❌真・ククルスドアンの店Ⅱ(ルシアの店でもHな気分。あの美人巫女は、だれ?)
第16話 勝手なことを言う王様は、ファンタジーの世界から、追放したい!「恥ずかしいわ…」ほら。あの女性と、はじまっちゃったじゃないか。
第16話 勝手なことを言う王様は、ファンタジーの世界から、追放したい!「恥ずかしいわ…」ほら。あの女性と、はじまっちゃったじゃないか。
城からは、彼女に、一流戦士の称号が贈られた。
壮年の男性が、彼女の肩に手をやる。
「そなたこそ、勇者である」
「ちがいますよ?」
「何じゃと?」
「だって…!世界を救うような勇者が、他人の家に勝手に上がって、タンスの中身とか勝手に取ったりなんて、しないと思いますから!」
「そうか」
納得、するなよ。
「…大魔王を倒してほしいとか、世界に光を取り戻してほしいとか、勝手なことを言っておいて…」
「何?」
「それなのに、旅立ちに、ぼろい剣とか服とか、たいした金額じゃない金をもたせるだけの王って、何?」
「う…」
「どゆこと?世界を救ってほしいんじゃ、なかったの?」
「ルシアさんと、言いましたな?」
「はい」
「何か、他にも、言いたいことはおありかな?」
「あの…」
「何ですかな?」
「王は、おられないのでしょうか?」
「王は…。忙しいのじゃろう」
「そうですか…」
さまざまな誇りをまといつつ、ほんのちょっぴりとさみしい気持ちで、城を出て、店に戻った。
王に会えると、思っていたのに。
会えたのは、あの変なおっさんくらい…。
会えると、思っていたのに。
会えると。
「…あ。…そういうことか」
はずかしくなった、彼女。
数日後。
またも、いやなことが起きた。
人騒がせな門番となっていたツバキが、なぜか、彼女の店兼道場の玄関先で倒れていたところを、道場の門下生によって発見されたのだ。
ツバキは、またしても、ベッドに横たえられることになってしまった。
「誰か、きてください!」
「おお」
「門番の意識が、戻ったのか?」
「たぶん」
「早く、ルシアさんに、知らせましょう」
「まったく…。世話の焼ける男、だな」
道場の者たちに囲まれた門番、いや、ツバキは、彼女のほうを見て笑っていた。
「約束は、守りましたからね」
ぼこぼこに腫れ上がった顔を、彼女に、向けながら。
「何?約束って…」
「え?」
「だから、約束って何?」
「実は、君のお父さんと、約束をしたんです」
「約束って?」
「必ず、あなたを守りますっていう、約束です」
「そう」
「本当ですよ」
「でも、変ねえ。いつ、あなたは、私を守ってくれたってわけ?」
「この前、城で、守ったじゃないですか」
「…?」
異世界は、不思議色。
しかし、彼女の父親はどこにいってしまったんだ?ちっとも、店には帰ってこないじゃないか!
そんなこんなで、夜になった。
「しおりがピンクになる」
その意味がわかる人には、うれしい時間のはす。
ツバキの心にはさまれていたしおりが、激しく、ピンク色に染まりはじめる。
が、ルシアは、どこかにいってしまっていた。
残念!
代わりに、あの女性との思い出が、よみがえってきた。
女性が、ツバキの胸に顔を埋める。
「お客様?」
「…はい」
上品な声って、エッチなんだな。
「やっぱり、私の身体が、お好みなんですか?」
「…」
「エッチ」
また、はじまっちゃったよ。
「な…」
「ああ、お客様?」
「はい」
「そこは、触っちゃ、いや!」
「どういたしまして…」
「エッチ!」
「すみません」
「もう!」
「お世話になります」
皆、皆、かんちがい。
床屋のアレのかんちがいを、思い出す!
「床屋の、赤・青・白の意味」
この世界では、正しいことを知ると、いやらしいことになってしまうんじゃないのか?
またも、あの女性の声がせまる。
「何にします?」
「じゃあ、あなたにします」
「かしこまりました」
…ちょ。
「恥ずかしいわ…」
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