社も悪化しつつあった経営再建には傘下に入るしかないと決意しての参加でしたが、これでミゼットシスターズは20社になりました。


あっ、宇垣自動車も入れると21社か。


フォード、GM、ダイムラー、キャデラック、BMW、ベンツ、ローバー、

オールズモビル、ビュイック、パッカード、エルモア、オークランド、シボレー、クルップ、ボフォース、ロールスロイス、ルノー、フィアット、アウディ、ホルヒが宇垣自動車の傘下のメーカーです。

史実ではGMに買収されて内部に入ってしまった企業もありますねえ。


シボレー スペリアなんかは良いデザインなので、売り出していたら良いライバルになったかもしれませんね。

あのT型フォードを猛追して大ヒットした自動車ですからねぇ。

未来のホルヒ自動車も超高級車でありながら値段的には安めの自動車を売ってるわけですから、マーク1とコンセプト的には同じ自動車を売ってるメーカーですねぇ。

そのホルヒの良いデザインも加味して

マーク1のデザインが良くなってるわけなのですが。

実に皮肉です。


(シボレー社は反デュラント派の投資者達が独立させたGMの内部分裂派の

メーカーです。

デュラントさんとは袂を分けたいそうで、、、。)


GMのデュラントさんがトラックメーカーを買収していたせいでボンバとボントラの初期生産は凄く助かりましたがGMには更に生産依頼が舞い込んでデュラントさん達がデスマーチする事に、、、

デュラントさん達には『とりあえず1万台くらい作ってね。』と伝えておこう。


意外と多くのバス&トラック車両が日本でも使われていたんだな。

まさか日本国内から2000台もの注文が

来るとは、、、

面倒だから錬金工場で作るか。

いくら秀吉でもすぐに工場の稼働は無理だし。

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