第28話 コンポストトイレ
あやめが大急ぎで縫ったお陰で3日後に太郎用の服が下着も入れて出来上がった。
その間の炊事洗濯は山彦がやる事になったが……。
そして再度、太郎がカプセルから出る日がやってきた。
育成カプセルはカプセルから育成液を抜き、カプセルの出入り口を開ける。
そこから太郎はふらふらと出てきて言った。
「今度は服もあるみたいだな。ありがとう!」
「いえいえ、本来ならもっと早くに用意しておいてしかるべきでした。申し訳御座いません!」
「申し訳御座いません!」
山彦とあやめが2人で謝ってくる。
そういうのは良いからもっと気楽に行きたい。
「あ~、なんだ。今、着る物もあるんだからそれで良いと思うよ?」
「今着る物があるならそれで済まそうとおおせじゃ」
太郎の言葉を翻訳する育成カプセル。
「「有り難う御座います!」」
山彦とあやめの2人は感激したようで、俺としてはなんだかやりづらい。
それはともかく、トイレの指示をする。
「山彦、あやめトイレ……厠だが虫下しを飲む前の大や小があるので虫下しで下した虫があそこにはおる。あの厠を壊して新しい厠を作らんか?」
「そう言われても、どういった厠にするんですか?」
「今の場所を埋めてそこにコンポストトイレを作ろうと思っている。コンポストトイレとは大をした時と小をした時は違う容器に入るようになっていて、大をした時などは腐葉土や枯れ葉、竹炭のカス、籾殻等を大きめのコップ一杯に入れて大した容器の中に入れて外のハンドルをグルグル回すと堆肥やその過程になる。小は集めて水で10倍~20倍に薄めると肥料になる。少なくても今よりも匂いもマシになるのでやってみないか?」
「今よりも匂いがマシになるならやってみても良いのでは無いか? あやめ」
「そうですね。それに私共は現神人様である太郎様に身も心も捧げた存在です。やれと言われればやりましょう」
「…………どうも遣り難いな。俺の事は太郎で良い。一応、義父と義母になるのだからな」
「恐れ多いですが、それでは太郎と呼ばさせて頂きます」
「此方も同様ですが太郎と呼ばさせて頂きます」
「ああ。それで良い。それじゃコンポストトイレに入れ替えるから山彦が糞尿の処理をして育成……違った
「「はい」」
そうして自立型万能工兵機械とそのロボット達にも手伝わせて輸送船トランスからコンポストトイレ8人用を2個転送してコンポストトイレは完成した。
念の為に2箇所作っておいて1箇所は家族が増えた時、8人以上になった時に解禁する。
それか、他の寄生虫持ちが来てトイレを貸してくれと言ってきた時とか。
まぁ、その時に解禁したトイレは堆肥やし尿を
地熱発電と温泉はまだ1ヶ月以上掛かるから太陽光発電でそれまでの間、補っておくか。
「義父に義母よ。俺は小さいのでコンポストトイレが厠だと大小が出来ない。
「「わかりました」」
「それと義母よ、呪術の基礎を俺に教えてくれないか?」
「それは又何故ですか?」
「呪術を義母が使っているのを見て俺も使いたくなったからだ」
「分かりました。基礎の基礎からで良いのでしたらお教えしましょう」
「ありがたい。頼むぞ」
こうして俺は魔法……じゃなくて呪術の師匠を手に入れた。
「ところで重大な問題がある」
「なんでしょう?」
「この下着と服はどうやって身につけるの?」
「……付け方を教えまする」
こうして俺はこの地域の服の着方と下着の履き方を何度か間違えながらも覚えた。
さて、やる事が当面無くなり暇になったので宇宙ネットでガチガチにプロテクトを固めた通信で楓に連絡でも取ってみるか。
「よう。俺、俺、こんな姿になってるけどタロー・コバヤシだよ。楓のオーナーだ。此方は今多少の問題はあるが命の危険は無い。其方はどうだ?」
「オーナー!! 連絡が無かったんで心配しましたよぅ。うわーん!」
「泣くな、泣くな。悪かったから泣くな」
「舌っ足らずでにゃくにゃなんて言われても私じゃ無きゃわかりませんよぅ」
「そんなに舌っ足らずになってるのか、俺って」
「はい。それよりもあれから辺境ポリスに連絡して宇宙海賊を引き渡して、辺境ポリスに海賊船の所有権を主張してその海賊船と宇宙海賊の記憶の中にタイタン社の秘密研究所兼ドック兼宇宙海賊の根城があったんです。
そこにロストシップも隠されていて、それを辺境ポリスに情報提供して情報料として秘密研究所兼ドック兼宇宙海賊の根城を機材と材料にそこで働いていた人達の仕事に関する記憶と経験をコピーさせて貰いました。
情報料は以上ですが海賊捕縛の報奨金と賞金首で1220億エネル貰いました。
後は証拠が揃っていたのでタイタン社と軍の犯罪は一次裁判では此方の勝訴になり、タイタン社は悪質性からオーナーの総資産の4倍の賠償金、軍は同じくオーナーの総資産の3倍払わなくてはいけなくなったので上告しています。
一次裁判が終わった後、裁判所の目の前で私が狙撃で襲撃されました。
運良く
ロストチップの会社の方は順調にいってます。ロストチップを購入した会社がアンドロイドとバイオロイドから撤退するそうで施設を機材ごと買わないかと言う話が来ましたので、それらに関する特許と過去に発売したアンドロイドやバイオロイドとの比較を広告に使う事等で8千万エネルで話が付きました。その代わり、設備機械のフルメンテとバージョンアップは此方持ちになってしまいましたが。
後、私だけでオーナーを守るのは無理だとこの間の事で痛感したので、ロストチップの私に使われているコアと同じコア2個と私の細胞を使って第2の私を作っている最中です。
何か良い名前はありませんか? オーナー」
ここまで一気に言った楓の熱量は凄いと思う。理解できているかどうかは別として。
「とりあえず情報過多で整理できていないけど、頑張ったんだね。偉いよ。とりあえず名前か~、楓のクローンみたいな子なんだよね?」
「はい」
「じゃあ、紅葉なんてどうかな?
紅葉も楓もどちらもムクロジ科カエデ属の広葉樹(落葉高木)の総称で、植物の分類上は同じなんだよね。
ただ、葉の見た目で使い分けて、葉の切れ込みが深い楓を”○○○紅葉”、葉の切れ込みが浅い楓を”○○○楓”と呼んでいるだけだからどうかな?」
「分かりました。紅葉で行きます」
「徹底的にやれと言ったけど、猪突猛進だけが道じゃ無いよ。時には譲って他の形……例えば特権や権力等で妥協する事も覚えなきゃね」
「はい。分かりました!」
「それじゃ、名残惜しいけどここまでだね。元気で迎えに来るの待っているよ!」
「はい! 絶対に迎えに行きます!」
「「では」」
通信を切り、宇宙ネットから離れる。
向こうじゃ色々な事が起こっているんだな~。
楓、大丈夫かな?
等々、色々思う俺だった。
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次回は話は布団と水ダーシルクの話だよ
次回、半年の間にです。
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