第54話『運命のその日』
ルーズベルト大統領の代理人として
桂・タフト協定を結びに来日した時以来の日本、、、
(史実だと第27代アメリカ合衆国大統領になった、)ウィリアム・タフトはグレートホワイトフリートの威容を見て涙が出そうになりました。
フィリピンの民生長官として赴任して
力を尽くしたのですが戦火が止む事は
無く、彼の護衛が死亡するという悲劇にも見舞われて、彼は辞職してアメリカに帰国すべく、日本に来日したのです。
毎日のようにアメリカ兵の死者が出て
いる上にアメリカ人が憎まれている、
フィリピンを無事に出国できて、彼はホッとしています。
今のフィリピンはまるで戦場です。
1年に数千名の戦死者が出ているのですから。
できればアメリカ艦隊と共にスエズ運河から地中海を通り、早くアメリカに帰りたいと思っていました。
その砲撃は突然起きました。
タフトが市街地から見るとアメリカの戦艦が日本の戦艦に砲撃しています。
最初に砲撃した戦艦に釣られるように
次々とアメリカ側の戦艦が砲撃を始めています。
至近距離から撃たれた砲撃を受け
日本の戦艦達は沈黙しています。
見物客はパニックを起こしわれ先に逃げ出しています。
ウィリアムは声を出す事もできませんでした。『セオドア、君はなんて事を、、、』
偶発的な戦争にしてはアメリカ艦隊側の反応が早すぎます。
ある程度の戦闘準備をアメリカ艦隊は事前にしていたとしか思えません。
日本側には動きすらありません。
しかもアメリカの戦艦の向こう側にいたインディアナ級や装甲巡洋艦が絶妙な位置から日本の戦艦を砲撃しています。
砲撃し易い位置を選んで停泊したとしか思えません。
あっ、日本側の戦艦に動きがありました。至近距離からアメリカ戦艦に砲撃されているというのに、動けるとは驚きです。砲塔が旋回して狙いをすませて
斉射します。
そういえば、アメリカ側は各砲塔がバラバラに発射しています。なるべく早く、多くの砲弾を命中させようとしているかのようですが、、、
日本は冷静に各艦が斉射を重ねて、
水線下の舷側を狙っています。
アメリカ側の戦艦は浸水して、次々と
着底していきます。
アメリカが最強と豪語するコネチカット級戦艦ですが舷側の装甲は最厚部でも229mmに過ぎません。この厚さでは至近距離からの30.5cm45口径連装砲には耐えられません。(9000m先からの
砲撃にも耐えられませんが。)
(日本側は500mmの舷側装甲を更に厚くして防御魔法まで使用して守っています。)
アメリカの戦艦が浸水し沈没していきます。
他の戦艦とは違う艦なので、あれは
キアサージ級かバージニア級のどれかでしょう。
アメリカの戦艦が次々と沈んでいきます。日本側の装甲巡洋艦も次々と砲撃を
アメリカの装甲巡洋艦に命中させます。
アメリカの戦艦が次々に浸水して沈みます。
日本側の戦艦は1隻も沈ますに攻撃に耐え、戦艦の数が同数になると勝利の天秤は日本側に急速に傾いて行きました。美濃、越後、甲斐はそれぞれ2隻目の戦艦を撃沈し3隻目に照準を向けます。
富士改達も攻撃を重ねてアメリカ側の戦艦を全部撃沈するのでした。
アメリカ側の装甲巡洋艦達が逃げ出そうとしますが、そこに高速戦艦『薩摩』と装甲巡洋艦が立ち塞がります。
薩摩の砲撃を受けて装甲巡洋艦は全滅するのでした。
この戦いは日本に駐在していた各国の大使がそれぞれの母国に報告し世界中のマスコミが一斉に報道しました。
世界の人達は驚愕します。
宣戦布告無しにアメリカ艦隊が卑怯な騙し討ちをして日本艦隊を全滅させようとしたのですから。
世界一周の親善航海の旅というのは
嘘で日本に奇襲攻撃して勝つのが目的
だったのか。と各国は思いました。
なら、全力に近い数の大西洋艦隊が移動する謎が解けます。
アメリカには21隻の戦艦がありますが
メイン級の2隻以外の全戦艦が日本を攻撃しにやって来ています。
イギリスもドイツも大海軍国ですが、
ほぼ全艦を親善航海させるか?と問いかけます。
いや、あり得ません。
普通なら半分は残します。
ですが相手は新型戦艦をいち早く
生み出して新型戦艦を4隻、準美濃級戦艦に改装した富士改級を7隻も保有している大日本帝国海軍。
なるほど。
アメリカは日本の戦艦を恐れたのか。
だから全力で襲い掛かり、
日本の戦艦を沈めようとしたのか。
と諸外国は納得したのでした。
全部の戦艦を沈めて東京を砲撃して
降伏させようとしたのか、と。
そして、日本側の戦艦が至近距離からのアメリカの砲撃に耐え続けて反撃しアメリカ戦艦を全滅させたのも世界を驚愕させました。
なんせ富士以外は日本が建造した日本の戦艦です。富士改級も美濃級も薩摩も日本の設計です。
その日本の戦艦がアメリカの戦艦を撃ち破ったのですから。
日本側の装甲巡洋艦も1隻も沈んでいません。
アメリカ側は大敗北しました。
最新鋭の戦艦含む19隻の戦艦が沈没。10隻の装甲巡洋艦も沈没しました。
横浜港は水深が深い為艦橋の籠マストと煙突の先端だけが水上に出ています。
随伴していた通報船ロンクトン、工作船パンサー、給品船グレーシャ、給品船カルゴーヤ、病院船レリーフ、給炭船エイジャックスらは日本に降伏。
生存者は少なく、病院船レリーフとロンクトンにて帰国できたのは日本の温情です。
セオドア・ルーズベルト大統領は
どうなるのでしょうか。
日本は1億ドルの賠償金とグアム、フィリピンの割譲を求めるつもりです。
こうして日本の美濃級新型戦艦や富士改級の強さは実戦で証明されました。
イギリスやドイツなどの国々は日本の
戦艦のあまりの強さに驚愕します。
そして富士の舷側装甲の厚さに注目します。
至近距離からの12インチ砲の砲撃に耐えると言う事は舷側装甲の厚みはそのままに装甲の材質を強化しているのでは?と推測し始めます。
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