第6話 アカネがいない

だんだん部屋が明るくなってきた。

アカネはどうも朝が苦手みたい。ベッドの中でゴロゴロ転がってる。僕も朝はちょっと苦手かも。


ある程度してからアカネが起きて

「おはよー、パスタちゃんと寝れた?」なんて声をかけてくれる。

ちゃんと寝れたよ!起きたよ!おはよ!

のそのそとゲージと僕を下の階へ運んで、ショコラお姉さんやミーちゃん、クマさんにも挨拶していく。僕も挨拶しなきゃ。


朝ごはんをみんなで食べていたら、アカネが着替えて僕を撫でながら「今日はお仕事だからみんなといい子にしていてね〜。いってくるね!」なんて言っている。お仕事ってなんだろう?

のそのそご飯を食べている間にアカネは扉を出ていった。相変わらずショコラお姉さんは横目で僕のご飯を狙っている。食べ終わったらお母さんが食器を下げてから、ササミのオヤツをくれた。これは美味しい!世の中こんな美味しいモノが!

お母さんが籠からショコラお姉さんのオモチャ色々出して来てくれて、オモチャにも色々種類があることにビックリした。楽しくて思わずプピプピ連打した。中でも口にすっぱりハマる丸いぬいぐるみが気に入った。噛みやすくて持ちやすい!


お母さん曰く、ショコラお姉さんはオモチャで全然遊ばないらしい。せっかく色々買って来たのにずっと箱の中だから僕が遊んでくれて嬉しいらしい。ショコラお姉さんも僕が自分のオモチャで遊ぶことになんとも思ってないみたい。私はそんなオモチャで興奮したりなんかしないわってお高くとまってる。ご飯の時はすごいのにね。


お母さん達と過ごすのは楽しいけどアカネが扉を出てったきりで戻ってこない。もうだいぶ経つけど、どこいっちゃったのかな。寂しくなって来て扉の前でピーピー泣いてしまった。


お母さんが慌てて抱っこしてよしよし撫でてくれた。

「大丈夫だよ、もうすぐ帰ってくるよ。」

アカネとは違うけど抱っこされるのはやっぱり嬉しい。でも寂しい。


しばらくしてから、アカネが帰って来た。

たくさんの犬や猫の匂いを付けて!


お仕事っていうのはどうやら僕がいたお店のお世話をしてくれたお姉さんと同じで

子犬や子猫達のお世話や家族を見つけてあげる事がお仕事っていうらしい。

アカネが制服と呼ばれるモノを近づけて、「他の犬の匂いとか嗅いでみる?」なんて言っている。チェックするけどさ。

僕も小さい頃からアカネにお世話されたかったってちょっとヤキモチ妬いちゃうね。


でも帰って来てよかった。

あの狭い部屋から出してくれたアカネが1番好きだから。

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