103話目宇垣マーク1歴史に名を残す。
(1909〜)
それからは怒涛のような日々でした。
やらかしてしまった。
トヨタが現地に工場を作った理由がよくわかった。
そりゃあ、欧州やアメリカで現地生産した方が楽だもん。
関税もかからないし。
でも、まさか、宇垣自動車が世界一の
超高級自動車メーカーになるとはなぁ。
アメリカのデトロイトでは宇垣フォードがマーク1の生産工場を建設し始めましたし、ドイツでは宇垣ダイムラーがマーク1の製造工場を建設し始めました。
宇垣自動車はフォード自動車の株の49%と引き換えにして年に5000台の
生産が可能な工場の建設費用を出しました。
ダイムラー社の株49%を引き換えにし年産5000台が生産可能な工場の建設費用を出しました。
後になりますがゼネラルモータースにも49%の株と引き換えにして工場建設の費用を出しています。
この時期はどの自動車会社も規模は小さく、大量生産に成功して規模が拡大する前です。宇垣財閥がそれぞれのメーカーの大株主になりはしますが、
投資する金額は株式の時価の何倍もの
金額であり、得だと思ってどのメーカーも大乗り気でした。
年に5000台が製造可能な工場を
手に入れられたら、製造能力は10倍以上にも増えますし、大規模な自動車会社に成長する為の足掛かりになります。
もちろん主人公も笑いが止まりません。
世界的大企業の49%の株となると
やがては何千倍にもなって帰ってくるでしょう。宇垣財閥は世界的大企業になりそうな企業の上場前の株のほぼ半分を手に入れられるのですから。
まぁ、大規模な投資となると大博打ですがね。
それぞれの工場でマーク1を作ってもらっていますが、工場で生産したマーク1を最終チェックしてワックスがけして、ディーラーに運んでチェックして引き渡すのは白人型ゴーレム達、宇垣自動車の現地スタッフの仕事です。
パーツはすべて現地生産、現地の部品。
エンジンオイルやサスペンションオイルなどは日本から運んでます。
工場の責任者は各メーカーに任せてます。(最終チェック用の作業場には
転移魔法陣があり、転移魔法で届けられたマーク1を主人公の錬金工場にて
最終チェックし、品質チェックしています。錬金工場でランクアップされて
いますから、マーク1は故障しないんです。
ベテラン整備士がエンジンを全部バラして自動車をオーバーホールして、
チューンナップして販売してるようなものです。
劣化防止、防汚、保存などの各魔法はゴーレム達ならできますから。
いや、会いましたよ。
ヘンリーフォードさん。
忙し過ぎて目が死んでた。
魂が口から出てたよ。
フォード自動車って潰れそうだったんだよ。快進撃どころじゃなく。
だってさ、宇垣マーク1ってプレミアが付いていて、3500ドルの値段にしたんだよ。(現地生産前はこれに110%の関税がプラスされた。)
フォードさんは1000ドル以下で大衆車を売ろうとしてたんだけど、それより2500ドルも高い超高級車が飛ぶように売れて、1年先まで予約済みになるなんて思ってもいなかったようですね。
(ちなみに金持ち用の注文生産品の
超高級車の値段は3500〜4500ドルだったそうで。)
フォードさんは小さな工場を借りて、ちびちびと自動車を作っていたのですが、財政は危機的状態でした。
巨大な戦艦を日本が作っているってだけでも魂が口から抜けそうなのに、
1000ドルで作っているフォードの車が売れずに、日本産の超高級自動車のマーク1があんなに高額なのに売れているのだからショックでしょうね。
なんせ宇垣マーク1は1927年頃にフォードが出したA型フォードよりも洗練されたデザインで、ふんだんにメッキされた超高級車ですもんねえ。
ゼネラルモータースもショックを受けています。安く売ってる自社の製品の
売れ行きが鈍り宇垣のマーク1が売れているのはショックでしょう。
金持ちや資本家にとっては超高級車は
ステータスシンボルであり、それほど高額な商品ではありませんが、大衆に
とっては大不況で大失業時代なのに車どころじゃないってだけなんですけどね。
(この時代の歴史が変わったアメリカの貨幣価値を現代の貨幣価値に換算するのは難しいですが、おおよその目安として1000ドルの大衆車が2000年代の価値に換算すると6600ドルだと思ってください。
と、なると3500ドルの宇垣マーク1は
2万3100ドル相当。
この時代の世界に存在しなかった、
超高級自動車の最初の量産車が西暦2000年の価値で2万3100ドル相当なら
安いと言えるかもしれません。
1ドル130円のレートなら2万3100ドルは300万円ですからね。)
(この貨幣価値ですが、1929年製の
フォードモデルAですが、500米ドル(グレー、グリーン、ブラック)の2ドア(2021年時点のドル換算で10,534ドル)とするとか、1,200米ドルのデュアルカウル型タウンカーを(2021年のドル換算で20,862ドル)に換算するなんて数字もあります。)
なんせ、この当時のデトロイトの車生産工員の日給は2ドル。月に25日働いて
50ドル。年収は600ドルですが、ヘンリーフォードが日給5ドルで工員募集を
やり始めましたから、その場合だと
月収は125ドル。年収は1500ドル。
3年分の年収に相当する値段ですね。
いや、ガソリンの値段がバカ高くなっている今のアメリカではモータリゼーションは無理でしょうけど。
V型12気筒の時代はやって来ないでしょう。バイクも750ccくらいで、
燃費が良くなきゃ売れないかも。
今のアメリカのガソリン価格は産油国だった時代の4倍ですから。
しかも、もっと高くなりそう。
大型タンカーなんて持ってないもんねアメリカ。石炭を運搬する給炭船はあるけど。スタンダード石油すら、あまりタンカーを持っていません。
タンカーってイメージじゃない、小型の帆船のタンカーばかりなのに絶句しちゃいましたよ。
アメリカのガソリンのお値段は日本のガソリンのお値段より高いというドン引きなお値段です。
おいおい、本当にアメリカのガソリン価格かよ!と言いたくなります。
なのでアメリカの庶民では車を買うのも維持するのも難しくなりつつあります。
アメリカでも欧州でも、宇垣バイクの125ccの2サイクル単気筒バイクが大人気です。
バイクに引っ張られたリヤカーにアメリカのティーンエイジャーが乗って、
出歩いていたりしています。
確かにT型フォードが500ドル以下の値段なら大衆も買えるかもしれませんが、ガソリンの価格がバカ高じゃあ、維持できないでしょう。
(今のT型フォードの初期型は売れていないので950ドル。)
宇垣125はアメリカで小型バイクの代名詞になります。
マイ ファーストバイクと言われるように、、、
単純な構造ですからね。
メカ好きなら改造もできるでしょう。
宇垣125と超高級車の宇垣マーク1は初ジャパンプレミア商品になります。
メイドインジャパンの意味が宇垣ブランドに関しては高品質になりそうです。
宇垣125ですが、エンジンガード、フレームガードが付いており、エンジンガード、フレームガードは宇垣のバイクのスタンダード仕様になります。
転倒したとしても各ガード部分を塗装すればいい堅牢さは高く評価されます。
小型軍用バイクのスタンダード商品にもなっちゃうんですけどね。
軍用バイクって1000cc以上の排気量の
大型バイクが使われるんですけど、
野外走行するなら宇垣の125の方が
圧倒的に乗り易いって兵士からは言われるんですよね。
なんせ軽いから。
宇垣自動車と宇垣バイクは世界的ブランドになってしまいました。
こうなったら、やれるとこまで
『やってやるぜ』
戦艦から車までを生産って、、、
どこの世界企業だよ。
ここまでは少し未来の話を書きました。年産1万台の工場を日本に建設する為、死にそうな目をしている主人公の居る1909年に戻ります。
ゴーレム達はめっちゃ嬉しそうに働いていますけどね。
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