第60話現在建造中の負の遺産ちゃん達

コネチカット級が武装過剰で高価であったため、「低コストで生産のできる小型戦艦」としてアメリカで現在建造中なのが『ミシシッピ&アイダホ』の2隻の戦艦です。

基準排水量はコネチカット級から

3000トンも少なくした13000トン。


近海で使用する事を前提に艦形を圧縮・小型化なんかするから、安定性、操舵性に問題がある事が判明して、竣工直後から外国に売られそうになる可哀想な姉妹です。

なら、メイン級戦艦と同じにすれば

マシになるのに、そうしないのが

アメリカらしいというか何というか。


1隻を建造して上手くいったら2隻目を

建造すればいいのに、2番艦を一緒に建造したりするから、失敗した時の損失が倍になるんですよ。


竣工するのが1908年ですもんね。

新型戦艦の美濃の竣工の2年後に竣工する時代遅れ戦艦ってだけでも不幸の香がプンプン臭ってきます。

なんせ主砲は30.5cm砲4門ですから、、、


竣工が遅かったおかげで日本で沈まずに済んだとも言えますが、、、


写真を見ると妙に小さく見えるミシシッピ級戦艦ですが、副砲として20.3cmの連装砲塔×4と17.8cm速射砲×8を装備してるのだけが新型に見える特徴でしょうかねえ。


現在、ろくな戦力が無いアメリカ大西洋艦隊にやって来たのが小型で安価に建造されたミシシッピ&アイダホとは、、、

アメリカ大西洋艦隊も落ちたもんですよ。

まぁ、ルーズベルトの負の遺産と呼ばれて当然ですよね。


このミシシッピちゃん達では前に建造されたコネチカット級&バージニア級にも見劣りする存在ですが、一応は戦艦。

欠陥が判明して、すぐに売り先が探されて、1914年にギリシャに売却される事もなく大西洋艦隊の旗艦になる事ができました。

一応は新品の戦艦ですから。

すぐにコネチカット級の生き残りで

竣工予定のニューハンプシャーに交代させられますが。

新型戦艦で美濃級戦艦と互角以上に戦える戦艦になってほしいと思われているサウスカロライナ級が就役するまで、頑張らないとですね。

僅かな戦力で。

でも、乗員は750名も必要なんですよね。これがコネチカット級とかなら

使いようもあるのに。


でもサウスカロライナ級3隻が完成するのが1910〜11年なんですよね。

(この世界では予算の成立にずれがあるから、1912年近くになるかもしれない。)


アメリカは慌てて、サウスカロライナ級の量産を開始します。

サウスカロライナ級は全部で14隻も

建造開始してしまいます。


これは日本を見据えての行動ですね。

とにかく、一刻も早く大西洋艦隊と

西海岸防衛艦隊を建造したかったのでしょう。

日本には『薩摩、美濃級3隻、富士改級

7隻、装甲巡洋艦20隻』の戦力が健在ですからね。



サウスカロライナ級が完成して速力の遅さはやはり問題だと判明したら、

アメリカは大騒ぎになるでしょう。

でも、中止もできずに、機関の変更もできずに最大で18.95ノットしか出ないサウスカロライナ級が次々と竣工する事に。

欧州や世界の国々の反アメリカ運動が

凄くなったので、外交的にも素早くアメリカ大西洋艦隊を復活させたかったのでしょうが見事に裏目に出てしまいました。

なんせサウスカロライナ級の主砲は

45口径の30.5cm砲、、、至近距離から

美濃級や富士改級に打ち込んでも撃沈できなかったのに、何を考えているのやら。まぁ、8門搭載ですから搭載された主砲の数は倍ですけど。

(でも、あの時のアメリカ艦隊は2〜3隻が1隻の日本戦艦に主砲を撃ってますから、8門で攻撃されても無駄だったのは事実。)


ええ。アメリカが期待している新鋭戦艦のサウスカロライナ級もルーズベルト大統領の負の遺産と呼ばれてしまいます。

ルーズベルト大統領の負の遺産って

合計金額は何億ドルになるんでしょうね?戦艦の建造費用だけで1億5千万ドルは軽く超えそうな予感。


更に、気がついている人も居られるでしょうが、旧式戦艦でも値段次第では

外国が買ってくれる場合があります。

史実のミシシッピ&アイダホ姉妹も

ギリシャが買ってくれましたし。

そのおかげで戦艦の建造費用ができましたし。


でも日本が各国に16隻も戦艦を売って

戦艦が余ってるくらいですからね。


本来ならアメリカが注文を受けて建造されるはずの戦艦が建造されず、アメリカは本来なら儲ける事ができた大金を

全部日本に奪われています。


欧州各国はアメリカの蛮行を見てイギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの国々に軍艦を注文してまして

アメリカに注文されるはずの艦艇の注文は全部がこれらの国へ。


そして、この戦争でアメリカが敗北したのでアメリカ国内で株の大暴落も起きています。

グレートホワイトフリートが全滅したのだから当然ですが。

さらに日本やイギリスやドイツや世界各国の声明が入ってきて更に大暴落しました。

ええ。こうなる事がわかってる宇垣ファンドは空売りで大儲けしましたよ。


更に株価がドン底の底値になった時に

躊躇せずに大量に買って、株価の揺り戻しで大儲けしました。


この後でアメリカがサウスカロライナ級を建造して大西洋艦隊を復活させようとする事はわかってるので、そこでも儲けるつもりで仕込んでいます。

艦隊復興特需ってわけですね。

ドン底の底値で造船会社の株を買えて良かったですよ。

アメリカ国内の株を宇垣ファンドが

どれくらい買っているかというと3億ドルを軽く突破してますね。

ええ。莫大な配当金が入って来て丸儲け状態ですよ。

未来予知スキルがあって良かった。

底値も大暴落も逸早く予知できますからね。


アメリカ植民300年記念式典?

それどころではなく忘れられています。


観艦式をしたくても何処の国も来てくれませんし、ホスト側のアメリカ艦隊が再建途中で戦艦も巡洋艦も全然無しじゃできませんよね。

米西戦争のきっかけになった、あのメイン号と同じ名前の12500トンのメイン級戦艦2隻に13000トンのミシシッピ級2隻にコネチカット級のニューハンプシャーが1隻の観艦式なんかやったら欧州各国のマスコミが笑うでしょうねえ。

日本の美濃や薩摩や富士改の写真と並べて新聞に掲載して笑いそうです。


まさか、老朽艦のテキサス(6316トン)とか、古い装甲艦を出すわけにいかないし。


インディアナ級の次に建造されたにも

かかわらず、10年で退役させられた

戦艦アイオワすら、現役に復活させるべきか?なんて議論がされています。

いや、1897年に建造されて10年ちょいで退役してるんだから欠陥があったんでしょうね。(11346トン)

退役するから乗組員は移動させられてグレートホワイトフリートに参加しています。

レイモンド・スプルーアンスさんも

その1人。1907年に退役に伴う移動命令によってコネチカット級のミネソタに移動します。

アイオワは結局、港に停泊しながら

訓練用の戦艦にされます。

それほど人材不足は危機的なんですよ。史実のスプルーアンスさんも士官の人材不足が危機的なので士官学校(アナポリス)を繰り上げ卒業しています。


つまり、グレートホワイトフリートは急激に戦艦が増強されて戦力化が必要な為、乗員(特に士官)を確保する為に欠陥戦艦アイオワを退役させなきゃいけないほど人員不足が深刻な艦隊だったって事ですね。

いや、グレートホワイトフリートの士官を充足させる為に他の艦艇の人員不足が深刻になったというべきか。


現在では、特に士官が不足しており、アイオワを戦力にしたくともできずにいて、ミシシッピ級戦艦やメイン級戦艦の充足率すら危険水準。

メイン級2隻とアイオワとミシシッピ級2隻を訓練所にして乗組員の訓練をしています。

アメリカは必死です。



日本が売却したグレートホワイトフリートの各艦ですが、そのままの平和時の白い塗装のままで世界各国で観光名所化して晒されています。

日本でもコネチカット達の観光効果は

抜群ですもんねえ。


日本の美濃がいち早く建造された為、

ドレッドノートの完成が遅くなり、

本来なら誕生したはずのデラウェア級戦艦やワイオミング級戦艦の議論すら

されていません、、、

21ノットの高速と主砲を10門搭載する

戦艦が生まれずにサウスカロライナ級が量産されそうという悲劇。


装甲巡洋艦も排水量の大きさを見ればわかりますが、600万ドル近い高額さですから、10隻だと6000万ドルに近いでしょう。大西洋艦隊の再建費用は1億数千万ドルになりそうですね。



スプルーアンス繋がりですが、

シンシナティ級防護巡洋艦は1894年6月16日に就役して、1907年に退役して

復活して1919年4月20日に退役するまで長い間活躍し続けて、売却されてんですよね。1921年8月4日に除籍。

排水量 3,183トン。


10年で退役して、復活するも、すぐに

標的艦にされて沈められるアイオワの

経歴の酷さよ。戦艦の番号なんか、4番にされてるし。不遇です。


アメリカ海軍ですが、水兵の25%が外国人なのは普通でした。

あのメイン号にも日本人コックが乗り組んでいましたしね。

特に古参の下士官に多く、これは当時のアメリカ海軍の平均的数字でした。

この防護巡洋艦のシンシナティですが

アーネスト・キングも乗り組んでいた

時期があります。

で、浦賀に入港した時に鎌倉の大仏を見に行ってスリに財布を取られてると。


アメリカ水兵は悪い食事と住環境、自由の制限を理由に年14%の割合で逃亡したりしています。

上陸すれば逃亡するか飲んだくれるトラブルメーカーでした。


これらのマナーの悪さもアメリカ軍艦の入港拒否の理由の1つですね。


このシンシナティの様な船は縁の下の力持ちのようにアメリカ海軍を支えている船なのですが、帰国命令が出されて西海岸で訓練船にされるようになります。

3000トンクラスで格安な船は買う方も

買い易く、1910年にサンボアンガ共和国に買われる事になるのでした。


これらの旧式で小型な艦艇は全部が売られて乗員再建途中の大西洋艦隊に

集められます。

根こそぎ集められていても、士官が全然足りないのが今のアメリカ海軍です。


アメリカ水兵の50%以上が外国人になるようになります。

いずれは水兵の外国人比率も下がっていくのでしょうが。

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