第2話 ルシアという少女との出会いも、また、良い感じになるのか?今まで以上に、身体がキーワードになっている世界にきてしまったらしい。

 「どうすれば、良いんだよ!」

 あのエッチな女性と、再会してしまったじゃないか!

 送りバントをしたほうが、良いのか?

 いや、いや…!

 ここは、打ったほうが良いんじゃないか?

 どうしたら良い?

 「身体…、身体。あ!」

 今度は、一体、どういう世界に迷いこんだ?

 ツバキの身体のあちこちが、震える。

 「身体、身体が!そうか…。今度の世界は、今まで以上に、身体がキーワードになっているんじゃないのか?」

 1人、荒野を歩く、ツバキ。

 町が、見えてきた。

 町は、魔物たちから守るためなのか、木の柵で、囲まれていた。結界も、張られていたかもしれない。

 その町のゲート(入り口)に、横長にかかげられる垂れ幕が、悩ましい。

 「マーティアルの町へ、ようこそ!守ること好きな人なら、必ずこよう!」

 はて。

 どういう意味?

 「守る」とは、監督のサインを守って、送りバントをしろという意味、なのか?

 ゲートをくぐり、町の入り口にたたずむ、ツバキ。

 「ようこそ!」

 そうして、急に、1人の少女に手をとられた。

 「何だ、何だ?積極的な子が、いるもんだなあ。守るだけじゃなく、やっぱり、積極的になることも大切っていうことなのか?」

 武器庫のような場所に、連れていかれた。

 その少女は、高校生か、高校卒業の年くらいに見えた。キュッと後ろでたばねられた髪が、力強そう。

 逆ナンパ?

 「最近の俺って、知らない女性から、もてすぎだ」

 いろいろな意味で、困ってしまう。

 「散らばっていった仲間を、見つける」

 その目標が、また、エッチになりそうな予感。

 ツバキの手を引いた彼女の名前は、ルシアというらしかった。

 「ふうん。どことなく、俺の妄想に出てくるあのエロい女性に、似ている気がしてきたぞ」

 ルシア一家は、ここマーティアルの町で、飲食店と防具屋が合体したような店を営んでいるという。

 彼女が、モジモジ、しはじめた。

 「だって…。この町は、防具命、だし…」

 「防具命、だって?」

 「はい」

 「この店って、何?防具屋?道場?」

 「その、どちらでもあります」

 「ふうん」

 「あなたは、旅の方ですよね?」

 「ええ、まあ」

 「旅の方なら、物知りなはずです」

 「…そりゃ、どうも」

 「コロンバインと、うちの店の謎を解いてほしいんです」

 「?」

 「コロンバインは、あの方が気がかりなんですけれど?」

 「…はい?」

 何を、言いたいんだ?

 ともかく、いくところのなかったツバキには、断る理由など何もない。

 彼女の店に、上がり込んだ。

 「立派な防具が、そろえられているなあ。この町って、本当に、防具に力を入れているんですね」

 聞くと、彼女がほほ笑む。

 この国は、「守りの強さ」を求めているところなんだという。異国からも、簡単には攻められないように、国の護衛戦士たちが、活躍中なんだとか。

 「もしかしたら、町全体に、結界も張ってあるんじゃないか?」

 ツバキの感じていた思いも、まちがってはいなかったかもしれない。

 彼女の家族が経営する店は、先ほど教えてもらったとおりに、城おかかえの護衛戦士を育てる道場でもあった。

 アルバイン城を中心とした、この、マーティアルの町では、護衛や防具が、もっとも価値の高いものとされていたようだ。

 戦士の育成が期待されるのも、納得か。

 「でね…。旅の方?…えっと」

 「ツバキです」

 「でね、ツバキさん?」

 「切り替え、早いなあ」

 「私、わからないことが、あるのよね」

 「わからないこと?」

 こんな、しっかり者っていう感じの少女にわからないことって、何なんだ?

 どきどき。





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