第34話 第三次裁判 -楓視点-
第二次裁判の判決後に軍が謝罪に訪れた。
なんでも、情報機関の大佐が軍からの命令の謝罪やその他を堰き止めていたらしい。それで謝罪したはずなのに謝罪も未だとなってるのはおかしいと調査が入って発覚したのだそうだ。
改めて謝罪をされたが、今更遅いというのが楓達の考えだった。
軍の構造がタローを殺す前と全く変わっていない事が証明されたわけだから。
その事を謝罪に訪れた軍の高官に言い、軍の風土が変わっていない為に謝罪は受け取れないと言った。
ちなみに大佐は軍法会議で死刑となった。
第三次裁判が開かれるかどうかの決断の日がやってきた。
意見陳述などが無かった為、上告は却下されるだろうという見方が大勢を占めるがどうなるかはやってみなくては分からない。
そして、最後の裁判である第三次裁判が開始されるかどうかが今日判明する。
午後三時に発表されるそうだが、それまで落ち着かない。
紅茶を入れては飲み干して、室内をウロウロとうろつく楓に紅葉は言った。
「そんなに焦ってもどうしようも無いわよ。もっとど~んと構えてなさいな」
「そうはいっても後数時間で裁判の結果が分かるから落ち着かないんだよ。紅葉は何でそんなに落ち着いてるの?」
「それは裁判の結果がどうであれ、結果がでてからが本番になるって事を知ってるから今からどうするか考えているのよ」
「ああ! そうだった。ニュースの裁判の特集でこっちも浮き足立ってた。そうだよね、これからが本番なんだ」
「そうですよ。忘れないで下さい」
「忘れてたわけじゃ無いけど、モヤモヤした感情に動かされすぎてたわね」
「そう言えば、そろそろ時間ですよ」
そう言って紅葉は投影モニターにニュースを流した。
暫く、裁判所の前で判断を待つ人達がいたが、裁判所から走ってきた人が上告棄却! 上告棄却! と大声で話したのでレポーターなどが”第三次裁判所の判断は上告の棄却だったようです。ただ、支払い方法は両者協議する物とするという文言が付いているそうです”等流していた。
「良かった~。上告棄却だ!」
「何よ。紅葉だって人の事言えないじゃ無い」
「そりゃオーナーの事なんだから割り切れないわよ」
「そうよね」
「それよりこれから忙しくなるわよ!」
「そうね! 忙しくなるわね」
「まずはタイタン社と軍の資産調査・管理命令を裁判所に出して貰わないと」
「それは先程もう既に出したわよ」
「後はタイタン社と軍に面談かけてどう返済していくのかの話し合いね」
「タイタン社は潰れるだろうけどね」
「それは仕方ない、潰れる前や後にどれだけ搾り取れるのかが勝負の分かれ目だね」
「そうだね。その為にも裁判所には早く資産調査・管理命令を出して貰わないと!」
「弁護士団の先生達に支払う報酬の総額、法律で決められた最高額になりそうだね」
「それはしかたない。必要経費と思っておこう。それに払うのは私達じゃ無いしね。破産して払えない場合は此方が支払わなくてはいけないけどね」
「総括契約にしておいて良かったね。裁判が終わった後始末もしてくれるし、それで値段が法律で決められた最高額だからね」
「まったくだね」
「さて、処置能力1000倍のアンドロイドの大量生産をしますか。弁護士や回収屋の経験や記録をインストールして、後で別の職業をインストールできる様に記憶容量は多めに取っておいてね」
「了解。手とかは万能工具の収納されている手で良いよね」
「良いと思うよ」
「処置能力1000倍のチップのアンドロイドは発信器を付けるとしてチップは固定する?」
「固定だね。じゃないと抜き取られて解析されてしまうかも知れない。固定だと抜き取れないか抜き取っても壊れてしまうかだからね。いっその事自爆装置でも付けようか?チップを取り外そうとしたらチップが跡形もなくなる程度の威力の弱いやつ」
「それが良いかもしれないね。1000体作る?」
「作ろうか」
「「それじゃ、まずは1000体生産といきますか」」
◇
そうこうしている間に判決が確定して裁判所の資産調査・管理命令が発行された。
これでタイタン社と軍の資産を完全に調査できる。
タイタン社に私――楓が来て土地とかコロニーとか現金とかを調べて抵当や借金の方にさらていないかを調べる。
勿論、されていればそれは払い終わって次の時に借金をしやすい様に残しているのでは無いか?と言った事を調べる。
調べた結果、抵当権のある土地建物の大部分が払い終わっている事が確認できた。
残り土地の方が抵当権よりも何倍も高い上に殆ど抵当権を支払い終えている状態で残金が少し残っているだけだった。
人材も資産の内として人事評価も見せて貰ったが、此方が事前に調べていた物と大部分は合致していたがコネや天下りの一部は高い給料を取って何の貢献にもなってない所か酷い場合だとマイナスになっていた者がタイタン社の人事評価で高評価を受けていた。
椅子や棚に机等の資産価値は殆ど無いが必要な物を抵当に入れる候補にしておく。
結局、監査が入ってから大部分の資産は正常化していたようだ。
その後にタイタン社のお偉方の歴々と話し合って返済をどうするのか聞くと。とても返済できません。許して下さい。と言った泣き言ばかりであった。
結局、タイタン社の殆どの資産を差し押さえる事になった。
新会社を作り、資産をそちらに移した。
これでタイタン社とは別会社で何の関係も無くなった。
人材は最初は契約社員で折を見て正社員にするという条件で要らない社員以外は雇った。
―――――――――――――――――――――――――――――
次回は話は太郎の視点の話だよ。
村長が世代交代して太郎達と仲が悪くなったみたいだよ。
次回、村長です。
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