第21話 若返り二晩目

 山彦が交渉している時に俺と育成カプセルは狩りで兎10羽を仕留めて血抜きと内臓を抜いて川で獲物を冷やしていた所だった。

 あやめは下流で洗濯物をしていて姿が見える。

 多分、此方も見えているだろう。

 冷やし始めてから1時間程経ったので引き上げる事にした。

 あやめも洗濯が終わり、帰る所のようだ。

 せっかくなので一緒に帰る事になった。


 あやめに兎10羽を渡すと驚いたようだが、手際よく毛皮を剥いで肉と骨の状態にしていく。

 俺は栄養素を直接貰っているから食事は要らないが、2人にとっては必要なので2羽は遅い朝食になりそうだった。

 2羽をかまどで焼こうとしばを入れて”火よ”とあやめが言うと指の先に火が付きそれがしばに火をつき大きくなって薪に火が移っていく。

 

 …………今のは何だ? ”火よ”だけで火が付いたぞ。何でだ?

 分からないのであやめに聞くと呪術と言う物らしい。

 詳しく聞くと、ファンタジーで良く出て来る魔法のような物らしい。

 何それ! 俺もやりたいぞ!

 育成カプセルに先程の現象の分析と解明をさせて、ついでにあやめの許可を取り、頭にヘルメットみたいな分析装置を乗せて呪術を使って貰った。

 結果、脳の一部に異常な活性化が見られるという事が分かった。

 ついでにこの星特有のナノマシンの存在にも気付けた。

 呪術を使う時に体内のこナノマシンが作用している事も分かった。


 育成カプセルにこの星特有のナノマシンの培養と俺に打っても大丈夫か無理な場合はどうすれば呪術を使えるようになるのかのシミュレーションを頼んだ。

 ついでにこの件に関しては輸送船トランスの電子頭脳でもシミュレーションして結果を見せ合って協力するように指示を出した。

 結果が出るのが楽しみである。

 輸送船に使われている電子頭脳は民間、軍問わず汎用性で1番優れている電子頭脳を乗せたので大丈夫だろう。

 まぁ、汎用性で1番優れている電子頭脳は大金は掛かるが誰でもお金を出せば購入できる民生品だったのは皮肉な話だが。


 話は戻して、兎2羽の調理と残りの兎の毛皮やその他の処理を平行で進めていくあやめの手腕には脱帽である。

 手が何本もあるのではないかと疑ってしまうレベルである。

 そうこうしている内に山彦が大量の荷物を数人で荷車を使って一緒に帰って来た。

 山彦達は荷物を置き、数人に水を差しだして飲ませた。


「婆さんも若こうなって綺麗じゃのう」

「そうじゃな。山彦は運が良かったな」

「あの大きな桃が神様なのか?」

「あの大きな桃が神桃命しんとうのみこと様じゃ。現神人様を中に入れておる偉い大桃様じゃ」

「へぇー、この大桃がねぇ」


 そう言って村長の所の下人が育成カプセルを触ると育成カプセルから雷が出て下人に直撃した。


「何を気安く触っておるのじゃ! 我は神桃命しんとうのみこと。気軽に触れる存在では無いわ。本来なら命を取る所だが悪気が無かったのとこの家の夫婦に免じて慈悲を持って気絶させるだけにすませた。 早うこの者を連れて去れ!」

 

 村長の下人達は大桃が突然喋ったのと、気軽に触った下人が気絶したのに驚いて慌てて下人を連れて村長の家に帰った。

 村人が帰った後、山彦とアヤメが土下座せんばかりに謝ってきた。


神桃命しんとうのみこと様におかれましてはこの度のご不快にさせた事お詫びいたします。何卒お怒りをお鎮め下さい」

「お願い致します」

「いや、言う程怒っておらん。あれは気軽に触ってきたのと最初が肝心だと思って怒った振りをしたまでじゃ。じゃないといつまでも線引きがされないままじゃからな。これで、線引きはされたと思うので粗略に扱う物は居なくなると思うが……いなくなればよいのぉ」

「そ、そういうお考えでしたか。線引きはされたと思いますが不埒物が出てこないとも限りませんので、その点に付いては何とも……」

「まぁ、よい。あやめが作っておる朝食を食ってから昼から活動せい」

「分かりました」


「育成カプセルが行き成り攻撃し始めるから何かと思ったら、そんな事を考えていたのか」

「これでも色々と考えて行動していますよ?」

「衝動的にしか見えないから困るんだよな~」

「そ、そんな~!」

「それに神桃命しんとうのみことって…………くふふふふ!」

「笑う事無いじゃないですか。名前が無かったんだから足跡でそれらしい名前をでっち上げただけですよ!」

「ま、まぁ、……くふ、良いんじゃないか? ……くふふ」

「笑う事無いじゃないですか」

「すまん。ツボに入った」


 そう言えば山彦達は昼食を食べ終わったのかな?

 そう思い、見せて貰えば食べ終わる所だった。

 2人共にやっと腹が落ち着いたような感じを出している。

 昼休憩をしてから動き出すようだ。


 そうこうしている内に夕方になり、見届け人達と野次馬が集まってきた。

 野次馬は村長が帰した。

 野次馬の中でも手土産を持ってきた者については神桃命しんとうのみことを見せて帰した。

 見届け人が6人全て集まり、手土産の料理で山彦とあやめは腹一杯に食べて眠る事になった。

 そして木の枝を叩いて柔らかく細かくした物で歯を磨き、寝る用意をした。

 育成カプセルは停止していた若返りのナノマシンに起動を命じて、山彦とあやめは眠っていった。


 眠っている間に見届け人達は一睡もせずに山彦とアヤメが若返っていくのを見ていた。

 そして、本当に神の御技なのだと理解した。


 なお、この時に村長に布教の許可を貰っい、文書にして貰った。

 


―――――――――――――――――――――――――――――

完全に若返った2人、体温がいつもよりも心身代謝が激しいので高いよ!

次回の内容は熱い夜です。



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実を言うと★の方が嬉しいですが!


拙い出来ですが旧作も読んで頂ければ幸いです。


能力者が現れたと思ったらダンジョンも出てきました。これは・・・・・・商機ですね!

https://kakuyomu.jp/works/16817330658887843407

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