107話目オート3輪走る!!

世界的大ヒット商品として超高級自動車の量産型として大人気になった

宇垣マーク1。


小型バイクの代名詞となってマイファーストバイクと呼ばれるようになりつつある宇垣125。

(125は普通のドアをくぐらせて家の中に入れる事ができます。タイヤを拭いて

自室の部屋の中に入れて磨くライフスタイルが流行するほど愛されるバイクになります。

これ、ランサーさんがやっていて、

ヘンリーフォードさんもやり始めて、

新聞記者が世界に拡散して流行し始めたライフスタイルなんですよね。

フォードさんにしてみると自室で整備ができるライフスタイルは快適だそうで。

これ、フォードさんの息子さんもやってます。)


で、『日本』での小型商用車として

発売されたオート3輪ちゃん。

大ヒットになり、オート3輪人気の起爆剤になったのですが、主人公はバイクが大好きなバイク乗り。

マーク1にものめり込んでいた主人公は、メカ好きのゴーレム達の中の志願者、羽柴小一郎くんのプロジェクトチームに丸投げして、任せっきりにしていました。

デザインイラストは自分で書きましたし、設計図はチェックしていましたが。


史実の日本でも色々な法律の枠に入れられずに自由に成長し発展していった

オート3輪達。

この世界の日本はゴーレムの天下だけに自動車関連の税金は未整備状態、法律も未整備状態です。

官僚というのは色々と決めたがり、指導したがるものですが、実務の担当者が全員ゴーレムなら、その省を支配したも同然です。

悪名高い日本の車検制度ですが、この世界の日本には存在しません。


あっ、保険は入るのが当然で入らなきゃダメですけどね。


で、オート3輪ちゃんは軽トラくらいの小型サイズから設計スタートしました。

もちろん未来知識のあるゴーレムだけに、鳥山明先生風の可愛らしいデザインです。

このオート3輪の運転席が可愛い顔に見えるペイントは子どもたちにも大人気になります。(楕円形のライトが目に見えるんですよね。


あの宇垣自動車が面白い商用トラックも販売している事は世界に拡散して

しまいます。


世界各地の大都市にディーラー網が整備された時、ディーラーの社員さん達が乗っているオート3輪の『ミゼット』が『みーちゃん』とか『ミゼットちゃん』と呼ばれて大人気に。

農作物を買ってくれた日本の宇垣商事

に感謝していたアメリカの農家でも、

安い値段のミゼットは買い易いので

日本とアメリカで大人気になってしまいます。

日本のミゼット1500は1500ccで軽トラより大きめモデル。

試験的に発売されました。

運転席の可愛らしさのデザインは同じですが、アメリカのミゼットは運転席が広めで大人1人と子ども2人が乗れるサイズで、マツダT2000型のようなデザインでより大きな車です。

フォードとゼネラルモータースとダイムラー社の新工場で大量生産が始まってしまいました。


読者さんには、『なんで不況のアメリカでフォードとGMの2社がマーク1を作ってんの?』と思われていたかもしれませんが、マーク1は作るのに時間が必要な超高級自動車。それで2社でないと注文に対応できなかったのですが、もう1つの理由がミゼットの大ヒットなんです。

史実でもフォードTTトラックは大人気になり大ヒットしますが、考えて見れば初期のT型フォードは2人乗りだったりしますし、可愛いミゼットがT型フォードの市場を食ってしまいます。

大人気な125もミゼットの車体なら二台を乗せて運べたりしますし。

フォードさんはミゼットの荷台に小型バギーを乗せて運んだりしてましたが、フォードが売っていた小型バギーが再ブレイクして注文が増えたりもしています。

ミゼットの大人気でフォードTTトラックが歴史から消えてしまう事に、、、フォードさんは考えていたんですけどね。


生産ラインが全然足りないのでフォードもGMも新工場の建設を開始します。


マーク1が起爆剤になったアメリカの

モータリゼーションですが、まさかオート3輪のミゼットが可愛さで大人気になり裾野が広がるとは思ってもいませんでした。

てっきり、T型フォードが大人気になるのかと、、、

ミゼットは大量生産されコストダウンします。950ドルに販売価格が下がって

更に大ヒット。

キャデラック社にも作ってほしいと頼むほど、注文が殺到します。

小型トラックの潜在需要はあったのですが、アメリカの農家は大不況なので

小型トラックを買うのを我慢していたんですね。

ええ。アーミッシュのように馬車で我慢していた農家の人達も居たほどです。

なんせ1909年ですから。


ここだ!!と主人公は動きます。

宇垣昌弘は渡米し日本の特命全権大使としてブライアン大統領に面会します。

原油さえあれば、カリフォルニアで

石油を精製できますし、日本には高速大型原油運搬船が8隻あり、カリフォルニアの石油精製施設に20万トンの原油を運ぶ事が可能です。


パニックからか値上がり続けたアメリカの石油価格ですが、20万トンの原油が運び込まれればガソリン不足もかなり緩和するでしょう。

照明や冬場の暖房の為にも灯油や軽油は必要です。一方で日本にとっても大きな関税収入源になるし、余ってるくらいの原油がドルになるのです。

目が$マークになっちゃいますよ。

双方にとってwin-winな取引です。

マーク1ユーザーに対しても良い贈り物になりますしね。

ブライアン大統領もさすがです。

大統領権限で彼の任期の最中は原油の輸入における関税を半分にカットしました。

そして、他のオイル製品も。

日本側も『対米同率関税法』なので、特別に今回の取引から関税をアメリカの値下げ関税と同率にする事を約束します。

これによって関税は半分に安くなった原油20万トンがカリフォルニアに到着。テキサスやオクラホマやオハイオの精製施設に原油が運ばれて、日本とアメリカは雪解けムードになります。


このブライアン大統領の原油の高関税半額宣言は欧州にも好感を持たれ、

欧州各国もアメリカへの原油の輸出関税は半額にするとの発表がされ始めます。各国もアメリカの深刻なオイルパニックには同情的だったのです。

(逆ギレして中米やメキシコなどの産油国を侵略しないか心配でしたし。)


アメリカの大不況はこれにより底が見えたように思われ始めました。


ようやく銀行や投資信託会社関連の連鎖倒産が少なくなり始めます。


ブライアン大統領は決意します。

ここは更に、もう1つ、外交的メッセージを世界に発表するべきでは?と。


戦争相手国の日本から、これほどの

外交的な『借り』を受けたのです。


保護貿易をするにしても最大税率55%

の関税は明らかにやり過ぎでした。


ブライアン大統領は一律に15%の関税を下げると宣言。

強力な指導力を発揮して関税を下げる事に着手しました。

政党は違いますが、ブライアン大統領は州知事を目指そうと思っていたウィリアム・タフト氏にも面会し、次世代の共和党の大統領候補になりそうな有力政治家と意見交換し始めます。

次の大統領になった人間が関税を元に戻したりしたらアメリカは破滅しかねません。

ブライアン大統領はもちろん2期目も大統領になるつもりですが、今のアメリカの財政の危機的状況を誰よりも知っているだけに不安になったのです。


将官会議の愚か者共がバカな事を言い出さないかと。


その頃、特命全権大使の任務を無事に終えた宇垣昌弘は宇垣自動車のアメリカ支社長のランサーと食事をしていました。明日はフォードさん達とバーベキューをやりながら歓談する予定です。


『マスター、工場が全然足りません。

日本に年間生産量1万台規模の工場を

追加すると共にアメリカでも1万台規模の工場の追加をお願いします。』

とランサーに言われて真っ白に燃え尽きていました。


『錬金工場』であれほど量産してフル回転してアメリカや欧州にマーク1を届けたのに予約は全然減っていません。

そこにミゼットの注文が押し寄せて来ています。

マジでT型フォードの注文に追われて

魂が身体から抜けそうになっていた

フォードさんのような苦難が主人公に襲いかかっています。


『宇垣自動車アメリカ工場を建設しましょう。全然足りません。』


『そんなに注文が?』


『マーク1ですが、年に1万台は欲しいです。125は今の10倍、ミゼットは最低でも3万台はほしいです。』


確かに、宇垣商事のアメリカ農産物買い付けチームからもミゼットや125の

生産を増やしてほしいと打診されています。

『でも、年間3万台って、10年に30万台って事だぞ?』


『史実のT型フォードが何万台売れたと思っているんですか?

1500万台ですよ?

潜在的需要は全然満たされていません。』

宇垣自動車ではカーローンはしていません。現金販売です。3500ドルもの超高級車がそんなに売れるとは驚きです。


『確かに史実のT型フォードは1908年くらいに発売され、以後1927年くらいまでに1,500万台が全世界に発売されたはず。』


『マイナーチェンジされ売りに出されているT型フォードは初期型の外見ではなく中期型の外見なのにも関わらず、

売れ行きは低調です。

全米いや、全世界の人間が宇垣マーク1を見て、あれが自動車なんだと認識してしまったのですよ。』


宇垣昌弘も気がつきました。

マーク1こそ自動車だと認識してしまった後ではT型フォードですら、『旧式の魅力の無い自動車』だと見られている事を。


『ですがマーク1の値段では大衆の手には届きません。ですがミゼットなら?』


『外見がユーモラスで可愛らしく、

安いミゼットは大衆が望む車になり得るって事か!!!!』


ミゼットは世界で一番最初に大量に生産された『大衆車』として、マーク1、125と共に大人気になります。


さすがは鳥山明先生風デザインのミゼット。

見る目が肥えてしまった世界の人々は

マーク1&ミゼット&125を基準にして

しまったので他の自動車やバイクは

魅力を感じなくなってしまい、全然売れなくなってしまったのでした。


(今、出回っているマーク1&ミゼット&125は現時点の世界では最高品質なのが、更に錬金工場で高性能&高品質化された商品です。

この壊れない高品質商品が『基準』に

なってしまい、他のメーカーは苦悩する事になります。

外見からして、防汚&劣化防止&保存魔法がかけられてピカピカな新品状態が長く続くのですからねえ。

しかも保存魔法の効き目がある間は、

ガソリンやオイルが凍り付かず、冬のロシアの厳寒地でもエンジンがかかり易いという

素晴らしさです。

そりゃあ、冬の寒さが厳しい欧州では

大絶賛されますよねえ。


アメリカのエルモア社などは700ドル以下で車を売っているにも関わらず、車が売れなくなってしまっています。


どうせ買うのならミゼットが良いと言われてしまい、絶句しています。


この現象は世界で起きる事になるのです。

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