112話目完成し始める新型アメリカ戦艦。

大西洋艦隊を復活させる為に建造されていたサウスカロライナ級戦艦が

続々と完成し始めた。

美濃級の新型戦艦が誕生して5年。

ドレッドノートにも遅れてようやくの進水式である。


副砲に12インチ(30.5cm単装)砲を搭載しようとしたが、発射時の爆風が酷く、トラブルが多発した為に改装する羽目になったとか、色々なエピソードがあるが、前級のコネチカット級戦艦を継承発展させた手堅い設計の戦艦でもある。

だが、アメリカ国民期待のM(美濃)級と同級戦艦。

今年(1910)に2隻、来年に1隻。

その後も順次完成し始めるとなると

海軍にとって期待も高まろうというものである。

日本の美濃も艦内の配置とかは富士級戦艦を拡大発展させた設計であり、

コネチカット級を『拡大発展』させた事は悪くはない。

だが、主砲の砲塔を倍の4砲塔に増やし

8門にするのにコネチカット級と同じ

基準排水量16000トンというのは大丈夫なのだろうか?

全門斉射する事ができるのだろうか?


せっかくの新型戦艦なのに、『史実』では『2隻しか』建造されず、デラウェア級が設計されているのが不穏である。

海軍側の評判がいいとコネチカット級のように量産されるのが普通だからだ。

サウスカロライナ級の後に設計されたにも関わらず、史実では1908〜1909

年に完成したデラウェア級戦艦だが、

この世界では存在すらしていない。


このデラウェア級だが基準排水量20380トンの船体に30.5cm45口径連装砲を5基も搭載してしまう。

これによって全門斉射した場合に強すぎる反動で照準がずれるなどの不具合が起きてしまう。


サウスカロライナ級は8門の主砲を搭載するには小さかったし、デラウェア級は10門搭載するには小さかったし、両方とも不具合を抱えてしまった戦艦になってしまっている。


こうして経験を重ねてって、経験を重ねる為に、600万ドル以上のお金を浪費していいのだろうか?

日本は爆風圧力とかを計算して、

色々と決めているのだが計算とかしないの?だろうか。


美濃のお披露目の時とかにアメリカ海軍武官さんだって全長や全幅はどれくらいなのかチェックしてたんだろ?

1万8000トンは超えていそうとかは

わかるだろ?

富士改が主砲を6門搭載してた時だって

1万8000トンくらいあるってわかるだろ?

なんで1万6000トンの大きさで主砲を

8門も搭載しようとするのかね、、、


この後、完成したサウスカロライナで

色々な試験が開始します。


美濃やドレッドノートが21.5ノット以上の高速力な事や、インビンシヴルが24ノット以上の高速戦艦である事、富士改も18ノットで楽々と巡行し美濃と同じくらいの高速らしい事、高速戦艦の薩摩も24ノットくらい出せるのでは?と推測していたアメリカ海軍は、

18.95ノットしか出せなかったサウスカロライナにヤバいと思ってしまいます。

というのも砲弾とかを満載せずになるべく軽量化した状態で試験しているのに、19ノットに届かなかったのです。

重油や石炭や砲弾を満載した状態だと

18ノットを出すのに、かなり無理しないと出せないでしょう。


とりあえずは仕方がないとアメリカ海軍は諦めます。

少なくとも、新型戦艦である事は確か。

サウスカロライナ級戦艦が増えれば、

大西洋は安心だとアメリカ国民も思ってくれるだろう。

なんて思っているようです。


日本の戦艦達は全部が19500トン以上の基準排水量で、13インチ(33cm45口径)砲を8門搭載しており、

軽々と26ノットで航行でき、18ノットで巡行でき、砲弾の重量は500kg。

砲身は23度まで上に上げる事が出来て

2万6000m先に撃つ事ができると知ったらどう思うのやら。


1隻あたり600万ドルの予算の枠を外して設計するべきでしたね。

設計者が悪いのではなく、議会が悪いのですが。


期待の新型戦艦だけにブライアン大統領も進水式のセレモニーに参加しています。

ブライアン大統領はあたりを探しますが、前の大統領のセオドア・ルーズベルトは見つけられませんでした。


いや、見つけられなくて良かったのかもしれません。

まさか大統領と前大統領が言い争いを

するわけにもいきませんから。


それに、あちらも言いたい事があるかもしれません。

アメリカ海軍の旧式小型艦をブライアン大統領は売り払って数が激減していますから。

これらの小型艦に乗っていた乗組員達に転属してもらって、ようやくサウスカロライナと2番艦のミシガンの人員を

用意できたのです。


キングさんはサウスカロライナに乗っています。キング分隊の皆さんもサウスカロライナに移動しました。

キングさんはそこで、死んだ目をして

ぶつぶつ呟いているレイモンド・スプルーアンスさんを見て、ヤバそうな奴だなとドン引きするのでした。


レイモンド・スプルーアンスさんは

緻密な頭脳の持ち主です。

今のアメリカ艦隊では、いや、このサウスカロライナでは日本の美濃や薩摩には勝てないとすぐに気がついてしまったのです。


『あんな至近距離からアメリカ艦隊が砲撃したのに、日本は戦艦が1隻も沈んでいない。』


『新型戦艦の美濃だけでなく、富士すらも沈んでいないとは何故だ?』


『あんな至近距離からの砲撃を受けて

沈まないわけがない。理解できない。』

とスプルーアンスは終わりのない問いかけを言い続けていました。


あの戦いではアナポリスの先輩や同期が大勢死にました。


戦場病とは少し違うのですが、

戦場病じゃないか?とまわりからは思われています。


新型戦艦として美濃が完成して5年になろうというのに、、、グレートホワイトフリートの敗北を見れば、12インチ、30.5cm45口径連装砲では通用しないのに、祖国のアメリカが美濃に劣る戦艦を大量に建造していたら、、、

そりゃあ病むか。



34.3 cm砲(13.5インチ砲)を45口径

にした戦艦で、最低でも8門は主砲を搭載した戦艦が必要だとスプルーアンスは思っています。

もちろん、34.3 cm砲に対応している防御力の戦艦です。

至近距離からの自口径の大砲に耐える

重防御戦艦が欲しいと思っています。


はたして彼の声は上に届くのでしょうか?

ちなみに彼はイリノイ級戦艦などは砲身は短いけど13インチ砲を使っていた

じゃないか。

砲身を45口径に伸ばすだけと言って

説得するつもりなのですが、、、

イリノイ級は35口径でした。

舷側装甲も最厚部分は厚いのですが

この厚さでなければ強度が確保できない装甲でして、、、ええ、ハーベイ鋼です。史実の三笠などの敷島級戦艦は

クルップ鋼です。その1世代前の装甲ですね。

同じ頃に完成した富士のライバル的な戦艦ですね。


イリノイ級戦艦の全長114.5m

最大幅 22.0m

水線幅 22.0m

吃水 7.16m

常備排水量 11,565t

満載排水量 12,250t

機関関係 Illinois:竣工時

主罐 円罐:8基

主機 直立型三気筒三段膨張式レシプロエンジン:2基

軸数 2軸

出力 10,000ihp

航続距離 10.0kt / 4,190nm

速力 15.0kt

燃料搭載量 石炭:1,400t

装甲防御 Illinois:竣工時

水線部舷側装甲 16.5" (419mm)

上部舷側装甲 5.5" (140mm)

中甲板装甲 76mm (3.0in)


主砲塔

前面:356mm (14.0in)

天蓋:89mm (3.5in)

主砲塔バーベット部 10.5" (267mm)

副砲ケースメイト部 152mm (6.0in)

司令塔

前面:254mm (10.0in)

側面:254mm (10.0in)


搭載火器 Illinois:竣工時

主砲 Mk.1 35口径33.0cm連装砲:2基

副砲 Mk.3 40口径15.2cm単装砲:14基

小火器 Mk.1 50口径5.7cm (6pdr) 単装砲:16基

水雷兵装 45.0cm単装魚雷発射管 (舷側固定式):4基


知将スプルーアンスがアメリカ側の軍師だったらアメリカは強敵になるでしょうね。さすがはレイモンド・スプルーアンス。


史実のように2万トン超えのデラウェア級戦艦が建造され、デラウェア級か、それ以上の戦艦が量産されていたら

スプルーアンスの精神も安定していた

でしょうねぇ。


それに、軍備の最適解に1番早く気がつくのはスプルーアンスかキングかニミッツの誰かでしょう。

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