第61日本住血吸虫症を退治する①
今年最後の台風が日本近海で温帯低気圧に変わった。
今年も台風で被害は出なかった。
(これも超巨大ゴーレムのおかげである。小さな台風を察知して深層の冷たい海水で水温を下げたり、冷却魔法を使ったり、台風を小さくする方法を
色々と試してそれなりの成果を上げて
いるのだ。
別にレイライン(竜脈)の魔力を使わずとも台風を小さくし、低気圧にする事ができるとは意外だった。
線状降水帯とかの方が厄介かもしれないな。)
明治末の日本にとって治水は重要である。
今、日本では豊富な予算でダムや鉄道や港の整備や送電網の構築が行われている。
そして、治水が困難な場所こそゴーレム達の出番であり、困難な治水工事や
風土病を根絶すべく、対応をしている。
日本住血吸虫症といえば、主に、
①「山梨県甲府盆地底部一帯。」
②「利根川下流域の茨城県・千葉県、および中川流域の埼玉県、荒川流域の東京都のごく一部。」
③「小櫃川下流域の千葉県木更津市・袖ケ浦市のごく一部。」
④「富士川下流域東方の静岡県浮島沼(富士川水系に含まれる現:沼川)周辺の一部。」
⑤「芦田川支流、高屋川流域の広島県福山市神辺町片山地区、および隣接した岡山県井原市のごく一部。」
⑥「筑後川中下流域の福岡県久留米市周辺および佐賀県鳥栖市周辺の一部。」
大まかに分けて、これらが日本住血吸虫症の蔓延地帯だった。
史実の日本は時間をかけて対処し続けて、
1996年(平成8年)の山梨県における終息宣言をもって、日本国内での日本住血吸虫症の撲滅を宣言している。
日本国ずっと努力し続けてきたのに、昭和の時代に根絶できなかったくらい厄介とも言える。
1874年(明治7年)11月30日、甲府盆地の南西端に程近い宮沢村と大師村の
2村の戸長を兼ねていた西川藤三郎さんは、両村の計49戸の世帯主を招集し離村についての提案を行った。
同村付近は甲府盆地でも最も標高の低い低湿帯に位置しており、水腫脹満、すなわち地方病(日本住血吸虫)の蔓延地であった。当時この奇病の原因は解明されてはいなかったが、標高の高い高台の村々ではこの病気がほとんど発生していないことを農民たちは知っており、このままでは村は全滅してしまうと感じたため、農民たちは離村という苦渋の決断をした。
明治維新からまだ間もないこの頃は、居住地を捨てるなどということが許されないという封建制度から抜け出せない時代であり、一村移転などという住民運動は当然認められなかった。
しかし、身近な人々が次々に奇病に苦しみ死んでいく凄惨な状況に村人の離村への決意は固く、離村陳情書を毎年根気強く提出し続けた。
明治新政府に村人の願いが通じ、村の移転が聞き入れられたのは三十数年も経過した明治末年のことであった。(史実の日本では)
日本国内において、地方病に限らず風土病を理由に村ごと移転したのは、この1例以降は起きていない。
発症頻度の差こそあれ地方病は甲府盆地の隅々に蔓延しており、甲府盆地に暮らす農民の多くは正体が分からず目に見えない地方病の恐怖に脅えながら暮らしていた。
俺は即座に現地に行き西川さんを激励し全員の離村を許可して全員を病院船に避難させた。
西川さん達は宇垣財閥の当主が現れて
『これからの治療と村民の生活の面倒は俺が面倒を見る!』と言った事に感激して泣き崩れてしまった。
そこでわかった事は上級治癒魔法と
浄化魔法を駆使すれば日本住血吸虫症を治癒できるという朗報だった。
その一方で俺は自分を殴りつけたいほどの怒りが湧いてくる。
日本住血吸虫症はどの歴史物のラノベでも定番のエピソードなのに、今の今まですっかり忘れていたからだ。
少なくとも日清戦争の1894年(明治27年)頃には取りかかれたのに!
対米戦勝利万歳!なんて浮かれて、
ダンジョングルメなんてしている場合じゃねーよ!
家財道具を運び出し引っ越し先のマンションに運び入れる。
とりあえずは、うちの会社の仕事をしてもらう事になるだろう。
俺は火焔魔法で湖沼を焼き払い中間宿主(ミヤイリガイ)を絶滅させた。
湖沼の跡地は土魔法を使い埋め立てる。
正直に言うと俺は怖い。
こうやって焼き払っているが、蒸気を吸って呼吸するのも感染しそうで怖い。
俺は山梨盆地の患者が出ている地域から住人を避難させ治療後に別の場所に住ませて、小さな沼や池は容赦せずに埋め立てた。
が、問題は河川流域のミヤイリガイを
どうするかだ。
確か、川の流れが早いとミヤイリガイが繁殖し難くなるんだっけ?
こればかりは研究を待つしかない。
対策法、うろ覚えなんだよな、、、
とりあえずは広範囲を浄化魔法で浄化した。寄生虫は浄化魔法で浄化されて
川から消える。
ミヤイリガイから日本住血吸虫が消えるよう願いなから浄化魔法をかけるのだった。
これは主人公の大失敗です。
日本住血吸虫症の事をすっかり忘れてました。
脚気とか、肺結核とか、スペイン風邪
ばかり考えてました。
スペイン風邪なんて、まだ先なのに。
大勢の日本人に病気耐性のスキルを付与して病気の死者が少なくなっていた為油断してました。
異世界にいた20年間、ラノベを読んでなかった弊害です。
ペニシリンの化学合成の方が優先だと
思っていました。
下級治癒魔法で治療できない病だとは
思っていませんでした。
身体が膨れた段階にまでなった患者は
中級治療魔法でも身体を健康体に戻せませんでした。
(多くの病気が下級治癒魔法で治療できていたのに。)
主人公は移動できる人は移動させて
埋めれる湖沼は埋め立てていますが
どれほど上手くいくのでしょうか。
それは未だわかりません。
とりあえず、山梨県のすべての患者の治療をするつもりです。
(西川さん達ですが、離村陳情書なんて出された事がなかった為、役場でも
対処に困って黙殺されたのかもしれませんね。知事か地元の政治家に頼るしかなかったかもしれません。)
(と、言うよりさっさと引っ越せばよかったとも言えます。病気が理由なんだから。引っ越しして、病気の理由が判明して安全な事がわからない限りは戻らないと言うべきだったのです。
役人に決断を求めても無駄です。)
(これは裏話ですが、危険な難病を
発見したのが異世界ならゴーレム達は
マスターに報告せずに研究し、上級治癒魔法や浄化魔法で解決できる問題だと発見してから報告を上げたと思います。マスターが死ぬかもしれない危険な
場所にマスターを行かせる事はできませんから。
この地方の風土病の報告が遅れたのは
研究に時間がかかったからかもしれません。)
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