第20話 粒金一粒
お爺さんとお婆さんが若返って困った様子だった。
俺は育成カプセルに何に困っているのか聞いてみるように言った。
「これ、お爺さんと言うには若くなったので言いづらいがな。
名はなんと申す?」
「はあ。わしの名は山彦、妻はあやめと申します」
「では、山彦よ、何を一体困っておるのじゃ?」
「それが、着る物は丈直しで何とかなったのですが……食べる物が昨日の晩に盛大に使ってしまって残りが少ないのです」
一先ず俺は育成カプセルに粒金を山彦に一粒渡して、それで必要な物と交換するように山彦に言うように通信した。
育成カプセルは俺の言うとおりにするつもりのようだ。
「山彦よ。此方に来て手のひらを差し出せ」
「はい。大桃様。これで良いでしょうか?」
「この粒金を一粒渡すので、これで必要な物を揃えてくるが良い」
「よ、よろしいのですか?」
「ああ。それとこの鳥を持って行け」
「この鳥ですか?」
「その鳥の見る物は儂に見え、その鳥の聞く物は儂にも聞こえる。これを耳の穴に着けておけ」
「これは耳の穴にぴったりと入りますが、どういったどうぐなのでしょうか?」
「遠く――と言っても人の足で半時ぐらいだが――に行っても儂の声が聞こえるように出来ておる」
「それは凄いですね!」
「それで、買い叩かれそうになったら儂が助言する。わかったらもう良い。行け」
「その前に、あなた様型のお名前をお教え下さいませんか?」
「そうだな…………儂はそうじゃな、
「分かりました。それでは行って参ります」
そう言って山彦は村長の所に行った。
あやめさんは家の中の事をすると、機能汗をかいた服を洗濯しに川に行った。
俺達はどうしようかと思ったが、食料が足らないのだったら獲ってこようという事になり育成カプセルの大きさを変えて出入り口から出て、狩りに行った。
山彦は村長の家に行く時に他の者達からジロジロと見られている事に気がついた。
何故かどうか皆目分からなかったが、村長の家に着き名前を名乗ると理由が分かった。
名を名乗ったら、それは村はずれに住んでいる翁の名だと言われたからだ。
「じゃから、わしがその翁じゃというておろうが!」
「翁はそんなに若くは無いぞ!別人じゃ」
「天より
「信じられるか。そう言うなら証拠を見せろ!」
「おぬしは岩吉の所の息子で名は岩平じゃ。子供の頃にミミズにションベンをかける悪さをしてあそこを晴れ上がらせて泣いておったではないか!」
「何故それを知っている! 知っているのは薬を塗って貰った翁しかおらぬぞ!」
「じゃから儂がその翁じゃというとろうが」
「じゃぁ、本当に翁なのか! こりゃ魂消たわい」
「とりあえず村長に説明と取り次ぎを頼む」
「分かったが、信じて貰えるかな?」
とりあえず村長に取り次ぎに行く岩平を山彦は見送った。見ている俺も見送った。
暫くしてから岩平が戻ってきて村長に所の案内すると言うので付いていったら村長の家の雑用をしている又兵衛が村長の着物を着ていた。
「儂が村長じゃ。何か用か?」
「いや、おぬし村長の家の雑用の又兵衛では無いか。村長は又兵衛の着物を着て雑用の振りをして何をしているのですか?」
「え? いや! え? わかるの?」
「そりゃ長年暮らしている村ですから分かりますよ」
「て事は本当の翁じゃったか! こりゃ魂消た!」
村長は雑用の又兵衛と再度着物を交換して着て元に戻った。
「それで翁……はもう変じゃな。名前は何じゃったかの?」
「山彦で御座る」
「おお! そうじゃ、山彦じゃ。山彦は何しにここに来たのかの?」
「
「おお! 凄いのう! この大きさの金一粒じゃと結構な物が引き換えに出来るぞ。食料と調味料に衣服か布と針と糸じゃったな。それだと余っている食料と調味料に衣服と布を足しても少し余るぞ。何か他に無いか?」
ここで育成カプセルと俺が鶏のような鳥が庭に何匹も居るみたいだから雄と雌それぞれ2羽ずつ貰ってくればと言った。
「それなら庭を歩いておる時鳥の若鳥を雄と雌それぞれ2羽ずつ貰えるかの?」
「そうだな。それぐらいで丁度良いじゃろう。荷車は貸してやるから運ぶんかの?」
「ああ、ありがたいのう。荷車で何往復かして運んでいくわ」
「何往復もせんでええ。儂らから人手を出すから皆で一度に持って行けば良い」
「ありがたいのう」
「手間賃も金小粒1粒に入っとるでな」
「そうかい、そうかい」
「それにしても、若返った事を村の皆になんて言えば良いかのう?」
「今日の晩も寝たら若返るらしいから何人か立会人になれば良いのでは無いかの?」
「なんじゃと! まだ若返るんか?」
「そうらしいのう。まぁ、立会人で来る時は手土産を期待しとるでな」
「むむむ。わかったわい。儂は確定として他は誰にしようかのう」
「それは任せるでな。ただ、妻の立会人は女性にしてくれ」
「わかったわい」
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若返りの2回目はまるで見世物のようだよ!
次回の内容は若返り二晩目です。
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