第3話 お兄さんお姉さん、こんにちは

「まずはケージを組み立てるからちょっと狭いけどショコラが小さい時のケージに入っててね〜」

なんて言われて小さなケージに僕は入れられた。

狭い。僕がいた部屋より小さいのでは?と思っていたら、アカネはすぐ戻ってきて扉を開けてくれた。


広いお部屋、何をしていいかわからずその場にとどまってしまった僕。

それを見かねてか、噂のショコラが挨拶しに近寄ってきた。

ショコラは今年4歳。ブラックタンの色がとっても濃くて綺麗だ。

アカネがドッグトレーナーの学校を出たあと犬がいないことが寂しくて迎えて、パティシエをしていた時の好きなケーキの名前からとったらしい。

お姉さん曰くお嬢様で、私が1番ってタイプ。

お高くとまってる感じだからあんまり一緒に遊ぶタイプじゃないかもしれないって。


「ショコラさん、ショコラさん、はじめまして!僕パスタ!」

「あら、はじめまして。私はショコラ。あんまり騒がしいのは好きじゃないの。」

挨拶終わったらそそくさとソファーに戻って行ったショコラさん。とりあえず挨拶はできてよかった。


とりあえず、ゆっくり部屋の中をまわってチェックをしてみた。テレビっていうずっと音が出ているモノがあって、ショコラさんのおもちゃがたくさん入った箱が置いてある。

お水はケージの中とお外にも一個お椀があるんだな。ふむふむ。

そう思いながら、うろうろしているとお部屋の外からチリンチリンと音が近づいて扉からにゅっと猫が1匹入ってきた。

こちらに驚いたのか目をまん丸にして身軽に高い机の上に登って行ってしまった。

下ばかり探索していたから机の上にもう1匹猫がずっといた事に気づかなかった。

2匹並んだ猫。2人とも雑種猫で12歳ぐらいの猫がミーちゃん、8歳ぐらいの猫がクマちゃんらしい。


ミーちゃんは白地に明るいオレンジの茶トラのハチワレ模様で僕がいたお店でもっとずっと前に里親募集に出されていて僕と同じく大きいからという理由で残っていたらしい。

優しいのんびりしたおじいちゃん。

クマちゃんは雑種にしてはとてもふわふわの毛で濃い茶色の茶トラで顎下とお腹周りが少しだけ白いちょっとワイルドな感じ。同じ静岡でも東の方のとあるお家の前に兄弟5匹紙袋に入れられて捨てられていたのをインターネットというモノで里親募集されていて兄弟の中1匹だけ色が違うからと最後1匹として残ってたところを引き取られたらしい。

目つきも吊り目がちでちょっと怖い感じの猫だ。


でもみんな、アカネのことが好きみたい。

ご飯くれってアピールしてみたり、こっそりひっついて寝てみたり。

僕も一緒にやってみてもいいのかな?

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