第36話 村長との和解
あやめから戦闘用の呪術を習いだしてから2ヶ月後、成果は余り上がっていなかった。
と言うのも、練習で倒すべきモンスターが居ないのだ。
技術を磨いても、それが成長しているかどうか分からないというのは結構辛い。
結局、転送先の魔術の師匠の所で試すことになった。
此方は魔物や魔獣が溢れかえっているからね。
その結果、あやめの所でで修行した後で自主練習をして自信が付いたら魔術の師匠の所の町の近くで魔獣や魔物を探して実験するというパターンが出来上がった。
呪術には決まった術というのが存在しない。呪術の元をこねたり引っ張り出したり回転させたりして火や水や土や風、変わった物で言えば雷や光や闇と言った物を生成する。
従って術も名前が無く、教えても人によって違うから師匠に教わった名で覚えるしか無い。
その点、あやめは名前を滅多に付けないので説明に困ることになる。
例えば易しい方で行くと……
「この呪術の元をこの間の授業でやった炎を発現させたように3回ひねって輪の形を取らせて潜らせると結び目になるわ。そこから結び目に吸収するようにしながらひねったまま風の授業でやった竜巻を作る工程をすると炎を纏った竜巻が出来るわ」
……と非常に分かり難い。
ちなみに風の工程で竜巻を作る工程は何種類かある。
暗号を解読するような根気と質問で何とかついて行けてるが、もっと複雑になればついて行けるか心配だ。
一応、教わった事を実戦する為に転送で魔物の多い魔術の師匠の町近くに来て大物を探す。
探して遠くの方に来たらグりフォンがいたので火災旋風の呪術を使ってみる。
グリフォンは炭になったが森も燃えたので急いで雨を降らして火を消した。
一応、グリフォンの魔石は取っておいた。というか、魔石しか残っていなかった。
◇
それから1年が経ち、村長の鬱憤がまた我慢の限界に達した。
かと言って
そこで目を付けたのが現神人様と呼ばれ、恭まれている太郎を狙った。
まだ、子供なので大した脅威では無いだろうと思われたからだ。
ただ、村長の取り巻きは10人から5人に減っていた。
太郎を探して村中を駆け回り、結局神社の前で太郎を見つけた。
「やいやいやいやい! 太郎、お前変な術使って村の皆を操っているだろう!」
「変な術とは何だ?」
「お前の義母が使っている人を惑わすような術だよ!」
「呪術にそんな事は出来ないぞ」
「いいや、そんな事はねぇ、そうじゃなきゃこんな宗教にはまる村人がいるわけ無いんだ。全ての元凶はお前だな!」
「それは無理があると思うぞ」
「うるせい! 言葉はもう不要だ。とっちめてやる!」
そう言って行き成り殴りかかった。
だが太郎にひょいっと避けられてしまった。
「問答無用って事は此方も手を出すぞ」
そう言って近くにいる男の服ごと遠くに放り投げた。
相手は低空飛行だったが、ずいぶん遠くまで投げられた。
それに怯む村長達。
「ぜ、全員で掛かればなんて事はねぇ! 全員で掛かるんだ」
村長がそう言うと村長派の人間は全員で太郎に襲いかかってきたが逆に殴り飛ばされ。天高く空を飛ばされ、散々な目に遭った。
結局、返り討ちに遭い這々の体で逃げ帰った。
その背後に向かって太郎は大声を出して言った。
「次は一般の教徒か家族を狙うなら俺はお前ら含めて一族全員根切りにするぞ!」
それを遠くで聞いた村長派の面々は2度と関わらないと決めた。
その日の夜、
幸い村長は骨折しなかったので説教だけされた。
これで又、村長の人望が下がった。
◇
村長との騒動から2年が経った頃、村長の家で異変が起こっていた。
村長の孫が熱を出したので当初は風かと思い服を何枚も着せ得て暖かくして眠らしたのだが、良くなる所か咳が変な咳の仕方をし始めた。
熱も高温で駄目かも知れないという雰囲気が蔓延しだした。
村長は
1時間程も懇願したであろうか?
太郎が話を聞いてこの場に来て
風邪が悪化して肺炎になっているとの結論だった。
「これで2~3日中に痰は良く出ますが様態は改善するでしょう。後は暖かくして栄養のあるものを食べさせて下さい。行き成り固形物は危険なので最初は重湯から食べさせて下さい」
そうして村長の家から神社に帰っていった。
翌日になると、言われた通り痰は良く出るが熱等は下がり出したので重湯を飲まして栄養補給した。
翌々日になると立って歩けるようになるまで回復した。
そうして幾日か経つと病気は治ったようである。
村長は孫の病気が治ったのを見て桃教の神社に行き、桃教に家族揃って入信したい旨を伝えるのだった。
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次回は時はドラゴンを襲いに行くよ!
次回、ドラゴンです。
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拙い出来ですが旧作も読んで頂ければ幸いです。
能力者が現れたと思ったらダンジョンも出てきました。これは・・・・・・商機ですね!
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