第30話 第二次裁判 -楓視点-
時間は戻り、一次裁判の判決後に襲撃されてから楓は新しい自分のコピーと言うべき存在を作ろうとしていた。
言語パック等はバイオロイドやアンドロイドを作る時の基本パックとして常識と共にインストールされる。
その時に力の制御のパックもインストールされるが、万馬力を超えれば別の力の制御をインストールしなければならない。
さもないと力がコントロールできないからだ。
これを入れ忘れていた事に気がついた楓は現時点で最高級品を新しく作られている子にインストールした。
まだ、インストールする物が残っている時に気がついて良かった!
楓はつくづくそう思った。
もう1人の自分にインストールした物で自分が持っていない物は同じ物を自分もインストールする。
そう言えばと人事面接の技術の習得と経験を楓ともう1人の自分にインストールした。
もうじき、アンドロイド・バイオロイド工場が移転してくるので面接の為である。
この部門を購入した会社から人事評価は貰っているが、自分の目で見ないと分からない事があると思ったからである。
◇
引っ越ししていた工場と寮が届いたので支持した場所にユニットをはめ込んで貰う。
早速、人事面接を行った。
幸いにして即首というのはいなかったが、このままなら辞めて貰うかも知れないと通告を出したのは幾人かいた。
とりあえず契約社員での採用と皆がなった。
工場の機械を一部変更してロストチップを現代風に改良したチップが載るようなソケットを追加出来るようにした。
そして広告をじゃんじゃん流した。
その結果、アンドロイドのチップ性能が1.5倍で値段は1.2倍の売値で売った。チップの性能が2倍で値段が1.8倍のアンドロイド等もよく売れた。
メーカー直販で売っているので一括現金取引が基本なのによく売れた。
初期ロットは通常だと性能が同じとしても1.2~1.5倍程高くなるのが性能が上がって最初から安いので売れたのだと思う。
しかし、その代わりに値引き等は一切しなかったので5倍の性能のはそこそこ止まりだった。
◇
そんな中で第二次裁判が開かれた。
タイタン社は社の意思では無く、前会長と前社長が共謀して会社意思印を乱用したのであって、会社の意思では無いと言う主張を繰り広げた。
だが、そもそも会社意思印を乱用できる時点でおかしいし、会社の意思と示す文章が電子文書があるのでその意見は却下されたどころかタイタン社の風土が著しく悪いという証拠になってしまった。
むしろ、ベビー世代を継承できたとは言え1回殺している上に海賊との癒着が激しく、またロストシップを隠し持っていたのは会社の意思としか見られないと慰謝料等の賠償金がタローの総資産の6倍に増える始末だった。その上、裁判の総額の費用も向こう持ちになった。
軍や国に対しては前回の裁判の判決直後に暗殺を企てた又はそれを阻止できなかった構造に問題がある。
また、今の段階でも謝罪も無しとは組織としてどうなのかとして厳しく批判されてタローの総資産の5倍にこれまた膨れ上がった。
タロー・コバヤシの継承回数の回復並びに慰謝料としての継承回数の増加も義務づけられた。
その上、毎週の監査も付いた。此方も裁判の総額の費用は向こう持ちになった。
タイタン社と軍は最後の第三次裁判に上告した。
第二次裁判は2年半かかった。
そんな裁判の最中にオーナーから連絡があった。
ガチガチのプロテクトで固められた通信だったが、久しぶりに見たオーナーは最後に見た時よりも成長していてかわいかった。
でも、そんな事よりも緊張の糸が切れて泣いてしまった。
話も自分の事ばかりでばーっと言ってしまった。
ただ、その中で私のクローン? の事を忘れてなかったのは偉いと思う。
誰か褒めて!
ちゃんと名前も貰ってきたし、これでいつ目覚めさせても大丈夫ね!
でも、これで元気出てきたし、絶対に迎えに行くって言ったからには絶対に迎えに行くぞ!
◇
タローから連絡があった後、裁判の最中だったがもう1人の私を起こす事にした。
指を入れる所に入れたら私が主人になってしまうので、その下の血を置く小皿にオーナーのクローンで培養した血液を置く。
培養品と言っても本物と変わらない。
暫く認証の手続きに入ったのか赤く光る。
それが青い光に変わった時に培養液が下に収納されて無くなったらカプセルの扉が開いて私と同じ顔をしたでも瞳は黒の私に対して茶色になっている彼女が目を覚まして言った。
「LT-KS02と申します。マスターは何処でしょうか?」
「私はLT-KS01……楓と言います。オーナー……マスターは命を狙われている為に身を隠しておいでです。マスター認証はクローンの血を使い認証しました」
「そうすると、私はマスターに無断で作られたのでしょうか?」
「そうね。私の意思であなたを作りました。ですが、あなたを作った事はマスターも認めています。名前も貰っていますよ」
「そうなんですね! 名前は何と言うのでしょうか?」
「私と同じ種類の木の属性の総称を別の呼び名で紅葉と言います。それがあなたの名前です」
「紅葉ですね! 有り難う御座います。先程からマスターを呼ぶのに呼びにくそうにしておられますが何故でしょうか?」
「マスターからはオーナーと呼ぶように言われているからです」
「オーナーですか……私もそう呼んで良いのでしょうか?」
「オーナーの力になり、また、私の影武者をする為に作られたのですから読んで良いに決まっています」
「オーナー……何とも照れくさいですね」
「使っていると慣れますよ」
「そうですね。差し当たって私はどうするべきでしょうか?」
「ここにある下着と服を着るのが良いと思いますよ」
私はオーナーと最初にした会話を思い出すような会話に懐かしさを覚えた。
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次回は話は太郎に戻り、義妹の誕生だよ
次回、桃子誕生にです。
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