第6話 バー・レモンハートル。この店で、マスターがする話は、マジで、いっちゃっています。あなたは、2人のやりとりを聞いて、どう思いました?

 守るだけじゃなく、攻めろ!

 飲食店に、いくしかないんだ!

 あの巫女の正体を、見破りたいし!

 「カラン、カラン」

 店の入口の扉を開ければ、出迎えの鐘が、からからと、鳴り響く。店内の照明はやや暗く、静か。

 レモンハートルと、呼ばれている店。

 ここが、目当ての飲食店だった。彼女の父親の、行きつけの店というところ、か。

 「おや、いらっしゃいませ」

 キュッキュとグラスを磨く店主の前に、ものすごく横長で、カウンターが広げられていた。

 10メートルは、伸びていただろうか?

 イスが、5つ6つ、並べられる。そのくらいの広さの店、だった。

 「お久しぶりですね、マスター?」

 「そうですね」

 ルシアの父親に連れられていたツバキも、頭を下げる。

 「良いメロディ、だね」

 「…ギーグの子守歌、ですよ」

 「え?」

 「すべてのメロディを集めなければ、なりません…」

 「…また、むずかしいことを言うんだな」

 「職業病、ですよ」

 「マスターって、ギーグのモリウタコタとか、わけのわからない話をするんだね」

 「…ちがいますよ」

 「え、ちがった?」

 「子守歌ですよ、子守歌」

 「ああ、そうだったね」

 「モリウタコじゃあ、金田一に殺されますよ?」

 「いや。金田一は、殺さないと思う」

 「そうですね…」

 「飲食店も大変だよね、リョウちゃん?」

 「その呼び方は、恥ずかしいですよ…」

 「じゃあ、マスター?」

 「はい」

 「バーボンは、あるの?」

 「バーボンは、ベルモットと一緒に、外出中でございます」

 「え、どういうことなの?」

 「公安警察、ゼロは、見えないのでございます」

 「ふうん。良く、わかんないや」

 「ちなみに…」

 「何、マスター?」

 「アガサは、あの方では、ありません」

 「らしいね。アガサっていう名前の酒があるわけだし、はじめのころ、あの方はアガサだっていううわさが流された。弱いマンガだなあと、思った」

 「…」

 「けれど、 FBIが出てきてから、面白くなってきた」

 「…」

 「マスター?」

 「はい」

 「シェリーは、出せるの?」

 「シェリーは、ばあさんですよ」

 「じゃあ、マスター?アドニスは、あるかい?」

 「…アドニス。それは、ハネダジムの、フェザー・アドニスのことでしょうか?」

 「うわ…。マニアックな話に、なってきたぞ」

 「これですから、飲食店もバーも、やめられないのです」

 「ああ、そうそう。マスター?」

 「はい?」

 「俺、最近、床屋にいっていなくてさ」

 「おや、おや」

 「ちょっとばかり、ロン毛なんだよねえ。我ながら、困るな」

 「切りますか?」

 「え、できるの?」

 「私、理容の免許を、持っていましてね」

 「おお!さすがは、マスターだ」

 「いえ、いえ…」

 「今どきは、飲食店だけじゃなくて、床屋とか理容店も、きついだろうな」

 「でしょうね」

 「理容店…、床屋…。理容店、床屋…。あれ?何だか、良くわからなくなってきちゃったぞ?」

 「…」

 「理髪店に、美容院という言葉も、あるしねえ。ああ、ヘアーサロン、カットサロンとも、いうなあ」

 「…」

 「サロンは、良い響きだ。まるで、ストイックな哲学で、超、意味わかんなーい、なんてね…」

 「ふ…」

 「ところでさ、マスター?」

 「何でしょう?」

 「理容店と美容院のちがいって、あるのかねえ?」

 「…ございますよ?」

 あきずに、読もう!

 知っておいてもらいたい、ためになる話がはじまる。






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