115話目『6.5mmx50SR・mark1』
前話で高品質な『6.5mmx50SR・mark1』の性能に陸軍は狂喜乱舞したと言ったが、ゴーレム技術者とも親しく技術の話をするようになっている陸軍の幹部達は精密兵器の製造はマイクロゲージを使用して小銃&重機関銃の銃弾を製造することが大切なのだと骨身に染みて実感するようになっていた。
と、いうのも高品質な銃弾を高品質な
重機関銃から発射していると故障やトラブルは起きないのに、不合格品の銃弾を発射していると銃弾を発射した後の薬莢が薬室内に張り付いて薬莢が千切れるといったトラブルが起きるのである。
更に、不合格品の銃弾だと500m先の誤差も大きくなる。
その頃の小銃としては普通な三〇年式小銃から不合格品の小銃弾を撃つと、
高品質な今の小銃と小銃弾の組み合わせとは大違いな事に絶句する。
誤差が大きいと遠距離狙撃なんて到底不可能だ。
幹部の中には幕末の頃のゲベール銃やミニエー銃では新型のライフル銃との性能差が圧倒的で、古い小銃では戦いにならないと言っていた先輩達の話を思い出した者も居た。
幕末や明治初期の戦争体験者も上には
大勢残っている。
あらためて、油断せず技術開発し続ける事や、徹底して品質管理する事の
重要性を思い知るのだった。
少しでも油断して銃弾や重機関銃や小銃の品質が低下すれば、故障が増えて兵士達が苦労するのだから。
そして、幹部達は品質管理を徹底して銃弾を製造すると、ここまで高性能になるのかと驚いた。
500m先は遠い。
だが、スコープで標的を見ながら、照準を合わせた後にガッチリと照準固定した三八式騎兵銃の引き金を引くと、500m先の的に銃弾が命中するのである。
まさか、こうまで簡単に500m先の的に
当てられるのかと幹部達は驚かざるを得なかった。
しかも、初速が上がっているのに
反動はそれほど強くなっていない。
全然反動が変わっていないとは驚きで
ある。
そして、新型の強化プラスチック製軽量銃床にも驚かされる。
軽量でありながら強い銃床に変更する事で三八式騎兵銃は銃床内部に手入れ用品をより多く入れる事もできるようになり、さらに軽量な小銃になった。更に装弾数も増えて10発になった。
(10連発マガジン着脱式)
そして、宇垣銃砲から重機関銃の改良プランも出されてくる。
それは新型銃身を現在のマキシム重機関銃に取り付けるというものであった。
この新型銃身と新型銃弾の組み合わせの効果は高く、600m先に伏せている
敵兵に対して正確に銃弾を命中させて
制圧する事が可能だった。
史実の九二式重機関銃も兵士達から高く評価されたが、かなりの遠距離制圧能力である。
陸軍省はすべての重機関銃に新型銃身を取り付けて改良する事を決定した。
これらの新型重機関銃は更に改良が施されており軽量化も進んでいる。
そして、二脚を取り付けて1人の歩兵でも扱える軽機関銃だが、43式軽機関銃が正式採用される事になった。
以前から改良が重ねられていたAKM自動小銃コピーだが、とうとう軽機モデルがお披露目である。
日本陸軍の一個小隊は三個の重機関銃分隊編成だが、軽機関銃も3丁ほど配備される事になる。補給小隊にも同様なので相当な火力アップである。
この43式軽機だが『6.5mmx50SR・mark1』と組み合わされると恐ろしい遠距離攻撃可能な軽機に変貌した。
600m先でも一方的に打ち据えられて
頭を上げられず、降り注ぐ重擲弾にやられるのだから、敵軍が可哀想である。
しかもAKMの軽機関銃モデルなだけに
寒冷地でも故障無しである。
なお、銃身は簡単に交換できるものの、発射速度は重機関銃同様に抑えめにしつつの採用だった。
(この銃身だが加熱している銃身を取り替えて休ませて、交代させながら射撃すると使い続ける事が出来る。)
追記、アメリカの陸軍と海兵隊の
60mmM224迫撃砲だが、普通の迫撃砲モデルと、二脚を取り外し、軽量な底板の個人携行型モデルがある。
その個人携行形態は8.2kgとかなり重いし砲身も長いが最大射程は3490mもあり、さすがはアメリカというべき素晴らしい迫撃砲である。
砲身長: 1,000mm
重量: :21.1kg(二脚使用時)・8.2kg(個人携行形態時)
M225砲身:6.5kg
M170二脚:6.9kg
M7底盤(円形・二脚使用時):6.5kg
M8底盤(長方形・個人携行形態時):1.6kg
M64A1照準器:1.1kg
性能
砲口初速: 213m/秒(榴弾)
最大射程: 70-3,490m
発射速度: 最大:30発/分、持続:20発/分
なお、チェコには60mm軽迫撃砲MK98ANTOSというコンセプトが
37式重擲弾筒と同一のコンセプトの軽迫撃砲がある。
スペック
口径:60.7 mm
全長:705mm武器長
砲身長:454mm
重量:3.6 kg(通常の60mm迫撃砲は20kg。37式重擲弾筒は4.7kg)
仰角:45~85度
射程:
通常:70~400 m
チャージ:170~1000 m
暴動鎮圧弾:50~120m
チャージ砲弾だと1000m先に届く射程の長さといい、デザインといい、コンセプトといい、史実の89式重擲弾筒をさらに進化させた素晴らしい迫撃砲である。二脚が無いし、引き金を引く発射の仕方といい89式重擲弾筒に
そっくりである。
なお、空挺部隊モデルは更に軽量化しているらしい。
89式重擲弾筒のような素晴らしい兵器は色々な国の色々な兵器にコンセプトが受け継がれて発展して進化しているというのは嬉しい限りですねえ。
さて、日本はどっちに進化するべきか。
M224はこの時代なら開発は難しいが、
錬金工場なら同一砲弾の大量生産が可能だから実用化は可能だ。
迫撃砲の砲身なども同一の物を大量生産が可能なので開発が可能である。
いざに備えて開発した方がいいだろう。なんせドイツのMG34はスコープを
取り付ければ3km先からの狙撃めいた攻撃が可能だ。
そんな時にM224のような長射程の迫撃砲があれば3.5km先に対して砲撃を浴びせたり、発煙砲弾で視界を塞いだり対処の仕方があるからだ。
MG34やMG42と同じくらいの性能の軽機を開発しておけば性能差で圧倒はされないだろう。
宇垣昌弘は高性能な60mm迫撃砲のM224及び、MG34のような高性能軽機関銃、MG 151のような高性能重機関銃
機関砲の開発に着手した。
重機関銃は12.7mm、15mm、20mm
の3タイプだ。
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