第12話 ロストチップ

 引っ越し屋の船がロストチップの入った部屋や倉庫や工場を取りに行っている間に、此方は免許の原型アーキタイプが来るのを待っていた。

 電子免許とカード型の2種類渡されるので、原型アーキタイプが来ないと両方共に発行できないのだ。

 そう思っていると学校から連絡があり、記述試験の合格書を持って学校に来るようにという連絡が来た。

 これはいよいよ免許の原型アーキタイプが来たかと思い、期待して合格書を持って学校に向かう。

 案の定、原型アーキタイプが来たので合格書と電子証明書とカードとの交換で免許証を発行して貰える。

 まずは渡すのが比較的表示するのが簡単だがプロテクトは堅い電子タイプの免許証を合格書と引き換えに脳にインストールされた。

 次にカードタイプだが、指紋と瞳の虹彩をカードに登録後に渡されたので多少時間が掛かった。

 普段はカードタイプを使用するが、クローンに継承した時等は代わりのカード型が発行されるまで電子認証タイプの免許を見せる事になる。

 継承の儀式ではだから電子免許も継承されることになる。


 2人共、免許証を貰ったのでこれで学校と寮にいる必要は無い。幸い、早朝の為にこれから中規模宇宙コロニーに帰ろうと思えば帰れる時間帯だったので2人で帰ることにした。

 1年間に溜まって捨てたくない荷物は宅配便で送って貰えば良いので荷物の整理をして、持って行ける物はオリバーに宇宙港まで送って貰う時に一緒に持って行くことにした。


 かれこれ丸1日をかけて中規模宇宙コロニーに辿り着くと、一休みしてから中規模宇宙コロニーが設計通りに作られているか等の確認をし始めた。

 確認したところ、大規模ユニットの巨大区画が一区画多い事が判明した。

 上乗せ料金を支払わされたらたまらないと建築会社に連絡を取って事情を話す。

 幸い、頼んだときの契約書と図面があったので向こうのミスと素直に認めて、料金は見積もり通りで良いのでこのまま解体せずに行くことは出来ないかと言われた。

 それに越したことはないので了承する。

 これでロストチップと倉庫と工場が来たときに置ける場所が出来たと思おう。

 

 それから1週間ほどしてロストチップと倉庫と工場は到着した。

 ユニット部屋の部屋群は独立した状態の時に使用するバッテリーの交換も今回の引っ越し代に入れて貰っているのでバッテリーは新品だ。

 早速ユニット群は大規模ユニット群の巨大区画が1つ多い所に新しく購入した機材を入れる研究室と寮がある場所に一緒にまとめて入れて貰う。

 解析用の機械群はロストチップを購入したときからロストシップを解析したと定評のあるメーカーの最高級の機材を注文しているし、何なら特注もしている。

 勿論、機材を購入したときにメーカー保険とは別にどんな故障でも対応しますという保険に全ての機材が入っている。

 ……ちなみに購入したときは大人買いするのと特注品があるので限界まで負けさせたのは秘密だ!

 

 ここに送られてきた研究者達は機材を無断使用で壊したので、皆借金を抱えている。

 その借金ごと買収したので皆は俺に借金をしていることになる。

 その事は周知されているので俺から通達するのは機器類は無断で使用しない事と言うことになる。

 後、成果を出したらボーナスが出るのでそれで借金を返してねって所だ。

 

 楓は発掘品が届いてから、発掘品の調査を続けている。成果は色々と出ているようだ。

 俺に無菌室でコンセントの形がLTの形をしたのが何個も付いている大型の無菌室で電流や電圧を詳しく指定してきた。

 また、その部屋に繋がるように色々な材料を注文があったら自動で無菌室に運べる様な倉庫兼自動コンベアの様な部屋も注文された。

 ロックは厳重に俺と楓しか通さないようなプロテクトを施して欲しいとのことだったので強力なプロテクトを設置する事にした。

 結局、1週間程製作と輸送に掛かると言うことでそれら待ちになっている。


 その間に楓は壊れていると思われるロストチップを機器を使って調べていた。

 何でそんなことをしているのかと聞くと、一部が壊れていても他が正常なら他の同じ型のチップから壊れた部分が正常な物を解析できれば正常なロストチップの設計図になるでしょと言われた。

 目から鱗が落ちた。

 研究員も目から鱗が落ちたようだった。

 研究員達も同じ手法を使って楓と合わせて10種類のロストチップの設計図が出来た。

 ただ、残念ながらロストチップと同じ材料を作り出せない為にあっているのかどうかが分からなかった。

 だから、次はこの設計図を元に機器と素材で作れるように設計し直す作業が待っていた。

 楓はいち早くこの作業を終わらせて製作に掛かっていた。

 完成したチップは現存の普及しているチップの千倍速かった。

 それでもロストチップの想定性能から見ると10%も性能を発揮できていなかったそうだ。

 楓が言うにはこのチップの設計図は簡単な子供のおもちゃに使うようなチップらしい。

 楓は研究員にこれらの再現された性能をスペックダウンさせて原稿の普及品の1.5倍~2倍までの間に納めローコストで作成できるようにするように命令した。

 

 そうこうしている内に無菌室と倉庫のような物が届いたので同じ区画に設置する。

 そして言われていた原料類を倉庫のような部屋に設置した。無菌室の方では発掘した機器を消毒清掃して無菌状態にし、台座に置いていってコンセントに何個も差している。

 そして楓が何か忘れ物がないか確認してた。

 無菌室の通路側から透明な板を挟んで見ている俺と楓。

 楓が通路側からスイッチを入れて起動した。

 その結果、倉庫のような材料室(というか、倉庫じゃなくて材料室だな。これはもう)から資材が自動で運ばれてきた。

 それを複数のロストテクノロジーの機器が材料を原子分解結合して別の物に作り替えていった。

 1分後、そこには新しいロストチップが複数あった。


―――――――――――――――――――――――――――――

次回の内容は宇宙船を引き取りに来れば……です。

1年前から考えていた宇宙船。

いざ引き取りに来たら何かおかしいぞ!

ご期待あれ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る