第4話 鑑定士には、かわいらしい女性が見えたと、いうんだが?「巫女?それって、カミヤマミコですか?」「そういう名前は、出さないでください」

 もっと教えてくれよ、鑑定士さん!

 「見えますね。ええ…。気持ちの良い。いえ、まちがいありません」

 「本当ですか?」

 「まかせてください。私は、プロなんですよ?」

 「…そうですよね?」

 「かわいらしい女性が、見えるんですよ」

 「それは、何者なのです?」

 「巫女、ですね」

 「カミヤマミコ、ですか?」

 「そういう、今どきの子たちにわからない名前は、出さないでください」

 「すみません」

 あやまる、ルシアの父親。

 「まあ、良いでしょう。その巫女の力で、呪いを解かなければなりません。その巫女にしか、伝説の盾の行方を隠す呪いは、解けないと思われます」

 「その巫女を、探せば良いのですね?」

 「ええ」

 「わかりました」

 「この世界には、血ぬられた盾という物があります」

 「…はい?」

 「ええ。お探しの盾は、その一種かもしれません」

 「そうでしたか」

 「血ぬられた盾…。256回ほど戦えば、呪いが解けるのでは?」

 「わかりました」

 伝説も鑑定も、楽じゃない。

 「そういう話しあいが、あったのかあ…。やっぱり、変な世界に、迷い込んでしまったようだ」

 困った、ツバキ。

 父親が帰宅し、鑑定士との間で交わされた話を知った彼女は、こんなことをつぶやいたという。

 「うちに眠っているはずの変な盾が、気になる…。あの変な人がきてから、全然、輝かなくなっちゃったんだよなあ。巫女って、その人のことかな?盾、か。盾、盾…。私、見てこよう」

 が、その盾が、家の中のどこをさがしても見つからない。

 彼女も、呪われはじめていたのでは?

 彼女は、父親に、細かく聞いてみた。

 「お父さん?盾のことなら、何でも、教えてくれない?」

 すると、本当に、何でもありの言葉が返ってきた。

 「いつだったかなあ。ふらりと、うちに、きれいな巫女が、やってきてだなあ…」

 扇も手にして、魅力振りまく、踊り子のような美女だったという。

 「店の前に、これが落ちていたのですが」

 その人が言って、金色に縁どられたその丸盾を、親切にも届けてくれたんだとか。

 盾をめぐる巫女な異世界ミステリーが、本格的に、はじまる。

 ここから、ここから。

 夢いっぱい。

 「…あれ、何だ?」

 急に、意識が飛んだぞ?

 いつかのできごとが、よみがえってきてしまっていた。

 どこかの店の中に、あの女性と、2人きり。

 店内には、色とりどりのスマホが、10ちょっとの数のケースの中に、1つ1つ入れられて、飾られる。

 「いらっしゃい」

 「あ…あのう」

 白衣姿の、その店の女性を、思い出す。

 「あのう…、お客様?」

 「ああ、はい」

 「私を、はじめましたから」

 「はい?」

 「恥ずかしいわ…」

 女性の顔が、赤くなっていく。

 「お客様?」

 「はい」

 「さがしていたお仲間たちは、見つかりましたか?」

 「え?なぜ、そのことを?」

 「…」

 「…」

 「お客様?緊張、されてます?」

 その女性に、手を握られたもんだ。

 「あら、かわいい」

 「はい?」

 「お客様は、恥ずかしがらなくて、良いんですよ?」

 「…はあ?」

 「店の入口は、閉めましたから」

 「…何?」

 「今は、私たちだけの世界…」

 「…え?」

 「あん…」

 「やめろ!」

 「お客様?ウソ、なんでしょ?」

 「…はい?」

 「本当は、やめてもらいたくなんか、ないクセに」

 「…う。やわらかい…」

 「やあん」

 「う、あ…星野君の二塁打!」

 異世界って、やっぱり、怖くてエッチだよなあ。






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