❌真・ククルスドアンの店Ⅱ(ルシアの店でもHな気分。あの美人巫女は、だれ?)
第13話 美人巫女が、水を少しだけ口に含み祈る。巫女の頭がゆれ、手がゆれ、唇が、何度も振動を重ねて。仲間のタナカと、心の中で再会。
第13話 美人巫女が、水を少しだけ口に含み祈る。巫女の頭がゆれ、手がゆれ、唇が、何度も振動を重ねて。仲間のタナカと、心の中で再会。
不思議だ。
巫女が、店というのか道場に座ると、それまで重苦しかった空気が、さわやかになっていく気がした。
巫女の、霊力?
「ルシアさんとどちらが、良い感じの女性なのかな?いつか…、一緒に。やばい」
エッチになってきそうな感情を抑えるのも、一苦労な、ツバキ。
「こちらです」
巫女には、店を入って少し奥の部屋に、座ってもらうことにした。
「あれ?ルシアさんも、きたんですか?」
「何、悪いの?」
「いえ」
「そうだ。お父様は?」
聞こうとするなり、他の門番が、割って入ってきた。
「あのう。ルシアさん」
その門番が、何かにおびえるようにして、口を開きはじめる。
「何が、あったの?」
「…ええと」
「ほら。はじまるみたいよ?」
巫女が、真剣な顔をはじめた。
「はじめます」
巫女は、茶を断って、水を少しだけ口に含んだあと、ただ一心不乱に、なにやら祈りはじめた。
「ルシアさん?」
「シッ…」
巫女の頭がゆれ、手がゆれ、唇が、何度も振動を重ねた。
「う…く…」
巫女は、ときに、何かをつぶやいた。
その場にいた皆が、その様子に魅入っていた。
「何かを、見つけなければならない」
それは、その場にいる者皆が、わかっていたことだ、が、そういうときほど、わからないことが出る。
巫女が、苦しそうにうめくほど、皆が、混乱をはじめたのだ。
「…あれ?何を見つけなければならないのかが、ますます、わからなくなってきた」
門番となっていたツバキも、巫女の姿を見て、ボーッとしてしまっていた。
「痛!」
彼女に、足をつねられた。
巫女の動きが、止まった。
巫女の、漆黒の闇を司るような長く美しい黒髪の間から、一枚の紙切れが出てきた。
「これで、わかると思います」
巫女は、その紙を手に取り、広げた。
「あなた方のお探しになっていたものは、ここにあるでしょう」
「巫女さん?我々は、そもそも、何を探さなければならないのですか?」
「守るべきものの、命です…」
「はい?」
「何でも、ありませんわ」
どこまででも、不可思議な巫女。
巫女の広げた紙には、何かの絵が描かれていた。
「何、これ?」
「文字とかじゃあ、ないんだな」
「絵か?」
「というよりも、図面だ」
「見せてくれ」
絵だった。
図面といっても、おかしくなかったろう。
広い庭をもつ家が、立体的に描かれた、簡単な地図のようなものになっていた。
「あれ?」
「これって、何でしょう?ルシアさん?」
「これ、私の家じゃないの?」
「え?」
「ああ、本当だ」
「本当ですよ、ほら」
「…」
「とりあえずは、安心。じゃあ、話題をちょっと変える。お父さんは、いきつけの、何とかっていうバーにでも、出かけたの?」
「はい」
「おそらく」
「えー?こんな、昼間から?最近のお父さんって、あの店とは、裏切り続きじゃなかった?時短営業もあって、いっていないと思っていたのに!」
「…ルシアさん?シッ」
巫女は、また茶を断って、水を少しだけ口に含みだけ。
一心に、祈り続けた。
「お…。ルシアさんに見習ってほしい、色っぽさだ」
「聞こえていますけど!」
門番となっていたツバキは、ただ、怒られるのみ。
「今は、がまんするか。粘り強く…!あいつの言葉を、見習おう」
学習塾の講師だったときの、タナカという仲間の好きだった言葉が、思い出された。
「農民の粘り強さだ」
タナカの、口グセ。
ふと、タナカと再会できたような気がしたから、不思議だ。
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