第56話信用を失うアメリカ。
世界中で報道された、今回の
『アメリカの日本への宣戦布告無しの卑怯な奇襲攻撃』『外交声明も何も無しの軍事的緊張状態に無い国への親善航海の停泊の最中の突然の攻撃。』
その余波は世界中に広がりました。
アメリカは大国なので言いたい事を言えずに我慢していた世界各国ですが、
我も我もとアメリカに対して批判を開始し始めました。
まず、世界各国はアメリカ軍の軍艦の
入港を拒否すると声明を発表しました。
確かに今回の一件は『宣戦布告無しの卑怯な騙し討ち』ですからね。
港に入港したアメリカ軍艦がいきなり攻撃してくるかもと考えると入港を拒否したくもなりますよね。
しかも、軍事的緊張状態になく、
外交的緊張状態にない国に対する親善航海での入港時の突然の奇襲攻撃です。
宣戦布告もしていないし、外交声明で『もし何かがあっても、それは○○国のせいである。』と発表してもいない国への突然の奇襲。
いや、海賊だって攻撃しようとする瞬間には海賊旗を上げたりします。
海賊以下のならず者と見られますよねえ。
更に、これだけの事が起きたにも関わらず、アメリカ政府の発表は遅れに遅れました。
まぁ、何と声明を発表すればいいのか
決められなかったのでしょうが。
(世界中の国がアメリカを批判する声明を出しているのはゴーレム達の洗脳の暗躍もありますが、スペイン、ハワイ王国、メキシコ、日本が被害者になっていて、ここで牽制しておかないと
危険だと世界中が思っているからですね。そして、ドイツもイギリスもフランスも戦争をしないでアメリカを牽制できる国力を維持してくれ。と思っている国も多いです。)
これまでアメリカに軍艦の建造を注文していた国もイギリスやドイツやフランスやイタリアに注文するようになり
ます。
アメリカは今回の蛮行で多くの物を
失います。
というより、マッキンリーの高関税政策に怒っていた、隠れた怒りが噴火したのかもしれません。(高関税政策が始まったのは1890年。)
更に、アメリカとスペインの戦争の
発端となった『メイン号爆沈』も
『事故かもしれないのにスペインの攻撃と決めつけて戦争するなんて間違ってる。』
と世界各国は問い詰めます。
そして、セオドア・ルーズベルトは
何故、海軍次官を辞めてキューバに行って軍隊を指揮して戦ったのか?
と疑問の声が上がり始めました。
日本はアメリカに対し、陸奥条約の満期日は1911年(明治44年)7月16日だが、条約を完全に改正し、
新しい日米通商航海条約を締結する事を望む。
更に謝罪と賠償金と領土の割譲を求めるとアメリカに発言しました。
(この時の日本は関税自主権を取り戻していなかったんですね。
不当に低い関税のままであり、関税収入は他国と比べて半分以下です。
他国は11%。日本は5%、アメリカは高関税政策を実施中で高いものは57%)
アメリカは日米通商航海条約の調印に
同意。イギリス、フランス、ドイツ、
ロシアらの列強も同意してイギリスのロンドンにて列強諸国との通商航海条約を調印し、日本は完全に関税自主権を取り戻しました。
日本は高度経済成長中なのでアメリカやハワイへの移民は多くありません。
移民関連で揉める事も無く、ここまでは上手く進みました。
いよいよ本丸の賠償金と領土の割譲の
要求が始まります。
ですが、憔悴しきった姿で現れたセオドア・ルーズベルト大統領の姿を見て
列強の代表は驚きます。
戦艦ではなく装甲巡洋艦に乗って
ロンドンにやって来たルーズベルト大統領。
今のアメリカには装甲巡洋艦しかなかったのです。
(コネチカット級唯一の生き残りの
ニューハンプシャーは1908年の3月に竣工なので戦力化は先です。)
アメリカにはメイン級のメインとオハイオしか戦艦はありませんが、オハイオはドックに入っていますし、メインは米西戦艦の火種になった装甲艦のメインと名前が同じなので避けたのでしょう。
ロンドンに集まっている特派員は面白おかしく書きたてるでしょうし。
日本からは高速戦艦の『薩摩』に乗って特命全権大使も来ているというのに
大国のアメリカ合衆国の大統領が
乗船する戦艦が無くて困って装甲巡洋艦で現れるとは、、、
しかも遠い日本からやって来た薩摩より遅く。
いずれにせよ、各国の特派員は面白おかしくアメリカの現状を書き立てるの
でした。
大国アメリカの大統領が、戦艦がほとんど全部沈んで困って装甲巡洋艦に乗ってくるのですから、これは面白い記事になるでしょう。
列強各国の代表は国を代表するような軍艦に乗って来ています。
日本だって最新鋭の高速戦艦『薩摩』
(19000トン)ですしね。
それだけにアメリカの装甲巡洋艦が
笑えるのですね。
しかも最新鋭の装甲巡洋艦ではありませんから。
1番艦の完成が1901年とはいえ、
ペンシルベニア級装甲巡洋艦が1隻残っていて良かったですよ。
一応は新世紀に入ってから竣工した
装甲巡洋艦です。設計は旧世紀とも言えますが、、、、
ペンシルベニア級は13700トンで装甲巡洋艦なのにメイン級戦艦より大きいんですよね。
だから選ばれたのか。
メイン級も1902年竣工なんですよね。
12500トン、、、
まぁ、コネチカット級の生き残りのニューハンプシャーでも16000トンですから。
19000トンの薩摩と並んだら小さく見えますよねえ。
装甲巡洋艦じゃあ、更に小さく見えますよねえ。
見かけからしたら、ペンシルベニア級1択でしょうね。
排水量が大きいし。
搭載されているのは20.3cm砲4門ですが。
でも、嫌味をやらせたら世界1の大英帝国はさすがです。『薩摩』と『ドレッドノート』とペンシルベニアを並べて
ペンシルベニアが小さく引き立て役に見えるように並べていますよ。
しかもアメリカが攻撃したとしても
ドレッドノートが盾になるような配置にするとは、さすがは大英帝国です。
ドイツやフランスもペンシルベニアを取り囲む配置ですよ。
敗戦国は悲惨ですねえ。
記者『日本の薩摩と並んでるアメリカの装甲巡洋艦を撮影したいので、配置を変更できませんか?』
政府広報官『きみ、わかってくれたまえよ。イギリスとしては信用できない国の軍艦を仕方なく受け入れているのだよ。
イギリスにとって大切なアジアの友好国の日本の戦艦を信用できない国の軍艦の隣になぞ並べる事はできないよ。
もちろんイギリス側は魚雷は1発も持ち込まないよう厳重に事前に注意し、臨検もしているから安心したまえ。』
記者『なるほど。それで、あの国を挟むように英国とドイツの戦艦が並んでいるのですね。』
政府広報官『スペインもメキシコも
並びたいとは思わないだろうからね。』
魚雷を事前に持ち込み禁止と通告するとは、さすがは嫌味を言わせたら世界一のイギリスです。
ですが、これは外交的な裏の意味も含んでいます。
つまり、『宣戦布告無しの奇襲をするような国は、相応の扱いをさせてもらう。』って事ですね。
もちろんイギリスや他の国の大使はアメリカの宣戦布告無しの奇襲に対して厳重に抗議しています。
(なんせアメリカは1日後にすら
宣戦布告してません。いや、できないと言うべきでしょうが。)
アメリカの軍事力の象徴である
アメリカ艦隊は壊滅しましたからね。
遠慮せずに諸国は猛烈な抗議をしています。(小国でもアメリカには不満はいっぱいあったんでしょうね。控えめな抗議しかできなかったのでしょう。
そんな諸国でも高関税には怒りがあったんですよ。)
欧州諸国がアメリカ軍艦の入港や近海への立ち入りすら禁止したのはもちろん、外交的なサインなんですけど、
アメリカにどれだけ伝わっているのか、、、
世界中の国がそのような蛮行は許さないと言っているのですがね。
例えば、地中海沿岸諸国は地中海にアメリカ軍艦は入るな!と共同で声明を発表しています。イタリアがそんな事をされたら降伏せざるを得ませんからね。(まぁ、バチカンがあるイタリアにそんな事をするかは疑問ですが、
アメリカですからね。
バチカンを避ければ問題は無いとか
思っていそうで怖いですな。)
他の国の人達のヒソヒソっぷりもさすがは欧州人。
ここぞとばかりにアメリカを野蛮な人間扱いしています。
悪口も洗練されていますね。
グレートホワイトフリートを見てみたかったのに残念だ。
欧州を歴訪してほしかったとヒソヒソしています。
わかりにくいですが、
(カリフォルニアで最後に整備をして万全の状態で日本を攻撃したかったから、先に欧州を歴訪せずにマゼラン海峡通過ルートでアメリカ西海岸に行ったんだろ。)と嫌味を言っています。
アメリカ軍艦が整備できる拠点は少ないですからね。
長旅で埃を被った状態で欧州を歴訪してアメリカに戻るルートは不自然だと
言われると、そう聞こえてしまうから
不思議です。
カリフォルニアでは艦隊と遭遇して海戦になった訓練もしてましたしね、アメリカは。
(大西洋のハンプトンローズ港から出発してハンプトンローズ港に帰港するにはサンフランシスコやハワイに先に行っておく必要があるので、マゼラン海峡通過ルートはあたりまえなのですがね。)
日本側はルーズベルト大統領に対して
『大統領、貴方の命令でアメリカ艦隊は攻撃したのですか?』
と問いますが彼は首を振りました。
更に日本側は、
『世界各国はアメリカの高関税政策に怒っていますが関税を諸国と同率に下げるつもりはありますか?』
と問いますが彼は首を振りました。
関税からの収入のおかげで戦艦が建造できているようなものですからねえ。
ですが、これだけの事をしているのに
高い関税を下げるつもりのないアメリカの傲慢な態度は世界各国を激怒させます。
ルーズベルト大統領は1億ドルの賠償金の支払いとグアムとフィリピンの割譲に署名して帰国するのでした。
(議会に認めさせる為に交渉し続けて
からイギリスにやって来たから、憔悴してたのですね。)
これは高速戦艦薩摩のおかげでもあります。まだ、あの日から日時が経過していないのに無傷の薩摩がここにいる、、、
現地でアメリカ艦隊は降伏しましたが、講和条約を結ばないと戦争は終わった事にはなりません。
薩摩は東海岸で暴れる事も可能です。
ニューヨークを砲撃する事もできるでしょう、、、
と想像させるために薩摩は頑張りました。
日本の全権代表は精力的に動き、
高速戦艦薩摩は欧州各国を歴訪して
大歓迎されて帰国します。
なんせ、世界に5隻しか居ない新型戦艦です。しかも、イギリスのドレッドノートがお披露目航海する前に、偶然ですが日本の最新鋭高速戦艦の薩摩がお披露目航海してしまいました。
スペイン、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、ロシア、イタリア、オーストリアハンガリー帝国、オスマントルコ帝国、ギリシャ、インド、を訪問し日本に帰国します。
これらの国々で外交交渉しつつ、
親善航海を続けます。
その国の指導者達と会話するチャンスです。相手に好意を持たせる魔法やアイテムを駆使して会談し、洗脳魔法で日本と主人公への好感度を上げます。
帝政ロシアもドイツも大幅に日本に対する好感度が上がります。
これからの外交がかなりやり易くなるのでした。
これらの国が高関税政策をし続けるアメリカから物を買わなくなった影響は途轍もなく大きな影響をアメリカに与えます。
欧州のイギリスのロンドンまで来て、あえてアメリカの東海岸のどこも訪問せずに欧州各国、しかも清国と戦争中のロシアまで訪問するのに、欧州諸国を歴訪して、アメリカをスルーするのも日本の外交メッセージといえます。
アメリカはあれだけの事をしたんだから、それなりの誠意を見せてみろや。
と言ってるようなもんですね。
講和条約は結んでも信頼度はゼロ以下ですから。
(賠償金と領土割譲して貰ったがアメリカへの信頼度はマイナスです。信頼できない国を訪問したくはありません。)って外交的意味ですね。
外国上手な国なら、日本からの関税を今後20年間は5%に下げますとか
声明を発表するでしょう。
日本に5%の関税をずっと強要していたんだから、それくらいは誠意を見せるべきですけどね。
現時点ではアメリカにはデメリットが
全然無いですし。
更に外交上手な国なら少しは関税を下げるでしょうな。
そして、これらの国々はアメリカに対して厳しい目で見るようになるのでした。
世界の国々は日本に対する関税を今後10年間下げると声明を発表します。
(被害国の日本を応援する為でもありますが、買いたい物があったら賠償金で買ってよ!)ってメッセージですね。もちろん日本はほしい物を買っちゃいますよ!
色々とね!
欧州の反米姿勢、戦争の敗北、高額な
賠償金とグアムとフィリピンの割譲、
、、これらもルーズベルトの負の遺産と言われるようになります。
セオドア・ルーズベルト大統領は
大統領の人気ランキングで最低を争う不人気な大統領になってしまいます。
大人気な史実とは大違いですね。
まぁ、戦争に負けましたからね。
そしてフィリピンを植民地として
支配せずに独立させた明治天皇陛下に
ノーベル平和賞が贈られるのでした。
日本は一律5パーセントの関税でした。
この関税を外国なみの11パーセントに引き上げることができれば、醤油税(年120万円の国家歳入)、車税(同64万円)、菓子税(同62万円)、売薬税(同45万円)などの税収が増えます。
日本は一律に関税を11%に上げます。
そして、諸外国では日本ブームが起こり、日本からの輸入が増え、日本は関税でも高収入を得ます。
関税収入は何倍にも増えました。
更に日本は幕末期の為替レートが諸外国と違っていたため、及び関税自主権を失っていた事により、幕末期から明治の始めまでの25年間に3億ドル相当の
金銀を失っているとも言われています。
現時点で主人公が取り戻した金額は軽く3億ドルを超えているでしょう。
原油、金銀、各種資源を含まない現金だけで3億ドルを超えてます。
幕末期からアメリカに奪われた金銀ですけど、利息をトイチで計算して、
利息を付けて返してもらいましょう
と主人公は思ってます。
ここまでの説明でも言葉が足らなかったかもしれません。
いくら戦争でも最低限のルールがありますよ。
欧州各国や世界中の国は、親善航海といっても、東海岸の防備をガラ空きにして全部の戦艦と言っていい戦艦で日本を訪問したのは怪しいとあらためて
気がついたのです。
メイン級のメインとオハイオ以外の全艦での出航ですからね。
米西戦争の口実も怪しかったが、
アメリカという国はそこまで、なりふり構わずに謀略を行って『勝てば官軍』『勝てば問題無し』
をやる国なのかと絶句したのです。
でもこれ以降は何処の国も『アメリカは日本を奇襲攻撃したから信用できない。アメリカ軍艦の入港は拒否させて
もらう。』と断る事ができるようになります。
0以下のマイナスにまで信用度が下がった信用を上げる大変さを世界各国のアメリカ大使は味わい、苦しむ事になります。
なんせ、全欧州いや、全世界から拒絶されるのですから。
主人公やゴーレムはアメリカを徹底的に追い詰めます。
相手の国を追い込んで、開戦謀略して
裏口から参戦するという手口をアメリカが使えないように、徹底して言い続けるつもりです。
もちろん、欧州各国のマスコミにも
言い続けてもらう予定です。
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