第41話ハワイ王国を振り返る。

世界列強入りして旭日の勢いの日本。

ビルも増え、港湾も整備され、一目で

経済発展している様子が見てとれる。


それとは逆にアメリカ政府はパニックになっていた。

カリフォルニア州の油田が全然出なくなったのだ。

それに有望だと思われていたテキサス州の油田も枯渇する有り様で全然油が

出てこない。

水が欲しくて井戸を掘ったら原油が出る様なテキサス州だっただけに期待していた政府関係者は多かった。

なのに原油が出ていた油田が枯渇したのだから落胆は激しかった。


しかも、カリフォルニアもテキサスも

いくら掘削しても油田に当たらない。

まったく採算が取れないのだ。


石炭を満載しても、この時代の軍艦の航続距離は短い。補給基地にできる港が必要だとアメリカ政府はハワイを見つめるのだった。



(1893年:リリウオカラニ女王がアメリカとの不平等条約を撤廃する動きを見せると、これに反発したアメリカ人農場主らが入港していたアメリカの軍艦から【海兵隊160名の支援】を得てクーデターを起こし、王政を打倒して「臨時政府」を樹立。女王はイオラニ宮殿に軟禁される。このとき、日本は国王派から依頼を受け、邦人保護を理由に東郷平八郎率いる軍艦「浪速」ほか2隻をハワイに派遣し、ホノルル軍港に停泊させてクーデター勢力を威嚇した。ハワイ在留日本人も女王支持派に同情的であった。「臨時政府」はアメリカに併合を求めるが、就任直後の大統領グロバー・クリーブランド(当時)は海外進出に消極的な政策をとっており、併合を渋る。結局クリーブランドは大統領任期中、ハワイを併合しなかった。

1894年7月4日:アメリカによる併合に時間が掛かると判断した臨時政府は、新憲法を発布しハワイ共和国を宣言した。大統領に就任したサンフォード・ドールは、最初で最後のハワイ共和国大統領となった。)

(1895年1月16日:ハワイ人王政派が武装蜂起したが、短期間で鎮圧され、虐殺される。この武装蜂起を支援したとして、リリウオカラニ女王が逮捕・幽閉される。原住民の大虐殺ののち、アメリカ人はハワイを完全に乗っ取った。

1895年1月22日:リリウオカラニ女王廃位により、ハワイ王国が滅亡。

1898年8月12日:米西戦争でハワイの地政学的重要性を認識したアメリカは、ハワイ共和国を併合してしまう。)

ハワイの真珠湾には根拠地が建設中だったのだが予算が増額されるのだった。


アメリカ海兵隊がクーデターに加担している事に注目されたい。

これは『宣戦布告無しのハワイ侵略』である。しかも『大統領が知らない侵略』だ。

しかもアメリカ人が危険な目にあってるわけでもないのにアメリカ軍艦の

海兵隊員が武装して攻撃してハワイ王国を滅ぼしている。


ハワイ王国は多くの国に承認されていた王国である。

独自に外交もしている。

ハワイ王国を助ける事ができなかったのは残念でならない。


日本にとってハワイはあまりにも遠く

アメリカは敵対するには大国過ぎた。

クーデターの妨害とハワイ共和国の成立も阻止できなかったし、その後の

住民虐殺やハワイ王国滅亡も阻止できなかった。


日本はアメリカのハワイ王国侵略に対しては逆らう事ができなかったが、

レジスタンスを開始する。


洗脳したフィリピン人をハワイに行かせ、ハワイのポリネシア系住民に対して、『武装蜂起はしてはいけない。

フィリピンでは大勢が虐殺された。アメリカ大陸の先住民のように

虐殺されて全滅させられるぞ。』と

訴えさせ、『アメリカ人は虐殺者。』

だと、常識として定着させたのだ。

フィリピンとハワイでは人口が違う。

下手したらポリネシア系住民は

大虐殺されるかもしれない。

主人公は彼らには生き残ってほしかったのだ。


スティーブン・グロバー・クリーブランド大統領は望まれての併合でなければ併合してはいけないと言い、ハワイ

併合にサインしなかった。

フィリピン独立派との苦しい戦いののち、アメリカ国民のクリーブランド大統領へ対する評価が上がるのだった。


ハワイ併合を望んでいない大統領の任期の時にハワイ王国侵略が行われ、スペインとの戦争を望んでいない大統領の任期の時に米西戦争が起きるという皮肉は凄いですよね、、、



アメリカが嫌いなスペイン人やスペイン系の人間は進んでアメリカ人の悪いイメージの拡散をするようになる。

メイン号の爆発はアメリカの自作自演で、『アメリカは卑怯な騙し討ちをしてスペインから植民地を奪った。』

と世界に広めるのだった。


なんせスペインはアメリカとの緊張関係を柔らげる為にメイン号を受け入れたのだ。だが結果は装甲艦メイン号が

勝手に爆発したにも関わらず、アメリカからの宣戦布告である。


こうしてアメリカの悪玉イメージ作戦の第1段が開始していくのだった。


イギリスの様な強大な海軍を持っている国は別だが、オランダやベルギーなどの国々はアメリカに厳しい目を向ける事になる。

スペインのように難癖をつけられて

植民地を奪われたらと考えると、

たまったものではない。

次は自国の植民地が奪われるのでは

ないかと不安に駆られるのだった。



ここで予想以上の事態が起きる。

ベルギーやオランダやフランスがイギリスと協調する姿勢を見せ始めるのだ。本国がドイツに襲われる危険性に備える為であり、植民地をアメリカに

奪われる危険性に備える為である。


アメリカはハワイ王国も侵略して滅ぼしたな。と欧州各国はアメリカを危険視する様に変化していくのであった。


ハワイのその先に植民地や権益がある

国は特に、、、


現時点で太平洋に自国領があるドイツもアメリカの侵略を意識するようになるのだった。

植民地は少ないとはいえ奪われるのは惜しいのも事実。

それにサイパン付近の諸島やパラオは

いつアメリカに奪われるかもしれない。

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