第29話 半年の間に

 太郎がカプセルから出たので太郎を風邪引かさないように布団が3組太郎自身より山彦とあやめに一組ずつの合計3組が布団カバーや枕入りで渡された。

 山彦や楓は最初は何に使う物か分からなかったが、太郎が説明して布団を敷いて寝てみると背中が痛くなく、快適だったとの事。

 なお、夏だったから上布団は衣服のみである。

 これで山彦とあやめの忠誠は高まった。

 後、輸送船トランスで作られたトイレットペーパーの使い方を説明して渡したら忠誠がますます高くなった。


 あやめから呪術の基礎の基礎を教えて貰う。最初は呼吸法からだ。

 教えて貰えば腹式呼吸で息をしなさいと言う物だった。

 これを無意識に出来るようになるまで次には進めないとの事だった。

 無意識でと言うのがくせ者で、中々無意識で腹式呼吸出来るようにはならない。

 出来るようになれたのは半年後だった。


 その半年の間に色々な事があった。

 温泉施設が出来て、地下発電と温泉を楽しめるようになった。

 1番風呂は家に一番近く、家族専用で俺と山彦とあやめと育成カプセルが何故か入れる事になった。

 2番目の風呂は少し遠く離れているのと沸き直しが出来るので桃教の管理の下に村の皆に適切な銭か同額の物々交換で入れるようにした。

 3番目は家に近く、湯もそれほど温くならなく丁度良いので桃教の信者の方が無料で入れるようにした。

 基本的に2番目以外は混浴だ。

 と言うのも、村の皆に開放した2番目でまぐわいをされては困るのと、1番目は家族だからで3番目は桃教で3番目温泉風呂でのまぐわいは禁止にさせて貰っているからだ。


 地下発電はうちと1番目と3番目の湯屋の2階だけで使用している。他人の土地を通って電線を引っ張ったり土の中に埋めたりするのも何だし、電気料金を払うとも思えないからだ。

 だったら、苦労して配線しなくても自分達が使う範囲で配線して使おうという事である。


 また、この時分に村長から山彦達の山から繋がっている山を3つと水の届かない原野と浅くて広い湿原を小粒金を幾つか払い大規模に俺名義で購入したと同時に他の地の開拓の許可も貰った。開墾した土地は開墾した者の土地だ。

 その時に村長にそれらに関する事柄を全て文章で許可は貰った。

 原野と浅くて広い湿原に連なる山は購入した山の1つだ。結構大きな山なのでこの山を神域にして木材の調達先にしようと思う。

 

 原野の方は神社を建てる時に使うとして、浅い湿原の方は自立型万能工兵機械をロボット達に土壌改良も含めて開拓させるよう命令した。

 秋になり、育成カプセルが猪や鹿や兎に時々熊を狩っては塩漬けにしている。

 食べ切れそうにない分は桃教の信者に均等に分けている。

 ジャガイモも収穫し、豊作だった。

 輸送船トランスに返す分も含めて豊作だったので、来年の作付けに使う以外にも食べる事が出来そうだ。

 この頃になると、あやめの妊娠も分かって山彦が大層喜んだ。

 そして上布団の偉大さを思い知らせた。

 

 そうして俺が無意識で腹式呼吸を出来るようになった半年後の12月も終わり頃になるとあやめは呪術の次の段階として、冥想を教えてくれた。

 心の中で自分の呪術の元が何処にあるのか探りなさいって事だそうだ。

 ちゃんと冥想出来たら呪術の場所が分かり、そこから呪術の元を動かす事が出来るので冥想出来ているかいないかはすぐに分かるそうだ。

 そこで教わった通りに冥想を続けていくと、次第にここかなと思うような箇所が出てきた。

 俺の場合は頭だ。だが、そうも体だけに呪術の元があるのではなく、アストラル体にも呪術の元があり繋がっているように感じられた。

 というか、アストラル体強化されてない? これ。

 育成カプセルで調べてみたらアストラル体が強化されていた。

 不思議な事がある者だと思いながら、不思議の源のこの星特製のナノマシンを増量して打つ。

 どうも耐性が付いたのか効き目が悪くなってきたので増量したのだ。

 

 俺も身体が2歳になり、普通に歩けるのと喋れるようになった。……たぶん。

 文字や数字などはインストールされているので分かっている。

 だが、それを綺麗に書けるかというと別の話になるのだ。

 と言うわけで輸送船トランスで作られたこの地域にあるような白い和紙とオーバーテクノロジーだが墨汁と筆を転送して貰って練習している。

 計算は10進数だったので問題は無い。

 問題は文字を綺麗に書けない事だ。

 教育ソフトで文字を綺麗に書こうとその通りになぞるが、手が小さいのか文字がはみ出してしまう。

 筆も持ちにくい。

 この文字の練習は年単位で掛かるな!


 クローンして月相応に大きくした白い蜘蛛だが、無事順調に糸を吐いてくれている。

 育成カプセルや輸送船トランスに任せたオーバーテクノロジーの棒の作成機と機械式紡績機でスパイダーシルクは綺麗な生糸や布になっている。

 葉も冬だから桑は無いがその他の葉を食べている。

 輸送船トランスが開発した人工飼料でも問題なく食べて元気になっている。

 というか、桑よりも食いでが良く1週間はこれを1回与えるだけですむ。

 産卵用の桑の葉は輸送船トランスがそれなりの量を冷凍保存している。

 間に合わなかったら勢いよく育つ前の桑の葉を取るしか無い。

 だが、この星の桑の木は3月頃から葉を付けだして11月下旬頃まで葉の育成は止まらないので大丈夫だろう。

 ……多分。


―――――――――――――――――――――――――――――

次回は話は時間が戻り楓ちゃん視点の話だよ

次回、第二次裁判 -楓視点-です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る