第3話 「血塗られた盾」の呪いを解ければ、あの、アラフォーな美女と再会できるっていうことなのか?これで、仲間も探せるんじゃないか?

 「ねえ、教えてくれない?戦士様?」

 「…へ?戦士様?」

 ツバキは、そのとき、野球で使うバットとミットを手にかかえていることに、気が付いた。

 「おい、おい。俺は、いつの間に、こんな物を持ってきていたんだ?」

 もしかして、彼のその姿に、かんちがいが起きたんじゃないのか?彼女、ルシアは、新しい戦士が登場したとでも、思ったとか?

 まいったぞ。

 「この子とも、エッチな関係に発展しなければ、良いんだが…?」

 こら。

 「って、ことはだ…。この世界には、野球というスポーツがないということになる。面白い世界に、迷い込んでしまったもんだ」

 ちょっと、ニヤニヤ。

 「教えてください」

 彼女のそのセリフが、エッチっぽく聞こえていたし。彼女は、真剣そのものだったんだろうが。

 「助けてください、ツバキさん!」

 「はあ…はあ」

 「この町に残る、防具ならではの謎を、解いてほしいんです!」

 「はあ…はあ」

 「教えてください!」

 「はあ…はあ」

 「この町のどこかに、伝説の防具が、眠っているらしいんです。それを見つけると、新しい世界が開かれるらしんです!」

 気になることを、言ってくる。

 「私の店には、ね?」

 「はい」

 「不思議な盾が、あるっていうのね?」

 「はい」

 「その盾が、うわさの伝説でいう盾のことなんじゃないかって、店の人たち皆で、悩んでいるところなんだけれどね?」

 「そうですか」

 「でも、どこにいっちゃったのかなあ?最近は、ちっとも見ていないんです」

 「へえ」

 要するに、それを探すのを手伝ってほしいと、いうことなのか?

 このお手伝いで、散らばってしまった仲間たちも見つけられれば、ラッキーだ。

 「本当に、変な国にきてしまったんだなあ…」

 が、こういう変わった国だからこそ、期待がもててくるというもの。

 ますます、離れ離れになってしまった仲間たちが見つかるような予感がしてきた。

 「わかりました。その盾が、伝説にいわれる盾のことなのか、調べてみましょう」

 やるしか、ないんだ。

 手伝うことを条件に、彼女の店に泊めてもらえることにもなった。

 「不気味な盾」

 「不思議な魔力」

 「近付くだけで、オーラを感じる」

 「威圧感を、感じる」

 「金色に縁どられた、丸盾」

 いくつかの特徴が、聞けた。

 「探す、か…。散らばった仲間たちを探すはずが、まさか、こんなことになってしまうなんてな。学習塾よりも難しい課題かも、しれん」

 「あの…、ツバキさん?何か?」

 「いえ」

 「?」

 「あの」

 「はい」

 「この町は、防具の町でしたよね?」

 「ええ」

 「あるのかわからない謎の盾を求めて、防具好きな城から、店に、何人もの冒険者たちが訪れたりしなかったんですか?」

 「きましたよ?」

 「それでも、盾は、見つからなかったのかい?」

 「うーん…。見つかったのは、見つかったんだけれど…」

 「だけれど?」

 城の者、店の者、だれかが近付くたびに、店にしまわれていたその盾は、オーラをなくしてしまうんだという。

 そうして、近くに人がいなくなれば、オーラをとり戻す。

 その、くり返し。

 ある鑑定士は、こう言ったという。

 「これは、血ぬられた盾なのか…?」

 そうしたら、なぜか、巫女についての話がはじまったとか。

 「スマホの中にいくつもの戦士たちを閉じ込め、魔性の扇をにぎる、アラフォーな美女の姿が、見えます。緑色の衣装が、素敵ですね」

 「?」

 「エッチな予感が、しますね」

 「アラフォーな美女?」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る