第33話 義妹

 ゴブリンの襲撃があり、自立型万能工兵機械とそのロボットと育成カプセルが活躍した事によって桃教の信者が増えた。

 この村の半分以上は信者になっている。

 ゴブリンの襲撃から1年が過ぎて神社を建てようかという話になった。

 実はその一年前から神社に使う畳は作られて行っている最中だった。

 畳の藁の心材用に近辺やその他遠くからその年の藁を買いあさったのだ。それを輸送船トランスで保存して防火・防水・防虫に腐りにくい液体に一旦浸した後で乾燥している。

 それを甚兵衛じんべえ達の所に必要量を転送していたのだ。

 出来た畳は輸送船トランスの中で適切な乾燥と防虫・防火・防水液を吹きかけられて、い草の香りが飛ばないように適切な管理で保存されている。

 

 木材は湖から引き上げて防虫効果の液体を塗り1年間乾燥させた後で防虫・防火・防水液に3ヶ月間浸した後で3ヶ月間各地にて野ざらしで乾燥させその後に回収し、回収した木材は輸送船トランスで甚兵衛じんべえの設計図の元で各部材に加工されていっているのだ。

 甚兵衛じんべえを監督と設計士にした神社を組み立てるのは自立型万能工兵機械とそのロボット達である。

 勿論、希望者にも手伝って貰う。

 そうして作業が進んでいくのである。



「兄さま!」

 桃子が走って抱きついてくる。

「こらこら、走るのは危ないと言うてるだろう」

「だって、兄さまがいたから」

「それでも余り人に心配をかけさすものじゃないよ」

「は~い」

「それで何の用だい?」

「? 兄さまがそこにいたから声をかけただけよ?」

「そうか。でもなるべく次からは何か用がある時に声をかけような。何かあったかと思ってしまうから」

「は~い」

「それで次郎と小桃は?」

「あの2人なら家で昼寝をしてるわ」

「そうか。桃子はお姉さんなんだから2人に優しくな」

「いつも優しくしてるもん!」

「そうか。それは悪かったな」

「兄さまだから許したげる」

「ありがとうな。それじゃ神桃命しんとうのみことが呼んでいるからもう行くぞ」

「お仕事頑張って~! 兄さま」

「ああ」



 育成カプセルから話しかけられた。


「かわいいものですね。あの時分の子供というのは」

「ああ、そうだな。だが、反抗期に入るとくびり殺したくなるくらい憎たらしくなる」

「? 今はかわいいのですよね?」

「ああ。今の所はな」

「では何故反抗期になるとくびり殺したくなるのですか?」

「実の妹がいるんだが、こいつは小さな頃は後を付いてきてかわいかったんだが……反抗期になると俺の触った物はばい菌扱いするし、後ろを通る時に舌打ちや邪魔じゃ、ボケ。死ねば良いのにとか言うようになってな。それが何年も続くとかわいい所かくびり殺したくなる程憎くなる。洗濯物も俺のだけ取り入れなかったり、夕食の材料を俺に買いに行かせて俺の夕食を作らないどころかほしかったのかとか言う始末だからな。正直病むよ」

「それは酷い。では桃子もそうなると?」

「分からないが可能性はあると思っている」

「そうですか…………人間ってそうコロリと変わるんですね」

「きっかけが何であれ大事になるからな」

「そうですね」

「まぁ、人殺しになるのが怖かったから喧嘩はしたが殺さなかったけどな」

「そうなんですね」

「まぁ、それで兄妹に偏見を持っているのかもしれん」

「まぁ、人それぞれと言うし、そうならない事を願っていますよ」

「それは俺も願っているよ」


 そう言って俺は魔法を習いに輸送船トランスの転送で魔法の師匠の所に跳んだ。

 


 魔法の授業では最近は実技が中心となってやっている。

 偶に実戦もする。

 この辺りは魔物が多いのか多種多様な魔物がいる。

 スライムにゴブリン、オーガ、サイクロプスにワーム、ドラゴンも跳んでいるのを見た事がある。

 大事を取って戦って良いのはオーガまでとされている。

 スライムは炎の魔法を覚えてなかったら積んでいた所だが。

 スライムやゴブリンは魔石があり、それを取りだして売るのが冒険者の仕事だそうだ。

 そういえば、小鬼ゴブリン燃やした時に小さな石があったが村長がかき集めていた事ぐらいしか覚えてないわ。

 あれ、討伐の上がりをせしめてたって事か!

 まぁ、槇代を出して貰ったし、村長には灰も骨を砕いたのも無かったから釣り合いは取れているのかな?

 今回は格上のサイクロプスとの戦いだ。魔法だけを使って勝てと言われている。

 サイクロプスを見つけた。

 今回はサイクロプスは皮が良い防具になるのでブリザードの魔法で仕留める!

 ブリザードの魔法を使い、サイクロプスを凍らせる。

 だが、半分凍った所でサイクロプスは渾身の力を入れて氷を振り払う。

 さらにブリザードで凍らせようとするがサイクロプスは動き回って氷を落とす。

 仕方なく、アイスニードルで目を狙い脳天まで貫く。

 何とか討伐は出来たものので得きればブリザードだけで仕留めたかった。

 俺は加入できないが師匠は冒険者ギルドに加盟している。

 そこでこのサイクロプスをグラビティの魔法で軽くして町まで持って行く。門を通れないので町の門前で下ろして師匠に冒険者ギルドから人を連れてきて貰う。

 そこで師匠とギルドの人が交渉して金額がこの国の金貨30枚になった。

 師匠は俺に金貨20枚になったぞと言ってくるが、ギルドの人30枚って言っていましたよね。

 そう言うと焦りだしてそうだったかな~、そんな気がしなくも無いなぁとか言い出して結局金貨30枚を手に入れた。

 師匠は授業の一環なので無しだと可哀想なので金貨3枚だけ上げる事にした。

 ただし、今度から金額を誤魔化さないように魔法の誓いゲッシュで誓わせた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

次回は話は楓ちゃん視点の話だよ

次回、第三次裁判 -楓視点-です。 

 

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