第15話 奈良県の人が知らない、「ムサシの剣」の謎。レベルの高い品評会の日は、守れ、守れ!この楯で、城の者たちの攻撃を防ぐんだ!

 「どうして、これが、ここに?」

 彼女の頭が、クラクラとしてきた。

 「とりあえず、いかなくちゃ」

 例の盾を手にして、アルバイン城へと向かう。

 その日が、ちょうど、品評会の日だったのだ。

 城門には、壮年の男性が、重々しいよろいを着て立っていた。

 「城下指定の、防具屋の者です!この盾の強さを証明し、我が店も、認めていただきたい」

 言うと、壮年男性が、ゆっくりと口を開く。

 「たしかに、この城で、品評会がおこなわれる。ルフト国王が、防具の品評を進めておられますからな。レベルの高い、品評会ですぞ?そなたは、それほどまでに、素晴らしき防具を、お持ちといわれるか」

 「これです」

 「そこで、待たれよ」

 「ええ」

 今度は、若い兵士が、やってきた。

 「王が、この盾の強さを、見たいそうです。城の剣士に、相手をさせるとのこと」

 「耐えてみせます!私の防具屋も、認めてください」

 「強気ですね」

 城の中の、修行場にて。

 奥に進むと、またも、あの壮年男性再会。

 「きたか…」

 その声に宣言をして返す、彼女。

 「教えてほしいのです」

 「ん?」

 「正直にいえば、私にも、この盾の真価がわからないのです。教えてください」

 「ほう」

 「…」

 「面白い。が…。この城内で、品評会で、真剣は振るえん」

 「そうでしょうね」

 「竹刀で、よろしいですかな?」

 「ええ」

 控えていた数名の戦士が、出てきた。

 盾で身体を覆う、彼女。

 「はじめ!」

 「こんなにも、大きい盾だったかしら?改めて見れば、私の身体を覆えるくらい大きい盾だったみたいね」

 「ビシッ」

 「バシッ」

 盾は、耐えた。

 連打。

 連打。

 数名の剣士らが、何度も何度も、彼女に向かって、竹刀を振り下ろす。

 「まるで、剣道のゲームだわ。剣道…。ムサシの剣、とか。今どき世代の子は、知らないかも。原作マンガさえ読んだことない子も、多いかも…」

 「ビシッ!」

 「バシッ!」

 襲いかかってくる竹刀に、耐え続けられるのか?

 「…そうだ。ナラまで、阿修羅像を見にいったのよね…。添乗員の女の子に、トウドウシュラの修羅って、阿修羅像からとった名前でしたよねって、言ってみた。…え?トウドウシュラって、誰です?そんなん、知らへんわあって、マジ顔で、返された。あの添乗員って、ナラの子なんでしょう?トウドウシュラって、ナラ県人じゃなかった?…もう、いや」

 「ビシッ!」

 「バシッ!」

 「そうだわ…。ランって、どう思います?って聞いたりも、したっけ…。もちろん、ムサシの剣の、ラン。そうしたら…。ラン?モウリラン?ランちゃん、かわいいわあ。あの子の頭の、あの、三角の部分を、ハサミで、チョキンとしてみたいわあ。って、言われたんだよね…」

 「ビシッ!」

 「バシッ!」

 「あり得ない…ナラのプライドって、何?モウリランは、東京だし…。モウリランを描いている人は、トットリの…」

 「ビシッ!」

 「バシッ!」

 「そこまで!打ち方、やめ!」

 剣士らの動きが、止まった。

 ムサシの剣。

 剣道のルールを知らずに、説明書をなくすと、面倒なことになるゲームだ。本当に、マンガも知らない人が増えた。

 それにしても、良くやった!

 盾は、完璧なまでに、彼女を守ってみせたのだ!

 ルシアの気持ちは、どうなっていく?ここでも、謎のあの女性が入ってきたようなエッチな世界は、開くのか?

 楽しみ?

 おっと。

 今度は、塾の講師時代の仲間、スナガのことが、思い出されてきたぞ。スナガと、再会できた気分になれた。 





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