99話目1908&1909恐慌

現在の世界の原油価格は高い値段で下がる気配がない状態だ。


世界の原油価格の目安となっているのがロシアのバクー油田の卸売り価格であり、産油国の日本としても高値安定は大歓迎なので原油の汲み上げを増産しようとは思っていないし、外国に売ろうともしていない。

だが、日本に訪問した外国船に対しての石炭や重油の売却を宇垣港湾は一手に引き受けているのだが、最近売り上げが急上昇している。


石炭はイギリスの無煙石炭に近い高品質石炭で、重油も高品質だからだろうか、、、考えてみたらアジアに産油国は少ないもんな。


オランダの植民地のジャワのバリクパパンだけど、1897年に小さな精製会社が最初に油田の発掘を始めて、発展している最中だもんな。

ブルネイか国際的な港の香港か、日本の港くらいしか選択肢がないのか。

ロイヤルダッチシェル石油の販売網も

限られた国際港とかだもんな。


だが、日本も『対米同率関税法』の批准国だけにアメリカ国籍の船に対する関税は+55%なのだが。

よくもまぁ、燃料を買うものであると呆れてしまう。


あの重油生成魔道具は天皇陛下と皇太子殿下しか知らない極秘中の極秘事項になっています。


そんな事ができるのもアイテムバッグに重油を入れて保存していたからで、

とりあえず、艦内には8000トン分の重油と予備があるからと艦長に対しては言ってあります。

まぁ、ヒレで10ノット航行していれば重油の消費量を抑えられるので最低限の排煙を煙突から出しながら、ヒレをメインにして戦艦は航行しているのだが。

日清戦争終結から15年で日本の国家予算は330%も成長している。

インフレ率は2.5%〜3%。

高速鉄道網は北海道から九州まで繋がっているし、東北にも工場がかなり増えてきている。

大型ディーゼル機関車も完成間近だ。

小作争議などは全然起きなくなった。


東日本と西日本の電力の周波数が違う問題だが、大金がかかる事になるが、

今のうちになんとかしないと出来なくなる為、東京にヘルツ数を合わせる事にした。これで日本国内向けの家電を作る時にコストが高くならずに済む。

これから生まれる家電メーカーは助かるだろう。


そういえば、ダムの水力発電だが、

放出量を多くして発電量を増やしても

空間接続魔法で上のダムに戻せる為、

発電効率が凄く高いんだよな。

電気が有り余っている状態って凄いよな。


そういえば、前の年の1908年といえば

T型フォードが発売され始める年では

ないだろうか?

あれ?

発売されたらすぐにアメリカにいるゴーレム達が送って来そうなのに、どうなってんだろ?



アメリカ経済の急激な悪化を受けて、アメリカの銀行は資金の貸し出しを慎重にするようになっています。

つまりフォード自動車は未だこれから

自動車を製造する新興企業です。

資金繰りが上手くいっていません。


ゼネラルモータースも自動車の販売が不審な状態です。エネルギー不足が深刻なのだから無理もありません。


フォードにせよゼネラルモータースにせよ、大企業に成長しそうな、将来が有望なはずの企業です。

ですが、何故か、投資をしようとすると予知能力が反対するのです、、、


あと何年かは仕事がある造船メーカーに対しては嫌な予感はしない、、、

自動車メーカーに対しては嫌な予感がして、『投資をするな!』と警告してくる、、、

そんなにエネルギー不足が深刻になるのでしょうか?

不況が深刻になるのでしょうか?


主人公は不思議だと思っているようですが、原油を採掘するにも精製するにも輸送するにも、末端のガソリンスタンドに輸送するにもエネルギーが必要です。

まだあまり油田がない1909年代に大量に自動車がアメリカで売れたのはテキサスのオイルラッシュなどの景気の牽引役があればこそです。

前年度のアメリカ国内の鉄道路線の進捗は不況時代の頃のような伸び率の少なさでした。


主人公は知りませんが史実の1907年と

いえば1907恐慌が起きた年です。

主人公だって今のアメリカで多くの銀行や信託会社が倒産した事は知っています。(1908恐慌とのちに言われる)

ですが、宇垣グループは予知していたので株の空売りの準備を万全にしていました。

宇垣グループは空売りで大儲けしている為、アメリカの恐慌を甘く見ていました。

更に、イギリスや欧州マネーはアメリカから引き上げていたので大した痛手は受けていません。


アメリカは1907年から不安定でしたが、1908恐慌、1909恐慌は

アメリカにとって、大きな痛手でした。

(1907年の恐慌もかなり酷かったが

それ以降の2年の恐慌があまりにも酷かったので前座だと言われるようになった。)

ダウ平均株価は1900年12月以来の最安値を更新しました。パニックは大手のアメリカ信託会社とリンカーン信託会社にも広がり、10月24日木曜まで破綻の連鎖が街を襲い、第12区銀行、エンパイア・シティ貯蓄銀行、ニューヨーク・ハミルトン銀行、ブルックリン・ファースト・ナショナル銀行、ニューヨーク・インターナショナル信託会社、ブルックリン・ウィリアムズバーグ信託会社、ブルックリン・ボロウ銀行、ブルックリン・ジェンキンス信託会社ら、多くの銀行や信託会社が倒産しています。

世界大恐慌にならず、アメリカだけの大恐慌になるかもしれませんが、これはいいテストになると主人公は考えました。自分達の資産は全て手元にあります。

モルガンやロックフェラーは必死に火を消そうとしますが、パニックになった民衆は取り付けに出て、更に銀行が連鎖的に倒産します。

史実とは違い、グレートホワイトフリート全滅と敗戦による賠償金の支払い、フィリピンとグアムの喪失、パナマ運河工事の中断、テキサス、オクラホマ、カリフォルニア、オハイオらの産油地域の石油の枯渇、石油と石炭の価格の大暴騰、キューバ独立派との武力紛争。これらのマイナス材料の数々、、、

パニックは全米に広がり倒産した銀行や信託銀行は300社を超えました。

宇垣グループは徹底した空売りで20億ドルの利益を手に入れました。

今年度のアメリカ経済はマイナス成長になるかもしれません。

そして宇垣グループは世界大恐慌時を想定した良い練習ができました。


この20億ドルを使用して更なる売り浴びせをすれば世界大恐慌は更に悲惨な事になるでしょう。

いや、世界大恐慌より先に1910年に

アメリカのいくつかの市や州が破産するかもしれません。

現時点でニューヨーク州が破産寸前だったのをロックフェラーに救われていますし。


ロックフェラーもモルガンも金融恐慌防衛の為に用意した5億ドル単位の資産を失っています。


史実の1907恐慌時とは比べものにならない損害が出ました。

そして、生き残れた銀行も死にそうな

状態での生存ですので更なる株の大暴落が起きれば連鎖倒産してもおかしくありません。

自社を防衛する為の手持ちの資金は底をついている、失血死寸前の状態です。


アメリカで、1907年から始まる恐慌が起こった時期は、全米経済研究所によると1907年5月から1909年6月までの長期にわたる景気後退の最中でした。


金融恐慌と証券市場の暴落という、

相互に関連する景気収縮によって経済は大きなダメージを受けました。


工業生産は、それまで発生したどの取り付け騒ぎの後よりも落ち込みました。

その当時までで過去2番目に多くの企業が倒産し、1907年5月から1908年6月の間総生産高は7%減、輸出量はマイナス30%と大幅に下落しました。

失業率は10%まで上昇し、1907年までに120万人であった移民人口は2年後の1909年には75万人にまで減りました。石炭の生産量は1907年428.9百万トンから1908年300.3百万トンに。

鋼鉄の生産量は1907年23.36百万トンから1908年11.2百万トンへと50%以上も減少し、重工業生産品の低下率はこの年までに発生した他の恐慌よりも深刻でした。

石炭は更に減少します。

デトロイト周辺の石炭鉱山の算出量が

半減しています。

超巨大ゴーレムが地下の石炭の鉱脈から石炭を奪って鉱山を殺してまわっています。

日本はかなりの石油を奪った為、石炭に狙いをつけました。

特に東部に狙いをつけて石炭を奪っています。


ロックフェラー家の財産は220億ドルとも言われています。


JPモルガン商会の幹部は112の企業で取締役に就いており、それら企業の資本金総額は225億ドルでした。(当時ニューヨーク証券取引所上場企業の資本金総額は265億ドルである)


アメリカもキリスト教の国ですから、

反ユダヤ感情がないわけではありません。ヘンリーフォードも反ユダヤ感情の持ち主ですし。


この1907恐慌の時、ロックフェラーは

お金を出してアメリカ経済を救おうと

しているのですが、大規模保険会社を

手に入れたりもしています。


多くの会社が倒産して400万人超えの

失業者が生まれたのにユダヤ系の超大金持ちは更に財産を増やしているように見えています。


1907年の8月にはスタンダード・オイル社に対して反トラスト法違反として2900万ドル超もの巨額の罰金が科せられていますが、それくらいは連中にとっては端金だろうとヒソヒソされています、、、

新聞は大声で反ユダヤ的な事は言えないから『東部の連中』『金儲けしか頭にない東部の連中』と東部を隠れ蓑にして批判しています。


いつの間にか、アメリカの自由な大地は金貸しの連中に支配され、連中が好き勝手に動くようになっている。

と言われるようになっていきます。


まぁ、史実の時ですらロックフェラーの自作自演説が出たくらいですからね。日本人には理解が難しい、反発する感情があるのでしょう。


超大金持ちだって数億ドルを失ったら

凹みますし、大規模に投資し続けた石油会社を反トラスト運動とやらで分割なんかされたら、更に凹みますよ。


金持ちの気持ちは理解されないし、

孤独なのかもしれませんね彼等。


スタンダード石油の業績は最悪な状態

なんですよね。

2000ヶ所で石油の試掘をしてるけど

成果無しで財務内容が急激に悪化しています。

その内の500ヶ所はテキサス州です。

スタンダード石油はかなりテキサスに

期待していたようですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る