第8話 このかんちがいをしている人、多い!「床屋の赤・青・白は、動脈・静脈・包帯のこと」アホナ学校の先生とかが言いがち、エロいまちがい。

 ほとんどの人が、かんちがい。

 「まあ…、店によっては、赤と白の2色が回されることもありますがね」

 「そうなの、マスター?」

 3色ポールの色の意味について、小学校の先生とか、こう言いがち。

 「皆さん?3つの色の意味は、動脈、静脈、それに、包帯です」

 ブー。

 ちがう。

 知らなかった人は、知っておきたい!

 あの3色の、意味は…?

 1つには、動脈、静脈、包帯の色説もあるには、あるんだけれども…。

 本当のところは、ちがう。

 床屋でお馴染みの、あのバーバーポールの3色は、正しくは、外科治療からきているという。

 「床屋は、外科でのあったんですねえ」

 「さすがは、マスター!」

 人間の頭髪は、善悪の精霊を通すものだと信じられていたから、それをあやつることのできた理容師が、神格化。

 人の髪を切る者の社会的役割は変わり、床屋は、学問的なサロンとなった。

 髪を切る場所としてだけではなく、政治学や経済学を論じあう学問の広場としても、独立していくことになる。

 床屋は、外科手術も受けもつように、発展していく。

 修道院などで、外科手術もおこなうようにもなったようだ。

 床屋医の、誕生。

 そんなわけで、この説は、ちがうからね。

 「床屋で有名なあの3つの色は、動脈、静脈、それに、包帯をあらわしている」

 ブー。

 信じていた人は、残念でした。

 「やられたのか…?」

 そのときだ!

 時空が、変わる!

 ツバキの頭が、震える!

 あの女性との思い出が、よみがえってきたのだ。

 女性が、ツバキの胸に顔を埋める。

 「お客様?」

 「…はい」

 相変わらず、上品で、エッチな声。

 よゆうのある女性の、強み。

 「お客様は…」

 「…」

 「やっぱり、私の身体が、お好みなんですか?」

 「…」

「エッチ」

 また、はじまっちゃったよ。

 「な…」

 「ああ、お客様?」

 「はい」

 「そこは、触っちゃ、いや!」

 「どういたしまして…」

 「エッチ!」

 「すみません」

 「もう!」

 「お世話になります」

 困った記憶、だな。

 床屋のアレは、まちがえやすいぞ!

 「床屋の、赤・青・白の意味」

 かんちがいをしていたとわかると、また、あのかわいらしいアラフォー女性との経験が、思い出されてしまうというもの。

 「何にします?」

 「じゃあ、あなたにします」

 「かしこまりました」

 …ちょ。

 冗談だったのに。

 「はずかしいわ…」

 そう、そう。

 知らないと、はずかしい…。

 もう一度、お勉強!

 もともと、床屋は、髪の手入れをするということで、「衛生学」っていうものを、マスターしていた。

 床屋は、医者をまかせられるようになったわけ。

 こんな、聞き慣れない言葉がある。

 「瀉血(しゃけつ)」

 床屋医がおこなっていた、治療法の1つの名前だ。

 「身体の具合が悪くなるのは、なぜか?それは、悪い血が体内に集まってしまうからにちがいない」

 そうした考え方で、悪い血の集まってしまった部分を抜き取ろうという施術が、おこなわれた。

 患部を、棒を用いて、開く…。

 メスを用いる今の医療とは、ずいぶん、異なった点だ。

 患部を開かれた患者は、患部を開くときに用いられたその棒を、握らされる。ここも、今の医療ではあり得ない点だ。

 その棒を伝い、血が、流れる。

 これが、瀉血(しゃけつ)。

 瀉血に用いられた棒は、赤。

 床屋の赤色ポールは、その名残なんだそうな。

 「床屋の赤色の意味については、わかりましたか?」

 「わかったよ、マスター!」

 赤は、血のついた棒、瀉血棒を表す。

 床屋の赤色ポールは、動脈っていう意味じゃあないからね。

 瀉血の後には、施術に用いられた赤い棒と白い包帯が、洗われて干されたという。

 その意味で、白が包帯の色だというのは、正しい。

 これで、瀉血が、「赤と白のポール」の意味になったというわけ。

ああ、はずかしいわ…。



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