第35話 村長

 神社が完成した。それと同時に神社が建っている原野と浅くて広い湿原に連なる山を神域として改めて周知させた。

 山の民と揉めるかなと思ったが、山の民の里からもずいぶん遠くに離れているし、大丈夫だろう。

 敷地面積としては数えてないから分からないが山を入れると莫大な面積になると思う。


 神社が完成したのに伴って、下働きの者達の制服を神職の服と巫女の服を見習いから順に制服のように作成した。

 神職や巫女の色は帝国や王国、共和国などに広く分布している色々な神社何だが服装は同じなのでそれを丸パクリした。

 ただし、あくまで下働きの者達である。

 完成した神社には火を使わないように電気で光る光源を使用している。

 引き戸も戸車と宇宙船にも使用されている超強化ガラスが使用されている。

 境内には玉砂利が敷かれ冷たい湧き水を掘ってある。

 口をゆすぐ柄杓があり、竹の横棒に置けるようになっている。

 雨樋には銅が使われている。本尊は俺で脇に育成カプセルが並んでいる。

 中には第1風呂、第3風呂がここに設置し治されており、コンポストトイレも多数設置されている。

 本殿の奥に奥院として俺達が暮らす家が山彦の家とは別に建てている。

 屋根は神社全体で輸送船トランスで作った軽量強化瓦を接着剤接着した。

 これは風速500mでも飛ばないように出来ている。

 剥がす時は専用の液体がいるが……。


 

 こういった神社……いや、桃教を苦々しく思っているのが最近代替わりした村長だ。

 最初は気のせいかなと思ったが、桃教の者に当たる様子を見ていると予想は外れてはいないだろう。

 だが、当たっても村の半分以上が桃教になってる現状では村長に分が悪い。

 現状は悔しくても静観しているしか無いのだ。

 だが、我慢の限界という物がある。

 ある日、とうとう我慢の限界に来た村長はあの大桃を潰せば信者が減るし村長の株も上がるに違いが無いと、村長派を連れて神桃命しんとうのみことの元に行き喧嘩を仕掛けた。

 神桃命しんとうのみことは何人もの供を連れておりました。


「やいやいやいやい! やっと見つけたぞ、この化け桃! てめえらが村人に何かしてるのは分かってるんだ。村人を元に戻しやがれ!」

「そう言われても私どもは何もしておりませんが? 何か証拠でもあるのですか?」

「てめえの存在が証拠だろうが! もう勘弁ならねぇ、皆、ぶっ潰してしまえ!」

「人の話も聞かずに暴力に訴えるのですか。それが村長のすることですか!」

「うるせぇ! てめぇがぶっ潰れれば全てが上手くいくんだよ!」

「話になりませんね。かと言ってここで甘い仕置きをすれば村の桃教の人達がどんな目に遭わされるか……しかたない。貴方達は手出しは無用です。……襲ってきた貴方達は1ヶ月間寝ておきなさい」


 神桃命しんとうのみことはそう言うと襲ってきている村長派の人全てに電気ショックを与えて1ヶ月間寝込ませました。

 破れた村長は訳も分からずに味方が次々と倒れ込んでいくのを見て恐怖しました。

 そして、こんな化け物に手を出さなけりゃ良かったと思いながら電気ショックを受けたのです。

 襲ってきた村長派の人々は桃教の人から聞いたので慌てて皆で回収に行きました。


 襲った村長派の家族は大変でした。寝床から襲った本人が起き上がれない為に糞尿の処理をしなければならないし1番ないし2番目の働き手を失ったから田畑の世話も大変でした。

 そんな時に田畑の手助けをしてくれたのが桃教の人達でした。

 その事を床の上で聞かされた襲った者達は深く後悔しました。

 その後、村長からは何の手助けも見舞いも無く桃教からは襲ったのにもかかわらず手助けをされて桃教に入信する人が増えました。



 育成カプセルから村長達が襲ってきたと聞いて馬鹿じゃ無いのかと思った。

 育成カプセルを排除してももうこんなに根を下ろしている桃教の排除など桃教を根切りしない限り無理だろう。

 それを育成カプセルを排除すれば全てが上手くいくなんて事が起こるはずが無い。

 大体からして桃教は作ろうと思って作ったものではなくて育成カプセルの所為と成り行きに任せたらこうなっていたのだ。

 それを育成カプセルだけ排除しても無駄だよ。


 たぶん、そう言っても聞かないんだろうなぁ。育成カプセルから聞いた状態じゃ。

 よし、放っておこう。

 それで一般の桃教に襲ってきたら倍返しで襲い返そう。

 そうしよう! 決定!


 そう言えばあやめに習ってる呪術なんだけど、生活に便利な術が多くて戦闘とかはからっきしなんだけどこれってあやめが知らないだけなのかな?

 そうなら他に戦闘の呪術を知ってる人を探さないといけないんだけど、どうしよう。

 悩んでいるよりもあやめに聞いてみるか。


「義母、呪術のことで質問があります。呪術は生活が便利な術が多いけれども戦いに向く術が無いように思いますが呪術には戦いに向く術は無いのですか?」

「太郎、いつかは聞かれると思っていましたが、今日でしたか。呪術にも戦いに向く術は勿論あります。ただ、義母がそういう術を太郎に教えたくなかっただけです。太郎が如何してもと言うなら教えますが如何します?」

「知らないで負けて何もかも失うよりも知って守れる方が良いので知りたいです」

「分かりました。今日これからは戦闘の呪術も教えましょう」

「よろしくお願い致します」


 聞いた所、俺に教えたくなかっただけのようだ。少しの安心と、何故そんなに教えたくなかったのかの不安が残った。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

次回は話は村長との和解の話だよ。

次回、村長との和解です。

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